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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第二章「現実世界の依頼」
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8話「力の使い方」

結論から言えば、だ。


翌朝から親父の質問攻撃がすごかった。


「な、なぁ、瞬介。この卵も半額になるのか?」


「な、ならん」


「じゃあこの車をだな……」


「だから、金額まで半額になるわけじゃない!」


こんな感じだ。


しかもお金に関することばかりなのが、親父らしい。


「もうお父さんたら……瞬介、この蓋が開かないの」


「ああ……って、半分の力で開けられるけど、半分の力しか入らないから結局は――」


あれそういえば……。


ちなみに、蓋は簡単に開いた。


俺は悠人たちに声をかけて、自宅に集合してもらった。

明花と優奈ちゃんもなぜか来た。


「優奈ちゃん、これ美味しいですよ!」


「はるかおねえちゃん~おいしい~」


ああ、癒される。


じゃなくて。


「悪いな来てもらって……」


「気にしないでくれよ、僕たち仲間じゃないか」


「そうさ、おいらたちで良かったらなんでも相談してくれよ」


「誠太の場合、明らかに面白がってるだろ」


「ははは~、まあね」


それにしてもだ。


「誠太のお母さんが刑事だったなんて……」


「しかも警部だよ、すごいだろ。まぁ最近はサイバー犯罪が多いから色々おふくろから質問をもらってるうちに……ってやつで」


いやそれでも警部なんて。

あの若さ……何歳かは知らんけど。


「瞬介に言っといていって言われたから言うけど、もうあんまりあんな無茶なことはしないで相談に乗ってくれってさ」


「あはは……まぁ、そうだよな」


「は~い、みなさん。お茶どうぞ~」


と、母さんがお茶を入れて持ってきてくれた。

ありがとうと答えて、母さんのほうに指を指して半分!と念じた。

すると――


「瞬介! いきなりは辞めなさいって言ったでしょ」


「まぁ軽くなるからいいかなって」


「もう……あ、皆さん気にしないでゆっくりしていってね~」


そう言うと母さんは、優奈ちゃんにお菓子を渡して撫でて出て行った。

さすが親子、優奈ちゃんに構うのがいかにも母親らしい。


「瞬介くん、さっきのは?」


「ああ、意識して母さんが持ってるお盆とか飲み物を"半分の重量"にしてみた」


「意識してやったってこと?」


誠太の質問にそうだよと答えた。


俺は自分の力を役立てようと、あの日から色々研究した。

その結果意識した状態だと"より"掛かりが良いっていうか、二つの意味があることが分かった。


「ポジティブイメージとネガティブイメージ?」


「ああ、例えば――」


俺は持ってきたチラシの裏に、"お盆に乗ってる物が半分になる"と書いて

その後に"お盆に乗ってる物を半分にする"と書いた。


「この~が半分になるがネガティブイメージ、~を半分にするがポジティブイメージかな?」


「なるほど、寄り効果を発揮させる"する"はポジティブ、"なる"は逆になってしまうってことでネガティブな状態にってことか」


「そう、だから――」


俺は、明花が抱っこしている優奈ちゃんを見つめて体重が半分になるようにイメージした。


すると――


「あら?なんだか、優奈ちゃんが軽くなったような……」


「わ~い、なんかふわふわ~!」


「と、いう感じに限定的に力が使えるという感じだ」


ちなみに今自分へのポジティブイメージはオフにしているので、俺は元々の体重だし、俺が認識している効果範囲は効果ゼロになるようにイメージして対応している。



「そういえば、何か普段君と一緒にいる時とは違う感じがすると思ったらそういうことだったのか」


「おいらも頭が何やらもやってたのに、瞬介といてもそれがなかった」


「……結構大変だったけど、こんな感じで意識をするしないでだいぶ変わった感じかな?」


「なるほど」


と、悠人、誠太ともに揃って納得してくれた。

親父たちに告白してから数日が経っていて、その間に色々対策を建てた。

ヒントになったのは潜入作戦の時の意識して力を使った結果、より効果が増すというものからだが、知力が下がってる状態では中々に大変だった。


まだ未完成なので、自分のあらゆることを半分にせずってのは無理だが、

一個や二個くらいならば可能になった。これもこれからの修行次第だろうと思ってる。


「そういえば、異世界へはいつ行くんだい?」


「ああ、それ! ……早くあっちで召喚魔法を習得してさ、おいらたちを招いてくれよ!」


「魔法ね……まぁ、それはあっちで頑張って覚えるにしても……連れて行けるかは」


「それなら物で試してみればいいんじゃないか? ……例えば、スマホとか」


「スマホを持っていってどうすれば?」


俺の質問に、誠太が指を立ててこういった。


「……もちろん、あっちでの写メで使えばいいんだよ」


持っていけるのか、果たしてどうなるのかは謎だが試してみようと思った。


「それはそうと、瞬介くん。そろそろ試験シーズンだけど勉強はしてるかい?」


「あ……」


……それから俺は、2人のスパルタ教師によって試験勉強を余儀なくされたのは言うまでもないことだった。


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