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93話

 「それでは、自己紹介の深掘りの方は終了です。ここからは視聴者の皆さんにエスへ質問したい事をコメント欄にコメントして頂きたいなと思います。そして、目に留まって尚且つ答えられそうなものであれば答えたいなと思います。それでは、コメント欄に質問をどうぞ」


 俺がそう言うと、バババババと文字がすごい勢いで流れていく。いや、これ読めねぇって……


 [好きな食べ物と好きな言葉と好きな女性のタイプの3つの質問に答えて下さい]と言う指示が出た。


 好きな女性のタイプは困るんだが……月坂Pって言っておくか。


 「え~コメントの文字が早すぎて読めなくて月坂Pから好きな食べ物と好きな言葉と好きな女性のタイプを答えろと指示が出ました。お答えします」


 俺がそう言うと、好きな女性のタイプとか一番最後とか第月天魔王GJなどのコメントが見えた。


 「好きな食べ物はシチューですね。中華じゃねぇのかよと言われそうですが、これは譲れません。次に好きな言葉ですが、これはパスカルの名言ですね。『時間は心の傷である悲しみや苦しみを癒す。それは人が変わるからだ。人はもはや同一人ではないのだ』。最後の好きな女性のタイプは……月坂Pですね」


 コメント欄が月坂Pマルスとか第月天魔王○ねとかで埋まった。○ねは多分あれだなって分かるけど、マルスって何だよ?炎と紋章のゲームの主人公か?と思ったが、後に調べたら○すからマルスになった様だ。


 [エスは私たちを何と呼んでくれますか?この質問に検討したいので後日改めて報告しますと答えて下さい。エスさん後で覚えておいて下さい]と指示が出た。


 「え~月坂Pからエスは私たちを何と呼んでくれますか?と言う質問には検討したいので後日改めて報告しますと答えて下さいと言われたのでまた後日という事で……視聴者じゃなくてリスナーなんですね。次からはリスナーと言います」


 最初意味が分からなかったのだが、配信者はリスナーに名前を付ける事が殆どだそうだ。アニメの公式ラジオなんかで投稿者のペンネームの前に~~ネームとかついてるやつみたいなものらしい。


 「エスさん後で覚えておいて下さいと言うカンペも出たんですが、これは好きな女性のタイプは?なんて質問を拾った月坂Pが悪いと思います。仮に月坂Pって答えてなかったら、さっき私の事好きだって言いましたよね?とか言ってくると思ったので……」


 コメント欄も月坂Pなら言いそうとか、第月天魔王なら絶対に言うなんてコメントで溢れた。


 「あ~何で配信者になろうと思ったのかと言うコメントが目に付くようになったのですが、先程もチラッと言ったのですが事情があっての事です。その事情についてもいつか配信で話せたらなと思っています」


 これは俺の独断だ。嵯峨根家や京條家ひいては他の上流階級の家への牽制だ。何かすれば配信で話すと言う……


 まぁ、それに気付いて迂闊に手は出せないと膠着状態になれば良し、それに気付かずに何かしてくればそれを配信で話して更なる牽制にする。どちらに転んでも良い。策と言うならこれ位のものを用意しないといけなかったな。学校を休学して云々なんてフワッとしたものは策と呼ぶのも烏滸がましい。


 [ここで質問に答えるコーナーを終了して次回の配信についての話をして下さい]そう指示が出た。


 俺の独断に怒っていないのか?良かった。


 「では、ここで質問のコーナーを終了とさせて頂きます。話は変わって、次回の配信についてです。次回の配信も今日と同じ時間に出来たら良いなと思っています。ただ、あくまで予定です。詳しくは月坂Pから告知がありますのでそちらをご覧頂けたらと思います」


 [次回の配信の内容であるイケメンDKに言われたい言葉選手権について話をして私宛に言われたい言葉を送ってと言って下さい]


 え~マジか……怒ってない事は無かったな。


 俺が無言になったので、コメント欄がどうした?大丈夫?と言う文字が見える。


 「え~数秒無言になってしまい大変申し訳ありませんでした。月坂Pからの指示が出たのですが、その内容がまた……」


 月坂Pの指示?どんな指示が出たの?と言うコメントが溢れた。


 「え~とですね……まず初めにコレは僕が言い出した言葉では無いという事をリスナーの皆さんにはご理解頂きたいと思います。その上で、次回の配信の内容についてなんですが…………ふぅ~」


 ここで一息ついた。


 コメント欄にはどんな内容なんだ?そんなに言いたくない内容なのか?勿体ぶらずに顔出ししたエスが言い淀む内容ってと言うコメントが見えた。


 「え~発表します。次回の配信の内容はイ、イケメンDKに言われたい言葉選手権です。最初にも言いましたけど、僕が自分でイケメンDKと付けた訳では無いですからね!言われたい言葉選手権だけで良いじゃないですかと言いましたからね!!」


 [早く私宛に言われたい言葉を送ってと言って下さい]そう指示が出た。


 コメントにはイケメンDKなのは間違いじゃないとか月坂Pあんたは神とか第月天魔王の本気とかエスは恥ずかしがり屋とか書かれていた。


 「その上で、リスナーの皆さんからエスに言われたい言葉を募集したいと思っています。言われたい言葉を月坂P宛に送って下さい。よろしくお願いします」


 [私への宛先は次回の配信の正式な日時が決定して告知する時に一緒に公開しますので、その旨を伝えて下さい]そう指示が出た。


 「え~詳しいことは先程も言いましたが、月坂Pが告知をしますので、その際に月坂Pへの宛先も公開するとの事ですので、今のうちに内容を考えておいて頂けると幸いです。では、楽しい時間と言うのはあっという間に過ぎるものと言いますが本当にそうですね。もう配信開始から1時間が経とうとしていますので、本日の配信はそろそろ終了とさせて頂きます」


 まだ見たいとかチャンネル登録するから延長希望とかポジティブなコメントが多くて嬉しくなった。


 「コメントでまだ配信を見たいや延長希望とコメント下さった方々ありがとうございます。エスの初心者丸出しの配信にそう言って下さって本当にありがたいなと思っています。思えばリスナーの皆さんを視聴者と言ったり、自分でイケメンDKだと言うのが恥ずかしくて月坂Pの指示に固まってしまったり、自己紹介の動画で恥ずかしいデジタルタトゥーを残してしまったり……月坂P、配信が終わったら話があります」


 俺がそう言うと、コメント欄が初心者丸出しだったけど、こんな楽しい男性配信者の配信は初めてだったとかエスみたいな男性配信者の丁寧な配信は見た事が無いとかイケメンDK(強調)に言われたい言葉選手権楽しみですなんてコメントが見えた。


 [エスさん、リスナーの数が10万人を超えて今は約13万人です。この事に触れて下さい]そう指示が出た。


 「ええっ!?急に驚いてすいません。初めての配信で自分の事に精一杯で全く気にしていなかったんですが、リスナーの皆さんの数が約13万人もいると月坂Pに言われました。本当に驚きましたし、それだけの方に見て頂けたのは感謝しかありません。それでは、本日のエスの配信はこれで終了とさせて頂きます。リスナーの皆さん、本当にありがとうございました。次回の配信も是非是非お越し頂けたらなと思います」


 [この配信のアーカイブについて説明をして下さい!!]と指示が出た。!!があるって事は重要な事なんだな。


 「え~何度もすいません。終わる終わる詐欺かと思われそうで恐縮なのですが、月坂Pからアーカイブについて説明をして下さいと指示が出ましたので、説明をして配信を終了とさせて頂きます」


 俺のその言葉にコメント欄には、えっ!?アーカイブ配信するの!?アーカイブ残るんかマジ神とか永久保存しておかなきゃと言った様なコメントが見えた。


 「はい。月坂Pの他の男性配信者との差別化をしなければなりませんと言う戦略のもとアーカイブ配信をします。あと、切り抜き動画等もこちらは第月天魔王に許可を取った上でと言う前提になりますが、OKだそうです」


 普通の男性配信者はアーカイブを残さないんだそうだ。アーカイブを残さず自身のライブ配信の価値を高める事で配信内での投げ銭を確保すると言う事らしい。


 切り抜き動画って言うのは俺でも聞いた事があるが、これを男性配信者は最初から禁止しているらしい。自身のライブ配信の価値を高める為と切り抜き動画のチェックや許可を出すのが面倒だからと言う事らしい。


 「なお、第月天魔王と月坂Pは同一人物ではありますが、第月天魔王への切り抜き動画OKですか?と言う窓口と月坂Pへの言われたい言葉の募集は別の窓口ですので、そこはご理解とご了承の程をお願い致します」


 これは月坂Pからの提案だ。切り抜き動画は生もの?な上に職人?がいて迅速な対応が求められるそうなので、元からある第月天魔王名義の窓口を活用するとの事だ。


 「それではリスナーの皆さん、本日はこれで失礼させて頂きます。さようなら~」


 と言う感じで初配信は終了した。


 配信終了後に第月天魔王として許可した切り抜き動画やアーカイブ配信のお陰で、夜にはチャンネル登録者数が61万人になっており、これに英語等の海外対応版とでも言うべき動画が職人たちの手で作られ拡散されればチャンネル登録者数はもっと増えて事前に言われていた通り100万人はいけると月坂さんに言われた。流石は月坂さん、流月です。 

最後まで読んでいただきありがとうございました。お手数をお掛けしますが、宜しければ拙作への評価やブックマークよろしくお願い致します。

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