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第22話 友からのエール

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

俺は、昨日2人の女の子に告白された。

人生でこんなことが起きるなんて。しかし、俺は決める必要がある。どうするのか。

俺を好きだと言ってくれた2人のためにも、選ばないといけない。





「で、私に相談してきたわけ?」


「ああ。」


俺は週末、北条を誘い喫茶店に来ていた。

我ながら情けないが、相談相手が欲しかった。


「まず、ちゃんと自分で決めなさい。」


「はい。」


「その上で、一様私からのアドバイス。」


「はい。」


俺は北条に怒られると思った。

いや、そもそも怒られたかったのかもしれない。自分の優柔不断な性格を。


「何を選んでも友達でいてあげるから。

 あんまり思い詰めないこと。」


「へ?」


あまりに北条から優しい言葉をかけられたので、俺はとぼけた返事をしてしまう。


「何?」


「いや、そんな優しいこと言われると思ってなかったから。」


「はぁ、私は別に鬼じゃないからね。

 私はあんたの味方。蒼空だってそうよ。」


「うん。」


こんなに優しい顔をした北条は初めて見た。

しかし、北条は段々顔が曇っていく。何か、言わなくてはならないことがあるようだ。


「で、北条は何か言いたいことないのか?」


「え?

 ああ、そう。お見通しよね。」



そして、北条は蒼空との本当の関係性を説明してくれた。

付き合っていなかったこと。そして紺野さんに協力しなかったのは、蒼空が誰とも付き合う気がなかったからだと。


「ごめん、秘密にしてて。」


「いや、まぁ。

 驚いた。でも、蒼空の今までの北条への態度を考えると納得できる。」


「そっか。」


最近驚き続きだな。近いうち心臓が止まってしまうかもしれない。

遺書でも書いとくか。


「三上。」


「ん?」


「あの時、助けてくれてありがとう。」


あの時とは、文化祭の時のことだろう。


「何だよいきなり。

 別にいいよ、大したことしてないし。」


北条にはたくさん助けて貰ってる。むしろこっちが礼を言いたいくらいだ。


「じゃあ、そろそろ出ましょうか。」


「そうだな。」



俺は店で北条と別れ、駅へと歩き出す。




俺は電車に乗り、ある駅で降りる。

そこは、蒼空の最寄り駅だ。そこから10分ほど歩き、蒼空の家に着く。

インターフォンを押すと、蒼空のお母さんが出て、すぐに家に入れてくれた。


俺は2階の蒼空の部屋の前まで息、ドアをノックする。

「はい、どうぞ。」


俺はドアを開けて、部屋に入る。

「まさか、北条と付き合ってなかったなんてな。

 嘘ついてやがったのか。」


俺は出会い頭に軽く悪態をつく。


「聞いたんだ。

 でも、優悟だって紺野さんを好きなこと黙ってたじゃん。」


「ああ、そうだな。

 お互い様ってやつか。」


「うん。お互い様。」


俺は何となく蒼空に右手を差し出す。

蒼空も右手を出して軽く握手をする。これだけで、いいのだ。


「で、相談したいんだろ?」


「ああ。

 その、女の子を振る時の注意事項みたいのを知りたくて。」


「相談ってそれ?

 まぁ優悟らしいけど。」


「いや、大事なことだろ。

 蒼空なら経験あるだろうし、何か聞けるかと思って。」


「う~ん。

 強いて言うなら、変に期待を待たせないことかな。」


「な、なるほど。そうか、そうだよな。」


俺が思い詰めたような顔をしていたからなのだろう、蒼空はハッキリ俺に言った。


「心配しなくても、1度の失恋で人は死んだりしないよ。

 まぁめちゃくちゃ落ち込むかもしれないし、恨まれる覚悟は必要かもだけど。」


「いや、後半の内容聞いたら全く安心できないんだが。」


「もしそうなっても、一緒に恨まれてあげるよ。

 友達だからね。」


「そうか。

 ありがとな。」


俺は素っ気なく、お礼を言う。

嬉しくて気恥ずかしいのを隠すために。


俺達はその後、1時間ほどくだらない話で盛り上がった。


最後に挨拶を交わして、蒼空とは別れた。



俺は駅に向かって歩いていると、後ろから呼び止められた。

「三上君。」


振り返るとそこには蒼空のお母さんの姿が。

「どうしました?

 俺、忘れ物でもしてましたかね。」


「その、蒼空と友達になってくれてありがとう。」


その言葉の本当の意味を理解することはできない。俺は蒼空の過去をあまり知らない。

でも、お礼を言われることではない。だって、俺とあいつは対等な友達だから。


「こちらこそ、蒼空と友達になれてよかったです。

 また、遊びに来ます。」


「ええ、ケーキを用意して待ってるわ。」


「それは絶対いかなきゃですね。」


そして、俺は蒼空のお母さんとも別れた。




友達のおかげだ。腹はもう括った。どうするかも決めた。

後は、2人に伝えよう。



次回、最終話。

最終話は本日の12時に投稿予定です。楽しみに待っていただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当は北条にも参戦してほしかったんですが…
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