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第2話 好きになってしまった

ブックマークと評価、よろしくお願いします。

「じゃあ行きましょうか。」


蒼空の横をがっつりキープして、腕までホールドした北条が先頭を行く。

こいつ、紺野さんへの一切の遠慮がないな。美人特有の余裕の対応とかはどうやらないらしい。


「美波、今日も可愛いね。」


「あ、ありがと。」


こっちはこっちで、西条さんが紺野さんの腕をホールドしている。

どうやらこの2人は相当仲の良い友達同士らしい。恐らく、西条さんは今日蒼空と紺野さんが仲良くするのを阻止しに来たのだろう。邪魔者が2人、何もしらない奴が1人。こいつは大変なことになりそうだ。




まず初めに映画を見に行くことに。そのままで行くと、紺野さんは絶対に蒼空と話す機会は訪れなさそうなので席のペアはくじで決めることに。


目がギンギンの二人をよそにくじをした結果。

北条と西条さんが隣。蒼空が一人。俺と紺野さんが隣。

考え得る限り最悪の組み合わせになった。


「ごめん、紺野さん。くじにするべきじゃなかった。」


「う、ううん。大丈夫。

 この映画前から見たかったから楽しいよ。あ、ポップコーン食べる?」


「ありがとう。」


俺は差し出されたポップコーンを口に運ぶ。

いつも自分の分を食べるだけだから、変な感じだ。


「おいしいね。」


「ね!

 私、キャラメルと塩のハーフが好きでいつも買っちゃうんだよねー。」


そう笑う彼女についいじわるを言いたくなってしまう。

「紺野さんって案外大食いなんだね。」


「お、大食いって。まぁ確かに人より少し食べる量は多いかもしれないけど。

 で、でも男の子って沢山食べる子が好きなんでしょ?」


「あーまぁね。

 蒼空もそうとは限らないけど。」


「いじわるー。あ、映画始まるよ。」


キラキラした顔でスクリーンを見つめる彼女。

俺はその横顔を見てなぜか蒼空をうらやましいと思ってしまった。





映画を見た後、満足そうにドアから出ていく蒼空と紺野さんとは対照的にサウナに限界まで入っていたかのような疲労感がダダ漏れの北条西条ペアが。


「この後どうしようか。

 紺野さんはどこか行きたいところある?」


「へ? 

 えっと、ボウリングとかどうかな?」


「お、いいかも。 

 俺も身体動かしたい気分。」


「み、宮澤君はボウリング得意?」


「うーん、あんまり。 

 優悟と行った時はだいたいいつも負けるし。」


「そ、そうなんだ。

 私もあんまり。何かボールを離すタイミングとか分からないよね。」


「分かる分かる。 

 それにあんなり離れたピンを倒すなんて無理だよね。」


「ねー、皆あの距離感つかめるの凄すぎ。」



二人が楽しそうに話すのを後ろから眺めていた。

すると、隣に北条が寄ってきて、小さい声で悪態をつく。


「たく、油断も隙もないわね。

 あんたとの約束がなきゃ今すぐ突き放してるところよ。」


「そう言うなって。

 紺野さんも必死なんだから。」


北条が俺の顔を覗きこむ。


「な、なんだよ。」


「いや、随分変な顔してるなーと思って。」


「は?別にしてないけど。」


「隠したって無駄よ。

 あなた自分が思ってる何倍も分かりやすいから。」


「もしそうなら、私応援するけど。

 きっと蒼空も応援してくれるわよ。」


「何の話だよ。」


「とぼけてるのか気づいてないのか知らないけど。

 待ちすぎて後悔しなようにね。」


「だからさっきから何の話を。」


蒼空に声をかけられて会話が終わる。蒼空と紺野さんの提案で俺達はこのままボウリングに行くことになった。

結局、北条が何を言おうとしていたのかは分からなかった。いや、考えようとしなかった。





ボウリングでは西条さんが大活躍。ストライクを連発。スコアは180を越えた。

俺はというと110点ちょいでそこそこ。北条は90点くらい。

蒼空と紺野さんは二人とも70点くらいだった。


北条さんが2ゲーム目を熱望したがさすがに皆疲れたということでご飯を食べに行くことに。



ご飯は学生の味方、セイゼリヤだ。安くて美味くてトリンクバーがある。最高だ。

なぜかドリンクバーを頼んだのは俺と蒼空と紺野さんだけで、条条コンビは水でいいそうだ。

紺野さんが席を立ったので、俺は蒼空に先にドリンクバーを取りにいくよう促す。

しかし、そこで北条が。

「蒼空、明日のデートで相談したくて。」


「あ、うん。」


少し悲しい顔をしながらドリンクバーを取りに行く紺野さん。

俺をその後を追うように席を立つ。



ドリンクバーの側に行くと、紺野さんがボタンを押しながら俺に向かって話すようにつぶやいた。

「やっぱり、二人は明日もその先もデートするんだよね。」


俺は何も言えない。二人の仲の良さは俺が一番知っているから。

ここで希望を持たせるようなことは言ってはいけない。


「知ってた?

 ドリンクバーって組み合わせでめっちゃ美味しくなることあるって。」


「え?組み合わせたら絶対まずくなるでしょ。」


「まぁまぁ。試しにさ。」


俺はカルピスとコーラを少しずついれてそれを手渡す。


「カルピスとコーラって。試しに飲んではみるけど。」


紺野さんは恐る恐る飲むと、一瞬で顔を輝かせる。

「何これ、めっちゃ美味しい!」


「でしょ?」


紺野さんは俺の脇をつついて、笑顔で言う。


「やるなー、三上。」


「・・・」


「あ、ごめん。急に呼び捨てにしちゃって。つい。」


「あ、大丈夫。

 うん、えっと戻ろうか。」




皆で仲良くご飯を食べた後、今回の会はお開きとなった。







次の日、俺はいつも通り学校へ行くと廊下で紺野さんとすれ違う。

紺野さんの方は気づいていないようでそのまま通り過ぎようとすると、ギリギリで紺野さんが気づき笑顔で手を振る。


俺は軽く手を振り返し、すぐにその場を立ち去る。



そのまま教室に入って蒼空に挨拶する。

「おはよっす。」


「おはよー。

 ん?何かいいことあった?」


「え?なんで?」


「いや、随分嬉しそうな顔してるから。」


「ああ、そうか。

 まぁうん、好きな子ができた。」


「え?ほんと?」


「嘘だよ。そんな訳ないだろ。」


「えーー。一瞬信じたのに。」



そうか、俺紺野さんのこと好きになってしまったのか。

絶対バレないようにしないとな。



次回、好きバレします。

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