11話
という訳で翌日の2月23日、この日に開黎高校に連絡をし、入学希望である旨を伝えた。
男とは言え、偏差値69のエリート共学校に本当に試験無しで入学できるのか?とか他の男子に先を越されてもう男子の入学枠無いんじゃないか?とか心配していたのだが、杞憂だった様で逆に先方から大変喜ばれた。
その話を母さんにするとゲラゲラ笑われた。母さんに聞いた所によると、男子校の受験に失敗した男子は通信制に行くか一年浪人してまた男子校を受験するのが一般的な様だ。なので、共学校――それも偏差値が高い所にわざわざ行こうとする男子はほぼいないらしい。先方が大変喜んだのも納得だ。
ましてや入学枠が無いなんて事はあり得ない。仮に無くなっても十人も二十人も定員オーバーする訳じゃないし男子が増える分には非常にありがたい事なので入学できない事は無いと言われた。前世の受験戦争とは違うって分かっていてもどこか引きずられていた様だ。
春人が男子校の受験に失敗したと聞いてあんまり頭が良くないのか?と思ったけど、同学年だけじゃなくて去年落ちた先輩?もライバルとなると中々厳しいなと思う。何せ1年アドバンテージがある訳だし……
まぁそれはそれとして、願書というか必要書類はどうすれば良いか聞いた所、郵送で必要書類を送ってくれるので、それに記入してまた郵送で送り返してくれたら良いと言われた。あと、内申書も開黎高校側が俺がいた中学校にお願いして取りに行ってくれるらしい。貴重な男の入学希望者だから至れり尽くせりだなと思ったのだ。
そもそも俺が中学の担任に内申書書いて下さいって言いに行ったり、開黎高校に必要書類を書きに行かないといけないかと思ったが、この世界の男はあんまり外に出たがらないらしいので、この至れり尽くせりな対応が寧ろ普通の様だ。それに、開黎高校側がでは書類を書きに来てくださいと言って、俺がそれならやっぱ入学するの止めますと言われたら困るからと言うのもありそうだ。
あと、超大事な事を忘れたんだよな。俺、対外的には記憶喪失って事になってるからそもそも受験資格があるの?的な?
このジャンルのテンプレだと記憶喪失って事になってるけど普通に入学してるんだよなぁ。まぁ、深く突っ込む所では無いからだろうけど、その所為ですっかり忘れてた。だけど、俺は今現実にこの世界に生きてるからキチンと確認しておくべきだった。
結果的には俺から入院した病院を聞いて病院に診断書を書いて貰うそうだ。その診断書に問題が無ければ入学出来るらしい。選考無しで入学出来ると言ってしまった渕上さん(開黎高校の事務員さん)に物凄く謝られた。寧ろこちらの方こそと謝った。
と言うか俺、開黎高校って名前すら昨日知ったばかりだから偏差値が高い事で有名な共学校位のイメージしかないんだよなぁ……どんな校舎か?とかどんな施設があるか?とかどんな部活が強くて有名か?とか全然分からない訳だ。まぁ、必要書類を送ってくれる時にパンフレットも一緒に送ってくれるとは思うけどね。
いや、それを言うなら俺って病院から家に帰ってくる時しか外に出てないんだよなぁ……
となると、実際に開黎高校に通う前にまず外出をしないといけないな。
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次回は12月13日6時更新とさせていただきます。よろしくお願い致します。