【第04話】村を出る 2
翌早朝、私は両親に別れを告げ、約束通り村の入り口へ向かった。
道中、畑に出ている人はいたが、幸い私をからかう子供は1人も見かけなかった。
「あ、よかった・・!」
村の入り口に行くと、女性だらけの冒険者パーティーはこちらに手を振ってくれた。
約束通り待ってくれていたようだ。
「お待たせしました、よろしくお願いします」
そう丁寧に言うと驚いた顔をした後に頭を撫でられた。
「ユイは偉いなあ。
できれば私たちのパーティーに入れてあげたいんだけど、
さすがに幼すぎるんだよなぁ」
「お気遣いありがとうございます。
私モンスター見たことすらないので、足手まといになると思います」
「それはそうとユイ、その恰好なんだね」
「あはは・・・これしかなくて」
私は自分の恰好を見る。
村では普通だけど、明らかにみすぼらしい布の服だ。
貫頭衣というタイプで、長方形の布を半分にして、
頭を出す穴を空け、腰あたりを紐でしばってはだけないようにしているだけの服で、
子供のころから同じものを着用しているので丈がふとももまでしか無い為、若干エロい。
まあうちの母に比べたらかわいいもんだろう。
ちなみに、この服を洗濯する時は、服が乾くまで私は全裸になる必要があるのだが、
日を変えて服を部分的に洗うという技を編み出してからは全裸になる事からは解放されている。
部分的に少し濡れているが、そこ以外は濡れていないので着ることができるのだ。
「まあ服については、街で働いて買えばいいだろ」
「ま、まあね」
「あはは・・・はい・・・」
「ユイはユイのお母さんと顔立ちが似ていいから、どんな服でも似合うわよ~」
「本当ですか? 楽しみです」
こうしてお姉さま方に囲まれながらとなりの国へ向かった。
あっという間にいつも染物をしている場所を過ぎ、更に歩く。
道中に小さな動物などを狩り、食べられる野草などを摘むのを手伝う。
私は率先してお手伝いをした。
力が足りなくてテントは張れなかったけど、しわを伸ばしたり、
川で洗い物を手伝ったり、料理が焦げ付かないようにかき混ぜたりした。
テントは正直、私の実家より暖かかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「え、鑑定受けられて無いの?」
「はい、私の前ですごいのが出ちゃって、勇者っていうんですけど。
それで、大騒ぎになってしまって」
「勇者か~」
「なんにせよ、ひどい話だな」
「お姉さまもそう思いますか?」
「そりゃそうでしょ」
リーダーさんが言うには、おそらく村がまとめてお金を払って来て貰っているので、
そのタイミングを逃したという事は、今度は自分でお金を出さないといけなくなるそうだ。
今回のように自分に非が無くても「自分がまだと言わなかったのが悪い、
教会は村の子供の顔なんて把握していないんだから。
むしろ本当にあの場にいたのか」などと言われる可能性だってあるそうだ。
「なんか選民意識あるんだよな、あいつら。同じ平民のくせにさ」
この世界の教会はあまり評判の良くない人が多いようだ。
このリーダーさんの幼馴染の女の子も教会に入ってからやたらと横柄になり、
自分やパーティーメンバーを見下す発言しかしなくなったので縁を切ったとの事。
縁を切るなんてよほどだったのだろう。
お姉さんにぎゅっとされた。
ちなみに鑑定をタダでうける方法もある。
それは次のタイミング、3年後まで待つっていう、私には取れない方法だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
5日後、無事に隣の国の街に到着した。
「負けるんじゃないよ!」
「はい、ありがとうございました! いつかお礼をさせてください!」
「はは、待ってるよ」