10話
「そう……働いてたならそう言う考えが出来るのも当然ね」
「働いてたって言うのもあるけど、やっぱ前世の価値観があるからって言う方が大きいかもね」
その前世の価値観の所為でこの世界に馴染めないのは良くないのは分かってるんだけど、やっぱり最悪を想定したり安全マージンを考えたりするのは社会人として働いていたから気にしてしまうんだよなぁ。
「話を戻すわね。この辺でレベルが高い共学校と言うならやっぱりあそこね。通信制はレベルが高い所はこの辺にはないのよ」
つまり、実質その共学校一択って事か……
「それはこの家に近い場所ならって事?それとも全国的にとは言わずとも近県では有名な所なの?」
「後者よ。開黎高校は全国でも名が知れてる共学校ね」
開黎高校……前世の偏差値がクソ高い事で有名な高校に名前が似てるなぁ……
「ちなみになんだけど偏差値は?」
「69ね」
ふぅ~あそことは別だな……じゃねぇよ!!はぁ!?69!?俺、前世では53の高校だったぞ!!無理だろ……
「あ~調子に乗って大変申し訳ございませんでした。流石に69は無理です。せめて53とか54くらいの所はありませんか?」
あんな事言っておいて何だが仮に男だからと言って入学できたとしても授業についていけないだろう。留年が何回かでアウトになってからの退学という未来が見える。
「ふふっ。大丈夫よ~男子と女子はテストが別だから」
母さんはクスクス笑っているが――
「いやいや、だとしても俺の頭では恥ずかしくて居た堪れないです…はい」
確かに自分、人生二周目です。高校卒業しました。大学も卒業しました。だけど――もう忘れてます。
共学って事は女子と一緒に勉強するだろ?って事は授業とかで俺の頭のレベルがバレるだろ?すると、何であのレベルでここに来たの?ってなるだろ。いや、表立って言われる事は無いにしても裏でそんな事言われそうだよなぁ……
「53とか54だと春ちゃんが言ってた様な意識の高い女子の方が少ないと思うわよ?」
グホッ!?何気ない一言だから殺意が高い。しかし、そのお陰で少し冷静になれた。
「待てよ……」
それは今の俺の学力の話だ。今は忘れているとは言え、授業を受けていればあ~何かやったことある様な気がするという事もあるだろう。今から偏差値69の大学受験をする訳では無いんだ。
試験は合格が決まってるし、カリキュラムは厳しくてもテストの難易度が下がるならイケるかもしれない。いや、イケそうな気がしてきた。
と言うか少し小さくまとまり過ぎてるような気がするな。確かに人生詰むのはマズいが、それが自分の選択故の事なら諦めがつく。
奴隷は言い過ぎにしても過保護だったエリザベス先生とか中村さんに共学校行ったけどレベル高すぎて無理でした。養って下さいと言う手もある。そうなれば、「春人君の一人や二人養ってあげる。その代わりに…ね?」二人の甘い生活が始まる。
アレ?何かこれはこれでアリな気がしてきた!!綺麗なお姉さんは好きですか?大好きです!!
ま、まぁ…あくまでも保険は保険だから……
二度目の人生、男ってだけでだいぶイージーモードなんだ。やれるだけやってみようじゃないか!!
「母さん――俺、開黎高校に行く」
最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。