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転生聖女さんの無自覚な軌跡  作者: ゆめのなかのねこ
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【第17話】ギルドから斡旋された場所とは・・・!

食堂へやってきたが、まだアミさんとアユさんの姿はどこにもなかった。


(ん~。 まあいっか)


2人はそのうち来るだろう。

それに自分は2人と比べてかなり食べる速度が遅いので、お先に頂く事とした。


お昼は選べる定食3つの中から、ハンバーグ定食にした。

これも500円だ。


「やわらかい・・・うまうま・・お米もうまー」


私が一人で昼食を楽しんでいると、自分のテーブルに待ち人の2人が座ってきた。


「二人ともおはよう」


「おはよ~」


「お゛は゛よ゛・・・」


「アミさん、声死んでる」


「ぐべべ・・」


「こわいって。どういう笑い方なのよ!」


「ごほ、こほん。今初めてしゃべっだ」


「あら、赤ちゃんかな? よしよし~」


「今日初めてってこと!」


3人で笑う。

アミさんが倒れそうになって、お姉さんのアユさんに引っ付いた。


2人ともあくびをしているが、服装を見るに、出かける準備は万端のようだ。


”それ、お姉さんぽく無いね~、いいの、そういう姿ユイに見られても”

というと、もそりと自分で着替えなどをするようになったと、こっそりアユさんが教えてくれた。

つまり今まではお姉さんのアユさんがアミさんの着替えをしてあげていたのかな?言わないけど。


2人の元に朝ご飯兼昼ご飯が到着して、予測通り3人同時に食べ終わった。

アミさんに、噛んでる?って何度も聞いてしまった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「仕事、どうなったかな」とアミさん。


「私たちの名前があるから、悪いところは紹介されないとは思うけどねぇ」とアユさん。


「問題は場所だよね。

 そもそもここにずっと泊まっているわけにも行かないわけだし」と私。


「そうだよね」


「引っ越し?」


「うん。宿はやっぱ高いだろうし、家を借りた方がいいかなと」


「まあねえ・・・」


「ユイ、一人暮らしだから防犯面が心配」


「ここ治安良くないの?」


「ん~そこまでではないと思うけど・・・」


「大きな国になると、少なからずそういう奴らがわいてくる」


「そっか、そいういう奴らが狙いを付けるのって、私みたいな働いている子供だもんね」


「そう。あとユイは女の子。とてもかわいい。私の自慢の妹」


アミさんの発言に2人して笑ってしまった。

アミさんは言ってやったという顔をしている。


ちなみにこの2人、今日も付いてきてくれるのは昨日の夜に言われていた。

まだまだ暇らしい。


右も左もわからず、戦う力もない私としては逆にお願いしたいくらいなのでとても嬉しい。

こんな話をされた後だから余計ありがたく感じた。


「ふふ。優しい人のところに行けたらいいな」


「そうだね~」



そんな会話をしながらギルドの受付へ向かうと。


「おはようございます。ユイさん、お部屋を用意していますからどうぞ」


「あ、はい」


私の顔を見るなり、そのまま個室へと通された。

どうやら決まったらしい。



かるく挨拶をしてからテーブルに着くと、受付のお姉さんは3枚の紙を並べた。


「ユイさんには候補が3つあります」


「おお」


あげられた候補は、それぞれ以下のような説明だった。


1つ目は魔道具屋さん。

この国の大手であり、取引しているところも多く安定している。

魔道具の販売だけではなく、メンテ理修理も行っており、修理が出来る人を募集している。

しかし老舗(しにせ)でがあるゆえに上下がはっきりしており、出世はなかなか厳しい。

馴染めずやめていく人は一定数居るらしい。



2つ目も魔道具屋さん。

比較的新し目のところで、最近になってこの街で勢力を伸ばしつつあるところ。

取りあえず魔道具に関する技術がある人材を手当たり次第集めている。

そのうち国中に支店を作るのではとのこと。


まだ安定してはいないが、1つ目のお店と違い今のうちに入っておけば店が大きくなった時に、

上に行ける可能性があるかもしれない。

ただ、誰でも歓迎キャンペーン中らしいので、良くない人間がいる可能性があるとのこと。


私はしっかりとデメリットまで教えてくれるお姉さんに好感度が上がった。



3つ目は何故か宿屋さんだった。

それも安宿ではなく、高級なほうの宿屋らしい。


候補に上がった決め手は魔道具の修理が出来ることと、

しれっと私の両側の席に座って、いっしょに話を聞いている2人の名前だそうだ。

これは2人の顔をたてる意味でも宿屋一択だろう。


他の二つはトラブルの匂いがする!

それに私、あんまり忙しいのはなあと。


「ユイ」


「ぐはっ」


アミさんが、私のわき腹を指で刺してきた。


「な、なにすんのよ・・・!」


「ここ」


「ん?・・・あ」


そこには宿の名前が書かれており、

その名前はなんと今滞在している宿の名前だった。


「ここにする」とアミさん


「決めるのはユイだよ。

 でもあの宿なら問題はないかな~。ちらり」とアユさん。


そんな会話を聞き、私はますますその気になる。


「あの、仕事内容は?」


「はい。募集の内容としては・・・」


お姉さんは宿屋側の募集要項を1つ1つ指さしながら説明をしてくれる。


清掃、接客、時々食堂の方にも回って清掃、給仕をすることも。

そして最後に魔道具の修理、点検が出来る人を優遇したいと記載されていた。


ギルドとしても幼い容姿をして、少しゆっくりな私には、是非ここにしてほしい、ここなら安心しておすすめできる!

と、コメントを頂いた。


(誰がゆっくりよ!)


あとはユイを連れてきたアミさんアユさんがこの宿に良く滞在しているのも把握しており、

それで気を利かせて、この国に来たばかりの人間には普通なら紹介しない高級な宿をピックアップしてくれたらしい。


「この宿屋さんにしたいです」


私はまだ痛むわき腹をさすりながらしっかりと意思を伝えた。


「そう、よかったわ。

 ではこの後、宿屋のオーナーを訪ねて、この紙を渡してね」


「はい!」


私が元気よく返事をして手をだすと、受付のお姉さんはにっこりと笑い書類を渡してきた。


これはメロウさんの家に紹介されてきたときと同じ紙だ。

ギルドから斡旋されたことの証明書であり、懐かしい気持ちになった。


この後宿でオーナーと面談をして仮採用になるか決まるらしい。

その後は、私のがんばりが認められたら晴れて本採用になるらしい。


善は急げとギルドから出た私たち3人は寄り道なんかせずに宿屋に戻ってきた。


フロントに向かうと「お帰りなさい」と部屋の鍵を手渡される。

受け取った鍵を手に持ったまま、あれこれってどう切り出せばと悩む。


「はやく言って」


アミさんに追加でわき腹を指で刺されそうになるのを回避してから、

なんだろうという顔をしたフロントの人に、実はと書類を見せる。


当然驚かれ、そのあとにオーナーの部屋へ通された。

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