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最終話 優悟の選択

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

覚悟を決めた次の週の月曜日。俺は2人を放課後、呼び出すことにした。

それぞれ、告白してくれた場所で2人に答えを言うつもりだ。



俺はまず1人目が待つ場所へと向かった。













そこは放課後で誰もいなくなった教室。

二人の少女が話をしていた。

「東条さんって案外性格悪いよね。」


「そうですか?

 まぁ褒め言葉と受け取っておきますよ。」


「いや、完全に嫌みなんですけど。」


「ふふ。

 ただの悪あがきですよ。最終候補にすら入れない哀れな女の。」


「やっぱりあなたも三上のことを。」


「あなたもってことは。やはり北条さんも?」


「さぁどうでしょうね。」


ガラガラ。

教室のドアが開く音がした。

そこからある人物が入ってきた。

その人物の顔を見て、東条さんが状況を察知する。


「こんにちは。

 そう、ですか。彼は彼女を選びましたか。」









俺は2人目をその場所で待つ。

ガラガラと音を立てて扉が開く。


「来てくれてありがとう。」


入ってきた彼女は静かに頷く。



俺は彼女の目を見て、ゆっくりと話を始める。

「実はさ、俺好きな人が出来たんだ。」


彼女は目を丸くし、不安そうな視線で俺を見る。

「その人はさ、明るくて正直でいつも俺に元気をくれるんだ。

 好きなものにまっすぐで努力を怠らない。俺はそんな彼女を好きになった。

 でも、1度は諦めようとした。俺には高嶺の花だってな。」



俺は一呼吸おいて、話を続ける。


「そんな時、俺は彼女にある頼み事をしたんだ。

 興味ないだろうに、彼女は笑顔でついてきてくれた。自分の好きな話を楽しそうに聞いてくれ

 る彼女に俺は再び恋をした。」


彼女の目からは涙がこぼれていた。


「紺野 美波さん。

 好きです。俺と、付き合ってくれませんか。」


彼女は必死に涙を手で拭い、少しかすれた声で答える。


「はい、よろしくお願いします。」


笑顔で彼女そう言い、文字通り俺の胸に飛び込んできた。

俺は咄嗟のことで支えきれず、二人で床に倒れてしまう。


「ご、ごめん。」


彼女が申し訳なさそうに謝る。


俺は彼女にもう1度自分の気持ちを伝える。


「好きだよ、美波。」



彼女はみるみる内に顔が赤くなり、俺の胸に顔を埋める。


「私も好きだよ。ゆ、優悟。」



こうして俺達は恋人同士となった。









私は親友を自分の家に招いた。

私はただ、淡々と里香の話を聞いた。

彼女は強い、辛い事実のはずなのに毅然とした態度で私に報告してくれた。

でも、最後に静かに涙を流してしまう。私はその震える背中をただ抱きしめる。

「里香、私のところにお嫁に来ない?」


里香は少し微笑み、泣き笑いで答える。

「考えておくよ。」








俺はその日の帰り、河川敷に来ていた。

今日は清々しいほど晴れていたおかげで、夕日はとても綺麗だった。

「まさか、こうなるとはな。」


俺は、この選択を後悔しないと、思う。

それでも、やはり辛かった。自分の気持ちが報われない辛さは少しは分かるから。

だからこそ、幸せになろうと思う。上野先輩の気持ちも美波の気持ちも、嬉しかったのは事実だ。


そんな感じで黄昏れていると一人の少女が鬼の形相でこちらにやってきた。

「あれ、有紗ちゃん。

 どうしたの?何か用事?」


彼女は思いっきり俺の頬を平手打ちし、投げ捨てるように言葉をかける。

「最っ低。」


そして彼女は足早に去って行く。

悪魔、いや姉思いの少女に俺は自分の罪の重さを自覚させられた。





次の日、俺は廊下で上野先輩とすれ違う。

俺は会釈をし、その場を立ち去ろうとした。


少し歩いたところで先輩に声をかけられる。

「三上、私はまだ諦めないよ。」




振り返ると彼女はすでに歩き出していた。

負ける気持ちは痛いほど分かるから、俺は彼女に何も言うことができなかった。






果たして、これからどうなることやら。

これからも、俺の人生は一筋縄じゃいかなそうだ。



最終話までお付き合いいただき、ありがとうございました。

何とか完結まで書き切ることができて良かったです。次回作はまだ未定ですが、もし機会があったら読んでいただけると幸いです。

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