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第8話 ヒロイン達の恋バナ

遅くなりました。

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

じゃんけんの結果、俺と紺野さんと上野先輩で行くこととなった。

紺野さんとは何となく気まずいし、上野先輩には俺と紺野さんの間の関係性を何も知らない。

はぁ、こいつは大変だ。



当日、俺が待ち合わせの駅でぼーっとしていると、背中をポンっと叩かれた。

「おはよ。」


そこには笑顔の紺野さんの姿が。

白いシャツに青いジーパン。髪が揺れるときに少し甘い匂いもする。

しかし、彼女に息切れする様子や汗をかいている様子はない。


「おはよ。

 ここまで車とかで来たの?」



「え?

 歩きできたよ。」



「そっか。」



後は、上野先輩か。

少し経って、紺野さんが飲み物を買いに行っている時。

服の袖を誰かに引っ張られた。

振り返ると、白いワンピースに麦わら帽子を被った女の子が。


「ん?もしかして上野先輩ですか?」



「あ、ああ。

 紺野さんは?」



「今、飲み物を買いに行ってます。」



「そうか。」



少し沈黙が続いた後、急に変なことを言い出した。


「じゃあ私は着替えてくるから。」



「え?

 あ、分かりました。」



上野先輩は駅のトイレの方に消えていく。

確かに、ワンピースのままじゃ今日は大変そうだけど、着替えるならなぜその格好で?

紺野さんといい、上野先輩といい、女の子は不思議だ。



こうして俺達は電車に乗って埼玉県へ向かった。

俺達が今回参加するのは「自然の中でキャンプしよう」という小学生のイベントで、俺達はそのボランティアとして来た。


「今日はよろしくお願いします。

 上野さん、わざわざありがとね。」

今回のイベントの主催者、俺達の高校と友好関係にある小学校の数学の先生、柳井先生だ。

上野先輩の元担任の先生らしく、穏やかで優しそうな先生だ。

しかし、生徒20人に女性教師が1人。これは応援も呼びたくなるわな。


「でも、3人も来てくれるなんて。

 そちらのお二人も生徒会の方?」



「えっと、私は生徒会じゃなくて。

 今回のイベントに興味があったので。」



「俺も違います。

 上野先輩にはお世話になってるので。」



「そうなのね。

 今日と明日、大変だと思うけどよろしくお願いします。」



まずは川遊び。

基本的に小学生と遊ぶのは女性3人。

俺は誰かが危なくなりそうになったら助ける役のため、離れたところから見ていた。


柳井先生の周りには沢山の女の子の生徒達がいて、お話しながら一緒に遊んでいる。

紺野さんの周りには男の子が集まり、水鉄砲で遊んでいる。

上野先輩はというと、上手く輪に入れない子たちに声をかけ、一緒に綺麗な石探しをしている。


三者三様、凄いな。

これ、俺いらなかったんじゃ。


すると、皆から離れて川の下流に向かって歩いて行く女の子が。

俺は急いでその子の後を追いかける。


近づいて声をかけようとしたその時、女の子は足を滑らせて、その場で転倒。

俺は急いで駆け寄るが、この辺りは川の流れが強く、その子はどんどん流されていく。


全力で泳ぎ何とか追いつき、手を掴み、身体を腕で固定し、真横に泳いだ。

少し高かったが、何とか岸に着き、その子とともに上がる。


息はあり、声をかけるとすぐに目を覚ました。

「お兄ちゃん、ありがとう。」



「おお、あんまり遠くにいっちゃだめだぞ。」



「うん。」



俺はその子の手を取り、皆のいる所に戻る。


柳井先生が声を出してさがしており、思ったより大事になっているみたいだ。


柳井先生のところに連れて行き、事情を話す。


「ありがとうございます、三上君。」



「いえ、大したことは。」



こうして何事もなく、川遊びは終わった。

次にテントの準備を始める。

キャンプ場ということもあり、周りの人の手際を見て、効率の良いやり方は分かった。

俺は男子どもを引き連れ、準備を始める。

女子陣は今日の夕飯、カレーを作っているため、男子はブーブー文句を言いながら作業を始める。


「なぁ、兄ちゃんはあのどっちかと付き合ってるの?」



「は、はぁ?

 付き合ってないけど。」



「ふーーん、じゃあ紺野姉ちゃんは俺の嫁にするから。」



「お前、ずるいぞ。俺のだ。」



「いやいや、俺のだから。」



こいつら。まぁ気持ちは分かるけど。


「ぼ、僕は上野お姉さんがいい。

 お兄ちゃん、どうしたらいいかな?」


え、えーー。俺に聞かれても。

しかし、年上として答えないわけには。


「あー、まぁ優しくて頼りになる男になることだな。」



「そっか、僕頑張るよ。」



ふぅ、それっぽいことは言えたな。




そして準備が終わり、俺達は皆カレーを食べた。


その後、シャワールームで疲れを洗い流し、それぞれのテントに別れて、就寝する。







あまり眠れず、テントを出る。

暖まれるたき火があるところに、上野先輩の姿が。


「眠れないんですか?」



「あ、紺野さん。

 私、疲れてると逆に眠れない体質で。」



「あー分かります。

 隣、お邪魔してもいいですか?」



「ええ。」



隣で見た彼女の顔はとても綺麗で、女性の私でさえドキドキしてしまう。


「今日はありがとう。」



「いえ、私も楽しかったですし。

 それに、今日のMVPは三上君です。」



「そうね、彼は頼りになる人だから。」



「はい、本当に。」



「こ、恋人とかいるのかな。」


暗くて良く見えなかったけど、上野先輩の顔が少し赤くなっているような気がした。


「うーーん、いないと思いますよ。

 まぁ北条さんとは嫉妬しちゃうくらい仲がいいですけど。」



「嫉妬。

 もしかして、紺野さんって三上君のこと好きなの?」



「そ、そういうのじゃないですよ。

 あくまで友達として、うらやましいなーみたいな。」



「そ、そう。」


何でだろう、言葉に少し詰まってしまった。

それに、私の言葉を聞いて安堵の声をもらす先輩にこれを聞きたくなってしまった。


「上野先輩は、好きな人いるんですか?」



「いるよ。」



ハッキリ言う彼女に少し驚いた。てっきりはぐらかされると思ったから。

「私、影ながら応援してますね。」



「ありがとう。」



私はなぜかこれ以上彼女に何か聞くことはできなかった。


次回、上野先輩の妹が登場します。

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