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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
序章「現実世界と異世界と」
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8話「後始末」

――村に現れたオークたちを全滅させたフィーナ、その後処理をした俺たち2人は村の人々に感謝の言葉とともに、何やら畏怖されたかのような歓迎をされた。


後処理の後処理は、我々におまかせをというので回復力が半減している俺は、村にしては立派なお宅にお邪魔していた。……この村の主のベッドでフィーナは寝ていたが。


「今回はほんに、冒険者の方と妖精様に助けられました。ありがとうございますじゃ」


という言葉とともに、3人くらいが座れる椅子の1人の老人――村長さんが俺に礼を言ってきた。


「情けないことですが、俺が全部やったんじゃなくてあのバカ妖精が勝手に特攻かましただけなので気にしないでください。てか、本来は偵察だけの目的だったんですが……」


それがいきなりの襲撃だったし、フィーナが喜び勇んで1人で特攻かましただけなので俺にお礼なんていうのはとんでもない話だ。


「謙遜するな。……俺は見ていたが、お前だって生き残ったオークの首を掻っ切ってただろう?」


そうやって口をはさんだのは、元冒険者だったというアルダーさんだった。

肘に矢を受けて引退したのを切っ掛けに生まれ故郷に戻ったというアルダーさんの事情が某ゲームのパロディっぽくてちょっと笑えたが、もちろん笑わなかった。


肘て。


「にしても、お前さん存在感が薄くて最初何がなんだかだったが冒険者として大事なトドメは忘れなかったのはすごいことだぜ」


いや、本当に養豚場での豚の屠殺経験が役に立っただけなので。

感触も思い出したくもないので、あまり触れてほしくはないことだったので、俺は話を遮って村長さんのほうを向くと話しかけた。


「えっと、とりあえず後始末が終わるまで俺たちってどうすればいいんでしょう?」


「ふむ……。本来は偵察目的だったそうじゃが、もうすでに始末が終わっておるでな恐らくは村の蓄えから出せるギリギリのお金とオークの肉でということになるじゃろう?のう、アルダーよ」


「ん?ああ、そうだな。今の協会の規定が俺がやってた頃と変わらない規定だっただが……おそらくはそうなるはずだぜ」


そうなのか。

納得したが、結局俺たちはどうするべきなんだろう。


と思っていると、立ち上がった村長さんがネックレスをというので、俺が差し出すと控えっぽい依頼書を差し出して何やらぶつぶつと言葉を呟いた。

すると、配達した時と同じような感じになったのでこれで依頼が完了ということだった。


そこへアルダーさんが、問いかけてきた。


「そういや坊主――あー、シュンと言ったか? お前ら2日かけてここに来たんだろ? こういう自体だし、手練れの冒険者を見かけなかったか?」


「そ、それはどういう?」


意味が分からなかった俺だったので、聞いてみたら――


どうやら俺みたいに正冒険者になったら、うまくできるかを確認するために最初の依頼は監視付きでの依頼となるそうだった。

俺がそれ聞いてぎょっとしたのを不思議に思ったのは、言うまでもないだろう。


村で1日過ごした後、その手練れらしい冒険者が村にやってきた。

一言目の言葉で、空を飛んで移動とかズルいだろ!と言われたのは当たり前のことだと言っておこう。


「すいません……。それで依頼ですが……」


「よう、お前だったのか。ゲイン」


「ア、アルダーさん! 久し振りっす」


どうやらこの二人は顔見知りらしい。

そういやこの村の出身でしたねとか気安い感じで接している。

そんなゲインさんに俺は、事のあらましを伝えると最初驚かれたが、フィーナのことを伝えると妙な納得をされてしまった。


「あの妖精様がね……なるほど。じゃ、あとはこっちで引き継ぐから……そうだな、ちょっと待ってろ」


そう言うと、何やら書付っぽいものを書いて俺に渡してきた。


「俺の名前での報告だ。アルダーさんの証明で真実と分かるんだがもう冒険者じゃないアルダーさんよりゃ、現役で監視任務中の俺の言葉のほうが信用性もあるだろ。ってことでそれを協会長に届けといてくれ」


「はい、分かりました」



ということで、俺は村の人やアルダーさんたちに礼を告げられて町に戻ることにした。その間フィーナと言えばあーもうだるいわねと文句ばっかりだったのは言うまでもない。


フィーナによって空の住人となった俺は、考えてたことをフィーナに伝えた。


「やっぱり俺も武器を持ったほうがいいだろ?」


「はぁ?なんであんたが武器を? てか、使ったことすらないんでしょ?」


そ、そりゃそうだけど……。


「まぁでも、あんたが強くなるのは単純にあの人間――アルダーとか言うやつがいうように肉体能力を上げるのがいいかもしれないわね! そしたら、あたしが面倒な奴でもあんたがやってくれそうだし!」


とか、言われた。

くそ、こいつどこまでも暴虐だ。

慣れたとはいえ、今もそれなりの速度で飛びやがってるし。


だがしかし、こいつのこういうところも色々危ない気がするので俺は町に帰ったらとか病室に戻って退院したら体を鍛えることにすることにした。

まずは、スクワットとかからかな?


「にしてもあんなのが依頼なんて、人間って本当に脆弱ね。昔はあたしたちの郷まで侵入しようという気概くらいはあったのに」


こ、こいつがいる郷に!?

それはそれは、とんでもない目にあって逃げ帰ったんだろうなということは想像に難くないだろう事柄だ。


「ま、人間も悟ったんでしょ? あたしらに手を出したらどうなるかっていうのをね。……あのクソババアのせいでってのが腹立たしいけど!」


そういえば、妖精女王をクソババア扱いしてるこいつって何歳だ?


とか聞いてみると、シュンスケ!人間のくせに女性に年齢を聞くって良い度胸ね!とか何とか言ってめちゃくちゃな速度で飛ばして帰らされたのは言うまでもないことだった。


実質、行きで1日、あっちで休みで1日、そして帰りで1日というわずか3日で俺は依頼をクリアして元の町に帰ることとなった。

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