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95話

 俺が自主退学すると言った日である5月15日月曜日の午後、月坂さんが家に来た。


 勿論、用件は俺が自主退学すると言った事である。


 「市原君、クラスでも自主退学の話が出ていました」


 リビングで月坂さんと話をする。


 「配信者エスや第月天魔王の話ではなく、僕の退学の話ですか?」


 「あっ、いえ…確かにその話も聞かれましたけど……」


 顔出しして月坂P呼びなんだからクラスメートは分かるわな。


 いや――


 「配信者エスや第月天魔王の話は学校中で話題になっていたのではありませんか?」


 一学年が30人程の学校なんだから他の学年であってもどこかで見た事ある顔だな位には思うだろう。


 ましてや俺は毎日学校に通っていた変わり者の男子生徒で月坂さんはそのクラスメートなのだから……


 「市原君、話を逸らさないで下さい。私は市原君に何故自主退学したのかを聞いているんです」


 月坂さんに話を逸らすなと言われた。


 「そういうつもりではなかったんです。すいません。実は今朝学校から電話があったんです……」


 そして、朝の顛末を話す。


 「なるほど……確かに難癖に近いクレームですね。それが京條家からあったんですか……」


 「学校側は京條家と名前を出した訳でありません。しかし、こんな無理筋なクレームに毅然とした態度で反論できずに唯々諾々と従うしかなかった時点で上流階級の家、そして僕が体調不良で欠席していることを知っていた。この二つを合わせれば京條家しかあり得ません」


 嵯峨根家の可能性は無い事は確かめた。と言うのも、嵯峨根さんは今朝俺の自主退学の話の後に本家から配信者エスの事を聞かれたと報告があったのだ。勿論、嵯峨根さんは警護対象者の個人情報保護を理由に断ったそうだ。


 まぁ、断った時点で認めている様な気もするがそれはそれだ。言っても仕方が無い。


 「そうですか、まさかサウザンドサマーが……」


 うん?最後の方の言葉が聞き取れなかった。


 「それで月坂P、今回の件を上手く使って京條家に一矢報いる事はできませんかね?」


 「う~ん、そうですね……土曜日に市原君と京條家のこれまでのやり取りについての動画を投稿しましょう。そして、日曜日の配信で配信者エスの配信をする事になった事情とイケメンDKに言われたい言葉選手権をしましょう。配信のコメントの反応次第では先に配信をする事になった事情を話した方が良いかもしれません」


 「ふむふむ……動画を土曜日に投稿をするのは何故でしょうか?」


 「直ぐに動かない方が京條家が油断するからです。勿論、私は監視されるでしょうし最悪拘束される可能性もあります。なので、日曜のエスの配信は最悪一人でやって貰う事になるかもしれません」


 拘束!?と思ったが、確かに月坂さんがいなければ俺は配信者としては初心者だからな。理にはかなっている。


 「月坂さん……分かりました。動画はどうするんですか?」


 いつ拘束されるか分からないが、最悪の事態を考えるなら土曜日の動画を投稿する前に拘束されると言う事も考えておかないといけない。


 「市原君は撮った動画を17日水曜日の放課後までに私に送って下さい。その日の内に動画を編集します。そして、編集した動画を私が投稿できない様なら市原君に投稿して貰う事になります」


 まぁ、そうするしかないよな。 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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