ゼバ星系の生存者
たくさんのご感想ありがとうございます!中々返信できていませぬが、しかと読ませていただいておりますぞ!
ゼバ5で私達が出会ったのは、アードとリーフの特徴を併せ持つ女の子だった。
私は怪しまれないように小声でアリアに聞いてみた。
「アリア、あり得るの?」
「前例が無いわけではありません。基本的にハーフはリーフ人、或いはアード人どちらかに偏るものですが、希に双方の特徴を持つ子供が産まれることはあります。ただし、前例は極めて少ないのですが」
つまり、私達に弓を向けている女の子は非常に珍しいアードとリーフのハーフだね。
「答えよ、天外の者!」
「私達は救難信号を受けて、助けに来たんです!心当たりはありませんか!?」
武器を持っていたフィオレを下げて、とにかく私達が敵じゃないってアピールをしてみた。
「救難信号……長が話していた天外の機械か。お前達は、それを受けて駆け付けたと?」
「そうです!さっき壊された集落を見つけたんですが……」
「……そうか。だが、天外の者よ。その身なりから同胞であることは理解したが、話を全て鵜呑みにするわけにはいかん。
よって、これから長に会って貰う。それまでは身柄を預かる事になるが」
「わかりました。私達に争う意思はありません。武器を渡しましょうか?」
「いや、構わん。我らには魔法がある。武器の有無は差程関係がないし、何より同胞と争いたくはない」
ようやく弓を下ろしてくれた。警戒されているんだろうけど、こっちも下手に刺激したくない。
「分かりました。拘束とかしますか?」
「無用だ。この人数の差があり、そちらに邪な企みなあるならば抵抗は無意味だろう。武器を向けたが、私はお前達の言葉を信じることしか出来ないのだ」
「周囲に他の生命反応は存在しません。彼女一人だけです」
「分かりました、貴女の信用を裏切らないようにしますね。ほら、フィオレも」
「分かったわよ」
フィオレが腰のビームガンから手を離して、ようやく緊迫した空気が少しだけ緩んだ。
「私はティナ、そしてここに居る皆は大切な仲間達です。貴女のお名前は?」
自己紹介は大切だよ、古事記にも書いてる。多分。
「我が名はセシリア、誇り高きゼバ部族の戦士!まだまだ一人前には程遠い未熟な身ではあるがな」
ゼバ部族……気になる単語だけど、今は気にしないようにしよう。いずれ分かるし。
「セシリアさんは、戦士の方なんですね」
「セシリアだ、ティナ。お前は小さいが、見たところ歳はそこまで変わるまい。気楽に頼む。アード、リーフの同胞であることは見れば分かるが……」
セシリアが気にしているのは、やっぱりクレアだ。彼女もそれを理解しているのか、一歩踏み出して優雅に一礼した。
……何気ない仕草にも育ちの良さが出るよね、優雅と言うかさ。
フェルもそうだけど。
「はじめまして、セシリアさん。私はクレア、ノーム族の娘です。えっと、私達は……」
クレアが私達を見てきたので、笑顔で頷いておいた。
「ノーム族は私達リーフ、アードの大切な盟友で、クレアさんは大切な友達です」
フェルが笑顔で紹介したからか、セシリアも警戒を解いてくれた。
「そうだったのか、ものを知らぬ田舎者故無知を晒してしまった。非礼を許して欲しい」
「そんな、非礼だなんて」
「クレアは気にしてないわよ。むしろ警戒されて当然だと思うわ。で、こっちがフェラルーシア、私はフィオレ、こっちはアリアよ。よろしく」
「フェルと呼んでくださいね」
「アリアです。お見知り置きを」
「丁重な挨拶、痛み入る。では、長のところへ案内する。私から話せることはそう多くないからな。飛べるか?」
「もちろん飛べるよ!」
「むしろアンタは飛べるの?セシリア」
「ちょっと、フィオレ!」
フィオレはズバズバ言うからなぁ。
「うん?ああ、この翼を心配しているならば無用だ、フィオレ。この通りだ」
アードの翼とリーフの羽を器用に動かして飛び上がったセシリアを見て、私達も飛び上がる。もちろんクレアは私とフェルが左右から腕を組んで一緒にだ。
飛んでいる最中に雑談を振ってみたんだけど、セシリアは意外にも笑顔で応じてくれた。
お堅いイメージがあったんだけど、冗談も通じる気さくな性格で安心したよ。
しばらく飛んでいると、深い森に隠された隠れ里みたいな場所へ辿り着いた。これ、もしかして世界樹?
その巨大な幹をくり貫いて、中に空間が作られてるタイプだ。
セシリアの案内で一緒に中へ入ると、アード人やリーフ人がたくさん居た。皆不思議そうに私達を見てるから、出来るだけ警戒されないように笑顔で手を振ってみた。
「ティナ、これって」
「うん……逃げ遅れたのも分かるような気がする」
大人のアードやリーフの女の人が半分くらいかな。全員お腹が膨らんでいる。つまり、妊娠してる……妊婦さんだ。
アード人とリーフ人の共通点として、妊娠期間が地球人に比べて極端に短い点があるけど、お腹の赤ちゃんを大きくするために体力とマナを急激に消費するんだ。
つまり、妊娠中のアード人やリーフ人は魔法をほとんど使えないし、何より飛べなくなるから一番危険な状態なんだよね。
一番奥にある……祭壇かな?フェルと同じ二対の羽を持つリーフ人の女性と……二対の翼を持つアード人の女性が象られた石像が安置されている場所にリーフ人のお爺さんが座っていた。
「長、天外の客人をお連れしました」
セシリアが声をかけると、お爺さんはゆっくりと振り向いて……私と……フェルかな?私達を見てビックリしたように目を見開いた。まあ、私達の容姿は普通とちょっと違うからなぁ。
「まさか本当に来てくださるとは……これも陛下のお導きなのでしょうな……。
よくぞ参られた、天外の同胞よ。本来ならば部族を挙げて歓迎せねばならぬところであるが、残念ながら我々にその余裕はない。どうか、無作法を許して欲しい」
静かに頭を下げるお爺さんを見て慌ててしまった。
「気にしないでください!それより、私達は救難信号を受けてきたんです。放棄された里と、たくさんの亡くなった人達を見ました。何があったんですか?」
私の疑問に答えてくれたのは、セシリアだった。
「虫共だ。これまで我々は奴等と共生していたのだが、急におぞましい規模の群れが襲いかかってきたんだ。我々も必死に防戦したのだが、最後は押し潰されてしまった」
「数多の仲間を死なせてしまい、戦士で生き残れたのはセシリアただ一人のみ。最早万策が尽きて、縋る想いでビーコンを起動した次第。そして、貴女方がこうして来てくださった。どうか、生き延びた若者達を救っていただきたい。お頼みもうします」
涙を流しながら頭を下げる長さんを見て。
「任せてください!」
私の返事は決まってる!さあ、助けるよ!




