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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第三章「砂国の冒険」
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エピローグ「瞬介のいない異世界で③」

その頃――

瞬介が意識を失い、数日が経っていたある日のこと。

こちら側でも瞬介の行動が問題を起こしていた。


「シュ、シュンスケ様!いきなり何を!」


それは、突然だった。

瞬介がぽーっとして意識を現実世界に飛ばしている間の見張りとしてラビィが、見張っていたのだがいきなり眠そうな感じで目をグリグリとした上でどこかに行こうとしたのを止めたのはいいが、いきなりその場でズボンを下げようとしたのである。


これには普段冷静なラビィも驚きを持って制した。

そこへリンスがやってきた。


「いかがなさいましたか?」


「リンス、シュンスケ様をお止めして!」


そして彼女たちは必死にズボンを下すのをやめさせ、そのままトイレへと誘導してからおろさせるのだった。


こんな感じで今日は、というかしばらくするとぽーっとするが、たまに何かを食べたり誰かと話したりと奇妙な行動が目立っていた。


「フィーナ様、これがどういうことかご存知ですか?」


「知らないわよ、あのクソババアに聞いたら?」


と言って珠を差し出してどこかへ飛んでいくフィーナ。

その行動にぽかーんとするラビィだったが、自分が何を手にしているのかに気づくとそれを置いてそそっと距離をとった。


フィーナのいうクソババア。

確か瞬介から話を聞いていた妖精女王の存在だ。


ラビィとしては、一介の人間である自分が妖精女王と話せとは恐れ多いにもほど遠いことだった。いわば、天上の存在である妖精たちの女王とは人間にとってそれほどの存在だった。


『そこまで恐れる必要はありませんよ、ラビィ』


と、いきなり珠から人型の影が浮かび上がるとラビィに向けて声をかけた。


「こ、これは……わざわざ申し訳ございません。陛下」


そうして突然の出現に驚きながらも、ラビィは丁寧なカテーシーで妖精女王に礼をした。


『いえ、シュンスケのことですね。あの方は、力の使い過ぎによる代償で――』


妖精女王からの直々の説明によって、ラビィは真相が分かった。


つまりは――


「……では、彼はあちらの世界での動きをこちらに投影してる形で、ということですのね?」


『ええ。無自覚かと思いますが、今のシュンスケの気配の違い……気づいてますか?』


「そういえば」


と、ラビィはあることに気付いた。

いつもは無自覚に半減していた存在感が今でははっきりしていたこと。

それは気を失い、今の宿の寝室に運び込んでからはっきりしていた。


「まさか、力を失ったのですか?」


『それはありえません。……今しばらくはそのままの状態ですので、それは了承してくだされば……そうでした。依頼の件は私のほうであの国の王に伝えておきましたので、ではこれで』


そして、慌てて礼をしたラビィを残して珠は光を失くして消えた。


まずは依頼が無事完了したことが報告できたことにホッとするラビィ。

……まさかそれが、妖精女王から直接とは思わなかったがと苦笑した。


そのまま時は過ぎ、シュンスケはたまに慌てたり、誰かと格闘したりなど色々な動作を行っていたが彼自身が目覚める時まで色々と苦労することになるのだった。


主に、ほったらかしのフィーナと自然のままの動作を適用しているコーディのせいで。







『では、また全王会議で』


と、言って妖精女王との通信が切れた。

王はふうとため息を吐き、宰相を呼んだ。


呼ばれた宰相は、またかとでもいうように王の言葉を待った。


「宰相、無事彼らは大陸の解放を行ったそうだ……妖精女王陛下直々に報告してきた」


その言葉に宰相は驚きとともに、まさかと妖精女王直々の報告に驚いた。

そして、砂嵐に覆われた砂国のある大陸解放にも、だ。


「……余は少し疲れた。後のことをまかせても?」


「はっ、ただちにアランの町を治める貴族に事の次第を伝え、アランの町の協会にも報告を」


「ああ、頼む」


そうして本人たちの知らないところで、話は進んでいった。


国王としては、幻の大陸と言われていた砂国の解放による交易やその他もろもろのこと。

宰相と貴族は、瞬介が他のどこかへ行ってくれないかなという不安と、ガルマは……


「やってくれおったか……これで奴は無罪だ」


という安心の気持ちと期待通りの成果を誇らしく思うのだった。




まさか、この町へと新たに訪れる"存在"など知りもせずに。

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