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救出戦

まさか数日でブックマークが四十を越えた!?かような評価を頂けるとは!

しかも日刊ランキング六位ですと!?過分な評価を頂き、恐縮の極みであります!

 センチネルスターファイターを片付けた私は、そのままゆっくりと惑星へ落ちていく輸送船に“ギャラクシー号”を近付けた。もちろん乗り込むためだよ。そしてやり方は。




「アリア、解析できた?」




『内部スキャン完了しました。船内環境問題ありません。アード人が活動する事に支障はありません。損傷の軽微な区画を選定、これより表示します』




 モニターに映し出されたのは何の変哲もない通路。でも、それこそが私の求めたもの。映し出された映像をしっかりと目に焼き付けて。




「じゃあ、行ってくる!転移!」




 一瞬身体に浮遊感を感じて、次の瞬間私は映し出されていた通路に立ってる。これはとても便利な転移魔法で、ゲートもこの魔法を応用して作られてるんだ。

 達人だと数百キロ先まで簡単に移動できるし、一般人も1キロ前後なら余裕で転移できる。必要なのは目的地を鮮明に思い浮かべること。

 ……私?ふっ。せいぜい100メートルが関の山だよ。どうやら私にはとことん魔法の才能が無いみたい。

 転生ものだと特別な力を授かるなんて話があるけど、私には皆と違う銀色の髪があるだけ。魔法学は先生が苦笑いするレベルだし、学問だって真ん中くらい。

 うん、凹んできたから頭を切り替えよう。



「ドレスチェンジ!」




 私の身体が光に包まれて、宇宙服から普段着の天使衣装に切り替わる。着替えるのが楽で良いんだよね、これ。




「んーっ!痛かったぁ……」




 取り敢えず翼を思いっきり伸ばす。背伸びみたいな感覚かな。さっきの戦いで押し潰されて滅茶苦茶痛かったからなぁ。




『ティナ、時間は有限です。速やかなる探索を推奨します』




「分かってるよ、アリア」




 私のブレスレット型の端末からアリアの声が響く。うん、時間には限りがある。探さないと。

 ちなみにこの普段着には環境適応魔法が施されていて、よっぽど極端な環境じゃない限り着用者を有害な環境から守ってくれる優れもの。

 宇宙服要らないって?そこは気分だよ。



 私はアリアのサポートを受けて端末でスキャンしながら船の通路を進む。




『この先に大きな空間を確認しました。食器と思われる物体を多数確認。食堂と思われます』




「その先が居住区かな?」




 まあ、異星人の船だから設計が違う可能性も高いけどね。

 私は通路の先にあった半分破損した自動ドアの隙間から中に入ると、確かに広い空間があってテーブルみたいなものがたくさんあった。

 でも、私はそんなものより中心部に存在する異様な物体に目を奪われた。

 床から天井まで伸びるまるで太い木のような、紫色の物体。不気味に脈動してるし、枝の代わりにたくさんの触手が伸びてる。これはっ!




「バイオウェポン!?」




『ティナ!危険です!』




 バイオウェポンとは、センチネルが解き放つ戦闘に特化した生物兵器の総称。

 全ての生命体を無差別に攻撃する性質があるって習ったんだけど、確かにグロテスクな見た目からは友好的な感じはしない。




 私の声を察知したのか、たくさんの触手がウネウネと動き始めた。それに良く見たら、周りには人らしき物体が散らばってる。多分、この船の乗組員!調べるためにも、コイツは邪魔だ!




「アリア!サポートお願い!換装!」




 魔法陣が現れて、そこから盾と槍を取り出して装備する。

 左手に装備したのは丸い盾。まるでスパルタの盾みたいな見た目をしてる。で、右手に持った槍も見た目は古くさい。スパルタ兵かな?

 見た目は私の趣味だけど、中身はビームシールドにビームランス!もちろん惑星アードにはビームガンもあるけど、射撃の腕前が壊滅的だった私は素直に盾と槍を扱うことにした。

 アード人からすれば古き良き装備なんだって。古の戦士は盾と槍を使った一撃離脱戦法を得意としたみたいだし。飛べるしね。



『了解しました。対象を解析します……中心部にコアを確認しました』




「うん、見えてる!」




 バイオウェポンの真ん中に不気味な目みたいな黄色い物体がある!

 なにより、時間が足りない!直ぐに片付ける!




「いくよ、アリア」




 私は身を屈めて足に力を込めて、そして翼を大きく開く。




「……っ!やぁあああっ!!!」




 翼を大きく羽ばたかせて床を蹴る。一気に加速した私に対して一斉に触手が向かってくる。良く見ると、触手の先端は鋭利になってる。でも、そんなの関係ない!

 一本目の触手は少しだけ身体を捻って避けて、二本目は素通り。三本目は……危なっ!?私の髪を少しだけ掠めた。そして四本目は前に突き出した盾で弾き、五本目、六本目は槍で薙ぎ払う。

 私は加速したまま触手を避けながら一直線にコアへ向かって飛び。




「だぁああああっっ!!」




 その不気味な黄色い物体に思いっきりビームランスを突き立てた。




 ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッッッ!!!!!!!!!!!!!




 おぞましい声が響き渡り、バイオウェポンは身体を激しく揺らしながら溶けていった。




「はぁあっ!はぁ!はぁ!」




 着地した私はその場で深呼吸を繰り返した。やっばい心臓バクバクだよ!だって実戦なんてこれが始めてだし、死ぬかと思った!




『ティナ、大丈夫ですか?』




「はぁ……はぁ……ん、大丈夫。バイオウェポンは?」




『バイオウェポンの生命活動の停止を確認しました』




「そっか、良かった……」




『ですが、その空間にティナ以外の生命活動を確認できません』




「うん、だろうね」




 周りに四散した、多分バイオウェポンに殺された乗組員の身体が散らばってる。




「アリア、この人たちのこと分かる?」




『残存パーツから推定するに、彼らはリーフ人である可能性が高いかと』




「リーフ人?まだ生き残りが居たの!?」





 リーフ人は、私達アード人がリーフ星系と名付けた星系で出会った異星人。

 とても友好的な種族で、綺麗な銀の髪と長い耳。透明な一対の羽を持つ人達。見た目はファンタジーの妖精かな?背丈は私達とほとんど変わらないけど。




 宇宙開発の過程で彼らとの出会いを果たせて友好関係を維持していたけど、リーフ星系の存在をセンチネルに察知されて、アードも大規模な援軍を送ったけど母星を護れなかった。

 今は惑星リーフを脱出した少数のリーフ人が、惑星アードで保護されてる。私も会ったことは無いかな。




 私は彼らを弔いたい心を抑えて先を急ぐ。居住区らしき場所を見付けたけど、そこはセンチネルスターファイターの攻撃が直撃したのか悲惨なことになってた。




『生命反応ありません。ティナ、残念ですが……』




「ん、仕方ない……か」




 諦めようとした時、私は視界の端に何かが映ったことに気付いた。気のせいだとは思いつつも、破壊された扉を潜って中に入ると、そこには男女のリーフ人の遺体を見付けた。そして二人が庇うように覆い被さっているのは……緊急避難カプセル!?そして中には私と同じくらいの女の子!




『ティナ!もう限界です!速やかに脱出を!』




「待ってアリア!生存者だよ!直ぐにアクセスしてカプセルを開いて!早く!」




『了解しました』




 多分二人はこの娘のご両親なんだと思う。出来れば弔ってあげたいけど、もう本当に時間がない!




 アリアがカプセルを開いてくれて、私は女の子をしっかりと抱きしめた。そして、二人の遺体を見る。




「ごめんなさい。あなた達の娘さんは、私が必ず助けます!どうか、安らかに。転移!」



 転移する瞬間、二人の顔が微笑んだように見えた。

オリジナル単位のパースが存在しますが、混乱を避けるために単位としては基本的に光年を採用しています。違和感を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、読み手の読みやすさを優先した結果であります。寛大なる御心でお許しいただければ幸いでございます。

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