第4話 まさかの展開
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「今日、作戦会議するわよ。」
蒼空に会いに来た北条に真剣な顔でそう言われた。
「放課後は蒼空と遊びに行くんじゃなかったのか?」
「蒼空は委員会だそうよ。あなたもでしょ?
終わったら駅前のカフェに来て頂戴。」
「いや、蒼空はどうするんだ?
委員会同じなんだけど。」
「蒼空には好きな人がいるって伝えて来てもらいなさい。
さすがに今あの子の名前を出すのは良くない気がするし。」
「お、おう。分かった。」
「もしかして、蒼空には言いたくなかった?」
「いや、別にそうじゃないけど。
何か悪いなって。友達を二人も巻き込んで。」
「はぁ??
私たちの背中を押したあなたが何を言ってんのよ。」
北条は鬼の形相で俺をにらみつける。
何か地雷を踏んでしまったのだろうか。
「いや、俺何かのために申し訳ないといいますか。」
北条はわざとらしく大きなため息をつく。
「まず、あなたはその自己評価の低さを何とかしなさい。
でないと好きになってもらえないわよ!」
「そ、そうは言ってもなぁ。
俺そこまで自己評価低く見えるのか?」
「まぁやばいって程じゃないでしょうけど。
そうね、試しに蒼空に自分の良いところ聞いてみなさいよ。」
「いやだよ、恥ずかしい。」
「ちなみに私の良いところはね、、、。」
「ごめん、俺ちょっとトイレに。」
こうして俺は北条の長々とした自慢話を回避し、無事放課後を迎えた。
俺達の委員会は風紀委員である。まぁもう2月だし、大してやることないだろ。
俺達が風紀委員の集まりがある教室へ向かっている最中、いつもは何かと明るく話題を振ってくれる蒼空の顔が明らかに暗かった。
「どうした?何かあったのか?」
「いや、その俺が紺野さんのアレを断ったのは響子から聞いた?」
「ああ、うん。」
まぁ本人から聞いたんだけどな。
「だからさ、その気まずくて。
委員会同じだろ?」
「へ?そうだっけ?」
まじか、全然知らなかった。
「え?そうなの?
てっきり委員会が同じだから二人は友達になったんだと思ってた。」
「ん?あー、まぁちょっとした出会いがあってな。」
ちょっとどころじゃなくて強烈な出会いだったけどな。
「そっか。
俺、人からの告白断ったの初めてだからどうすればいいか分からなくて。」
なるほど、蒼空は良いやつだ。だから他人の好意を受け取らないという選択をして平気でいられるはずがない。きっと、相当苦しい思いをしたはず。
「普通にしてやるのが一番じゃないか?
俺も経験ないから分からないけど。きっとそういうもんだよ。」
「優悟が言うならそうなんだろうね。
ありがとう。」
「お、おう。」
爽やかな笑顔でお礼を言われると調子狂うな。
やっぱりあの事は言っといた方がいいよな。
「あのさ蒼空。
俺、実は紺野さんが蒼空のこと好きって知ってて。その手伝いをしてた。
言ってなくてごめん。」
そうだ。俺は親友の事を一番に考えられてはいなかった。怒られても仕方ない。
「あ、うん。知ってたよ。」
「へ?嘘。いつから?」
「紺野さんが告白してきてくれた時に色々繋がって。
響子からも話は聞いたし。」
「そ、そっか。ごめんな、俺、、、。」
「別にいいよ。
それが優悟の良いところだし。」
蒼空はそう言い、先ほどとは別人のように明るい顔で歩き出す。
きっと二人にはまだ溝のようなものが出来ているのだろう。俺が何とかしてやれたらいいけど。
こうして俺達が教室に入ると早速西条さんを見つける。
「こんにちわ、西条さん。
えっと、紺野さんは一緒じゃないの?」
「あの子なら今日は用事があるから帰ったわ。
真面目なあの子にしては珍しいわね。きっと、あなたのお友達のおかげね。」
西条さんは蒼空の顔をちらりと見てそう言う。
「なぁ、その言い方は良くないんじゃないか?」
蒼空を悪く言われ、俺は少し強い言葉を使ってしまう。
「そうね、ごめんなさい。
少し意地悪だったわね。」
意外だ、あっさり謝るとは。
「私、美波の事となると他の人のことがどうでもよくなることがあるの。
酷い人でしょ?」
「そうか?
それだけ、大切な証拠だろ。蒼空を悪く言うのはお門違いだけど。」
西条さんはポカンとした顔で俺を見る。
「な、なんだよ。」
「いえ、別に。
そうね、うん。あなたの恋応援してあげてもいいわ。」
「は?いきなり何の話?」
「ほら、委員長来たわよ。席について。」
こうして意味分からんことを言われた俺達は席に着く。
終わってから西条さんにさっきの発言の意味を聞きたかったがすでにいなくなっていた。
「よし、北条のとこ行くか。」
「そうだね。」
北条の待つカフェへ行く道中。
それが急に立ち止まり、辺りを確認して小さな声で言った。
「あのさ、優悟って今好きな人いるの?」
「え?あーそっか。さっきの北条さんのやつか。
まぁそのなんだ、実はそうなんだ。」
「ほ、ほんとに?
おめでとう、俺応援するよ。」
「あ、ありがとう。」
「相手が誰かって聞いてもいい?」
「そ、それはそのまだ秘密にしたい。」
「まぁ恥ずかしいもんね。」
正直別の理由の方が大きいが。
「ということは今から響子とするのって。」
「おう、その作戦会議みたいな感じだ。」
蒼空は闘志をみなぎらせてカフェへの道を急いだ。
カフェに入ると、北条がファッション雑誌片手にティータイムを楽しんでいた。
側にいくと、俺達に気づき手招きする。
「お疲れ様。
蒼空は、三上からもう聞いた?」
「うん、ついに来たねこの時が。」
「ええ、私たちで三上の恋をかなえましょう。」
二人が熱い握手を交わす。
どうしよう、帰りたくなってきたな。
それから俺達は作戦会議を行った。
色々と作戦は上がったがどれもパッとしないものばかり。
一様俺に作戦があるにはあるのだが成功確率低そうなんだよな、コレ。
「優悟、何か良い作戦ない?」
「お願い、三上。もうあなたしかいないわ。」
「おい、俺相談してる側なんだが。
まぁいいか。その、一つあるにはあるんだが。」
「勿体ぶらずに教えなさいよ。」
俺は「西条さんに協力してもらう。」という作戦を話した。
もちろん蒼空が居る手前、名前は伏せて好きな子の友達と言ったが。
「そうだね、それが一番いいかも。
でも、協力してくれるかな。そうだ、響子に繋いでもらえばいいよ。」
「へ?私?」
「うん、響子友達多いから。どうにか伝をたどって。」
おっと、こいつらまだその設定で会話してたのか。
これは北条が嘘ついてるのが悪いな。
仕方ない、助け船を出すか。と思ったのだが。
「ごめん、蒼空。
実は私友達って呼べる人1人しかいなくて。今まで嘘ついてたの。」
蒼空は安心したようなほほえみを浮かべ、ゆっくり口を開く。
「うん、何となく分かってた。
こっちこそごめんね。」
「ううん、蒼空は私の設定に付き合ってくれただけ。何も悪くない。」
「響子。」
「蒼空。」
見つめ合う視線。ロマンスがあふれているこの空気。
「おい、俺帰ってもいいか?」
2人は落ち着きを取り戻し、話を再開する。
「やっぱり、私が何とかしてみるわ。」
「大丈夫?」
「ええ、どうにか弱みを見つけ。じゃなくて仲良くなる糸口を探してみる。」
「そ、そうか。じゃあお願いするよ。」
ものすごい不安だが、女同士の方が良い場合も多いだろうし任せよう。
そして約一週間後。
俺は紺野さんと2人で動物園に来ていた。
いや、どないなっとんねん!!
次回、デート本編です。