王女ロイテンシア 後編
随分間が空いてしまいすみません!
今後で最後まで書ききりたいと思います。
さしもの元検視官である俺も目の前で爆散した人間の血肉を頭から被ったのは初めてだ。
吐き気を気合いで押し殺し、俺はアンデッド回復の呪文を唱える。
するとバラバラの肉片に吹っ飛んだロイテンシア王女は何事もなかったかのようにケロリと復活した。
浄化魔法には滅法弱いが、アンデッドは物理的な攻撃で肉体にダメージを受けて消滅させられることはほぼないのだ。
自らの血で真っ赤に染まったドレスを纏いながら優雅な仕草でロイテンシアは笑顔を浮かべると。
「シーリーンさんとおっしゃいましたか、今回のところは私の負けを認めましょう。これでお互い貸し借りは無しということでよろしいですね?」
謝るどころかこれまでの確執をすべて帳消しにしようなどと提案してきた。
それに対して微笑を深めながらシーリーンは怒りを孕んだ返事をする。
「何言っているのかしらぁ? 人を死ぬまで拷問しておいて一回吹き飛んだくらいで許されるとでも思っているのぉ?」
ロイテンシアとシーリーンは笑顔で睨み合っている。
かなり確執は残っているようだが、ひとまずこの場での殺し合いはこれで終わったらしい。
俺としては自称俺のハーレムのメンバーになるのであれば仲良くして欲しいのだが、今はこっちよりも優先すべき問題がある。
「ほどほどにしておけよ」と一言釘を刺してから俺は後ろを振り返る。
そこには跪いて降伏の姿勢を取る、アンデッドとして蘇ったノワールがいた。
ノワールを死霊術で蘇らせようと提案してきたのはオフィーリアだった。
これまでと違って明白に敵対関係にある相手を蘇らせるとあって反対の声は多かったが、オフィーリアは。
「このヴァンパイアは『魔王軍先遣隊隊長』と名乗りました。蘇らせて命令させれば王都を解放することができるやもしれません」
その提案に俺たちは揃って頷いた。
ノワールから魔力を奪って魔力満タンとなっていた俺はこの場にいる全員を回復させたうえで万全の状態でノワールを蘇らせた。
臨戦態勢で待ち構えた俺たちの恐れに反して、ノワールは従順だった。
ノワールは死霊術で蘇ったことによって吸血鬼から特殊系上級アンデッドの死せる吸血鬼になったようだ。
これといった特殊能力は持たないが、吸血鬼の特性をそのままにアンデッド化したことによって全体のスペックが大幅に向上。
こうなれば俺たちが全員で力を合わせても勝てるか怪しいほどの強さである。
アンデッドは自らを作り出した死霊術師には基本的に従うものだが、感情が昂ったり正気を失うとその限りではないと、これまでで嫌というほど知っている。
プライドの高いノワールはアンデッドにされたなどとかわれば当然逆上するものと思われた。
そんな予想に反しノワールは。
「魔王軍は実力主義でね、一度敗れれば相手に絶対服従が基本ルールなんだよ。まして殺されてから蘇らせられたとあっては、もうボクはキミに従うしかないね」
このようにあっさりと魔王から俺の元に寝返る心積もりでいる。
裏切った振りで後で寝首をかくことも考えられたが、強者が弱者相手に腹芸をする理由もないだろう。
「ともあれ、これで全部終わったか?」
離れ離れになっていたメリリー、コトリ、シーリーンの冒険者3人娘パーティも揃った。
ついでに王女のロイテンシアと吸血鬼のノワールが仲間になった
サイコパス王女と魔王軍の元幹部という愉快な仲間が加わったことで俺のアンデッドハーレムは更に賑やかなものへとなるだろう。
「あ〜……シェルリ、オフィーリアと…………あぁ、スージーも入れて8人か。随分増えたもんだ」
そういえば、隣町に置いてきてしまったスージーは元気だろうか。
後で死霊術を使って念話でも送ってみよう。
「おい……まだ終わってない、ぞ」
気を抜いて他事を考えていた俺をメリリーの叱責が現実に引き戻した。
邪なことを考えていた俺に変わってシーリーンがノワールと話を進めている。
「それじゃあ早速だけどぉ、今上で暴れているあなたの部下たちに王都を攻撃するやめさせてもらえるかしらぁ」
「む……言われなくてもそんなことは既にやっているよ」
眉をひそめて返事するノワール。
どうやら俺には忠誠を誓っているが、他の仲間に命令されるのが気に食わないらしい。
「蘇って状況を理解してすぐに念話で部下たちに降参するよう伝えてある。もう僕は魔王軍じゃないからね、王都を攻める理由もないよ」
「ほぉ……」
ノワールはプライドが高いのが鼻につくが有能なヴァンパイアらしい。
それを聞いたロイテンシアが。
「でしたら私は失礼させていただきますわ。魔王軍に壊された王都を復興しないといけませんもの」
あの惨状から復興とならば、俺の出番かと声をかけようとしたところ、ロイテンシアは笑顔で制した。
「ゴーリー様と申されましたか? 私は貴方様と違って上級アンデッドは生み出せませんが、下級アンデッドならいくらでも生み出すことができます。お手を煩わせるまでもありませんわ」
「そ、そうか……?」
人間の死霊術師である俺と違って死者の姫の死者蘇生は特殊能力によるものだから魔力消費が無いのか?
死体を用意する必要があるとはいえ、ほぼ無限に死者を生み出せるってのはかなりのチート能力だな。
こいつこそ寝返えられないよう注意したほうがいいのかもしれない。
「しっかし……後から俺のハーレムに加入してくるやつらは我の強いやつらばかりだ」
「君主の女達?」
俺の独り言を聞いてノワールが戸惑った表情を浮かべる。
「安心してぇ。そもそもこの集まりをハーレムだと思っているのはゴリだけよぉ」
「まったく……だ、な」
「わわわわわたしは神官ですから……!」
俺の野望に反して冒険者三人娘はけんもほろろな返答。
「ゴリ様。私はこれまでも、これからも、誠心誠意お仕えする覚悟です」
「ちょ、ちょっと! 抜け駆けはダメなんだからぁ!」
しかしオフィーリアとシェルリからは暖かな言葉が。
やはり一緒に過ごした時間が長いメンバーは違うな。
ーー冒険者三人娘たちには今後に期待だ。
人数の増えたパーティメンバーの前で俺は異世界転生ハーレムを作るという野望に向けて決意を固くするのだった。
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