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09話.[変わったんだよ]

「竜平、起きなさい」


 目を開けてみたら今回は姉が俺を見下ろしていた。

 いつもは早起きした莉菜がこうして見てきているから中々新鮮な気がする。


「お買い物に行きたいの」

「お、じゃあ行くか」

「莉菜ちゃんは柚木ちゃんといるからいまはいないわ」

「おう、たまには姉貴の手伝いもしないといけないからな」


 寧ろ莉菜がいたりするとすぐに甘えてくるからこういうときは困る。

 甘えてくれるのは嬉しいが、姉がいるところではやめてほしいというのが正直なところで。


「手、握ってもいい?」

「……まあ」


 色々迷惑をかけたからなんか言うことを聞いてあげたくなる。

 莉菜にはちゃんと言っておけば大丈夫だろう。

 ちなみに買い物自体はすぐに終えて帰路に就いていたのだが、


「「あー!」」


 今日はオーバーリアクション兄妹ではなく、妹と妹の組み合わせに遭遇した。

 いやまあ、莉菜はひとりっ子みたいだから違うわけだが。


「「あの、なんで手を繋いでいるんですか?」」

「昔はよくこうしていたからな」


 あのときの俺は滅茶苦茶嫌だと思っていたが。

 姉から逃げたいと思っていたし、なんなら自分が怪我してもいいからいられないようにしたいとすら考えていた。

 寧ろ色々されすぎて絶望していたんだ、あとは自分は価値のない人間だとも分かったからな。

 だからこういう自然な拘束ではない感じのそれは全く構わなかった。


「……私が竜平先輩の彼女なのに」

「それは変わらないぞ、抱きしめたりは莉菜にしかしないしな」

「おお、竜平さんが珍しく大胆だ」

「そうか? 莉菜に対してはいつもそうだぞ」


 学校で会うことは不可能なんだから理解するのはできないから仕方がない。

 それに俺だってこんなこと初めてで試行錯誤しながら~って感じだから。


「……私のときはお兄ちゃんの妹だからって全く相手にしてくれませんでしたけどね」

「それは柚木が真のことを好きでいたからだよ」

「好きですけどなにか? だからって竜平さんと仲良くしてはいけないなんてルールはないじゃないですか」

「最近は変えたから許してくれ、真ともまだまだいたいからな」


 そこで食材のことを思い出して別れることにした。

 ふたりはまだまだ出かけたいみたいだったから変わらず荷物を持ちながら家へと向かう。


「ありがとう」

「いや、そもそも家賃とか全く払っていないわけだからな、これぐらい普通だよ」

「……頭を撫でてほしいの」

「それぐらいなら別にいいよ」


 少しだけ悲しそうな顔をしていたのが気になったが気にしないでおいた。

 あと、後で怒られるだろうからそのときにしっかり相手をしようと決めた。

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