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閑話 まさかここまでやるとは

 皆様御機嫌よう。 私は上流階級の中でも名門中の名門である蝶我院(ちょうがいん)家の当主をしております蝶我院雅代(まさよ)と申します。


 「フフッ、フフフフフ」


 突然ですが、笑いが止まりませんわ。


 「お母様、随分上機嫌ですわね?」


 娘の咲彩(さあや)が私を微笑ましいものを見るかのような目で見る。


 その目はお止めなさい。私はあなたの母なのですよ?


 「件のあの少年がまさか嵯峨根家と京條家の当主相手に負けていなかったという話は聞いたかしら?」


 「はい、報告は伺いました。俄かには信じがたいですが……」


 そう、詳しく調べさせると当主の交代は件の少年に書類に当主の名でと言質を取られたからだった。


 自分が男で更には被害者であると言う事を最大限に利用して勝ち取ったのは見事と言う他ない。


 結局当主交代で意味が無くなってしまったが、逆に言えば件の少年がそうせざるを得ない程上流階級の家の当主を追い詰めたとも言える。


 「フフフ、その件の少年がまたとんでもない事を京條家相手にやったのよ。まぁ、京條家が件の少年に仕掛けたようなのだけれどまさかここまでやるとは思わなかったわ。絶対に欲しいわ。あなたの婿としてね」


 「私の婿ですか……確かに男にしては知恵と度胸があるのは認めます。だからと言って私の婿でなくても良いのではありませんか?」


 「ふむ……咲彩、あなたの婿ではなく分家の婿にと言うの?そんな勿体ない事は出来ないわ」


 咲彩は男嫌いとまでは言わないが、男を好いていないのは母親である私には分かる。


 「ですが、嵯峨根家と京條家に要求を突きつける様な男が私の婿だなんて……」


 なるほど……引っ掛かっているのはそこなのね。


 「傲慢という訳では無いのよ。あなたに言うのもなんだけれど、無理やり婚約させられるところだったのだから自分の身を守る為には当然の要求だったと私は思うわ」


 「それです!嵯峨根家の幸那様は完璧な女性と言っても過言ではありません。それを、上流階級の血が一滴も入っていない男には過ぎた話だと言うのに婚約を断わった。私には理解できません。増長が過ぎるのではありませんか?」


 良くないわね……この子の中で勝手に市原春人と言う男の虚像が出来上がっているわ。


 「はぁ~仕方が無い子ね。それじゃあこの動画を見なさい。少なくとも傲慢な男ではないと分かるから」


 そう言って私は自らのデヴァイスであの自主退学について語る動画を咲彩に見せる。


 「えっ!?いきなり謝罪!?それに、物凄いイケメンだわ。こ、この方が市原春人様…私のお婿様……」


 意外な事に一瞬で心を奪われたようだ。我が娘ながら惚れっぽいと言うか何と言うか……


 「配信者エスで調べなさい。動画や配信のアーカイブが残っているから」


 「直ぐに!!」


 咲彩は今までに見た事もない様なスピードで部屋を出て行った。


 「全く、優雅さの欠片も無い……」


 とは言え咲彩の気持ちも分かる。あんな女の理想みたいな男がいるだなんてね……咲彩が羨ましいわね。


 「さて、これから京條家がどうなるかしら?蝶我院家(ウチ)は手出しはせずに静観するけど他の家は分からないもの。それに、市原春人が京條家と和解するのか敵対するのか気になる所ね」


 そして、京條家の力が弱体化する事は間違いない。つまり、上流階級の家のバランスが崩れると言う事。


 「フフッ、もっと見られるのかしらね?あなたの活躍を……」

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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