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第6話 (まだ)負け(てはいなかった)ヒロイン

遅くなりました。ブックマークと評価、よろしくお願いします。

私は何でもそつなくこなす人間だった。

勉強も、スポーツも、まとめ役も。ただ、努力するのが好きなだけで、才能があるというわけではない。周りからよく頼りにされていたが、私は何となく自分に自身が持てずにいた。特別親しいと言える友人もおらず、最近の流行にも疎い。高校生らしくない自分にいらだちを覚えていた。


そんなある日、私は掲示板にある生徒会募集のチラシを見つけた。

何となくそのチラシを見ていると、ある生徒に声をかけられる。

「興味あるの?」


それが後の生徒会長となる南条なんじょう 胡桃くるみとの出会いだった。


「いえ。

 ただ、何となく見ていただけ。」



「そう。

 まぁやりたくなったら声かけて。私生徒会長になる予定だから。」



まだ始まってもいない選挙に絶対の自信を覗かせるその子が私には眩しかった。


結果、選挙はその子の圧勝。

圧倒的な人気で、友達も多くおまけに可愛い。

私にはないものばかりだ。



その後、何度か彼女に生徒会に誘われたが私は断った。

隣で比較されるのは耐えられないと思った。



そんな時、私は彼に出会った。

彼が落とし物をしたという友達のために校内を探し回っていた時のこと。

一生懸命に地面を凝視する男の子に声をかけた。

「あの、君大丈夫?」


それから、事情を聞いた私は捜し物の手伝いをすることに。

どうやら捜し物はハンカチのようで、水色でKのイニシャルが入っているらしい。



私たちは教室や体育館、保健室など色々な場所を探したがなかなか見つからない。

諦めかけたその時、彼はある場所を思いつく。

それは、女子更衣室の中。私は彼に頼まれて中を捜索すると、無事そのハンカチを見つけることができた。

とてもほっとした表情をする彼に私の心は温かくなる。



それから私達は流れで一緒に帰る事に。

男子と帰るなんて人生初めてで少しドキドキしていたが、彼に全く緊張している様子はなく、やはり私は人生経験が足りないなと感じた。

会話に困っていると彼の方から話題を振ってくれた。


「上野先輩って兄弟とかいたりしますか?」


「えっと、妹が1人いるけど。」


「やっぱり!

 面倒見がいいなと思ったので、いそうだなぁって。」


「君はいるのか?」


「俺は一人っ子です。

 だから兄弟ってうらやましくて。」


「そんな良いものでもない。

 都合のいいときだけ頼ってくるくせに、こっちが構おうとする時は態度が悪い。」


「それは妹さんが甘えてる証拠ですよ。」


「そう、なのか。ものは考えようだな。」


「絶対そうですよ。

 だって、俺初対面でこんなに頼りになる人に初めて会いましたもん。」


「な、そんなこと。

 私なんてそんなたいそうなものではないさ、生徒会長に比べたら。」


それから彼は黙ってしまった。

だめだな、こうやって自分を卑下するのも私の悪い癖だ。


そして彼と別れる交差点に着いた。

唐突に彼が口を開く。

「自信って後からついて来るもの。

 だからとりあえずやってみようよ。」


「え?」


「小学校の頃、好きだった先生の言葉です。

 先輩も何かやってみたらそれが自信になったりするかもしれませんよ。」


「それはそうかもしれないが、私にやれるだろうか。」


「もしそれでもダメなら、俺が何でも一つ先輩の言うこと聞きます。」


きっと冗談まじりの発言だったのだろう。しかし、私にはその言葉があと一歩の勇気をくれる魔法の言葉だった。


「そうか、その時はすごい我が儘な事を言うから覚悟しておいてくれ。」


「は、はい。お手柔らかに。」





それから私は生徒会副会長となり、胡桃を支える立場となった。

大変なことも多いが、前より自分に自信を持てるようになった気がする。



後日、彼にお礼を言いに行こうと思ったが、彼が綺麗な子と仲よさそうに話しているのを見て話しかけるのをやめた。



こんなに良い男だ、彼女の1人いても不思議じゃない。







そう思っていたのだが、彼には彼女がいないということが分かった。

そうか、私はまだ負けてはいなかったのか。



私の願い、それは彼に叶えてもらうのではなく自分でかなえよう。





「君の彼女になりたい。」



私は心の中で、そう願う。



次回、北条 対 紺野 対 上野。

女たちの戦いが始まる。

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