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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第二章「現実世界の依頼」
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4話「誠太との話し合い」

兄弟がいないといる人が羨ましいんだよとごまかした上で、先ほどまでの話――俺の力のことで話を続けた。


「瞬介って呼んでいいか?」


「ああ。で、俺の力……なんで気づいたんだ?」


その問いに、誠太は優奈ちゃんが持ってきてくれたお茶を一口飲んで、何やらパソコンでカタカタしだした。


「これだ」


そうして画面を見てくれっと言われたので、見ると――俺が映っていた。

しかも、あのトラックが突っ込んで来た時の映像だ。


……どこでこんな映像を。


「近所に中古車屋のカメラがあるだろ?……そこをまぁちょちょいっとね」


なんて奴だ。

どうすれば、そういうことができるのかさっぱりだがカメラを乗っ取ったらしい。


「で、ここだ」


それはトラックが来る前と来た後の差だった。

俺の力は効果範囲がある。

今のところ、明確に実験をして検証したりして正確な範囲というものは分かってないが、なんとなくの距離は理解している。だいたい50m前後。

それが俺の勘による効果範囲だ。


実際迷宮の時も、それでウッドゴーレムに燃える剣を投げたし。


話を戻して、カメラに映る鮮明な映像には普通の速度のトラックが、俺の力の効果範囲に入った後は急な減速をしていた。

そして……当然のように俺は避けていた。


こうして、外野で見ると割と余裕を持って避けているのが分かる。

あの時結構焦ってたけど、やっぱりゴーレムと比べると明らかに遅かったしな。


「これも妹の話を信じて興味本位で、調べた結果なわけだが……面白いだろ?」


「お、面白いな……他人事だと」


俺の言葉にそうかとおいらが調子乗ってたと謝ってきた。


「いや、いいよ。理解者が1人でもいてくれるってのは結構大事だから」


「そう言ってくれておいらも嬉しいよ。この件を知ってるのはおいらだけ?」


「いや、お前以外にあと2人知ってるかな?」


そうかといってお茶に口をつけてまたカタカタとキーボードで入力して、何やら画面を出す。


「それはこの人とかか?」


そこに映っている画像は、東郷悠人その人だった。


「す、すごいな」


「ま、おいらに映像でハッキングできないところは……この街じゃないね」


「そ、そうなのか」


ハッキングってのは犯罪だろ?

大丈夫なんだろうか。


「悪用すればクラッキング、まぁおいらは必要以上にはそういうことはしないし大丈夫大丈夫!」


いや、真似しちゃだめだぜな絶対的案件だ。


「別にそういう力があるからって、脅すようなことをおいらは考えてないからさ。だから住所も晒したんだし、まぁおいらの目的はその力に興味があったりするってことだよ」


「そっか……ちなみに異世界に興味とか?」


「そりゃあもちろん! ……ま、まさか……」


「ああ、実は――」


そうして俺は異世界転移のことまで、話してしまった。


「そ、それはおいらも……!」


「悪いが連れていけない……と思う。試したことないから分からないけど」


「試す方法もわからないもんなぁ……いいな、異世界」


「話してやるよ、今までのコト」


そして俺は時間をかけ、異世界に転移した時のことから迷宮都市までの経験を話してあげた。その食いつきったらもうすごいことだったのは言うまでもないことだろう。


「怪力の妖精に、迷宮令嬢と呼ばれた二人組の冒険者……瞬介の力を知らんかったら夢物語で終わってた話だぜ」


「まあ、そうだろうな。俺も詳細を話したのはこれで三人目だけど、わりと常識的な東郷たちは異世界に関しては反応がにぶかったし」


「そりゃそうだろうな。でも、おいらは違う! ……いつかチャンスがあれば、行ってみたいもんだ」


「いや、行くのはいいけど……結構生々しいぞ。そこいら中に抜き身の剣とかの武器持った奴とかもいたし。迷宮都市なんかは特にその傾向が強かった」


なんせあそこは犯罪者さえ受け入れるとか聞いたし、と続けると謎の興奮をして誠太は話の続きを促した。


その後のゴーレム戦なんかは大盛り上がりだった。

あとは、ラノベとかで有名なアイテムボックスの限定版であるダイヤログボックスの話も。


「ダイヤログボックスか……、面白い偶然だねそりゃあ」


と、なぜかクスっと笑っていた。

なんだろう?パソコンに関係のある言葉で同じのがあるとかかな。


とにもかくにもそうして誠太としばらく話をして、誠太立ち合いの中でいつか検証しようという話になった。


誠太のお母さんに挨拶をして、優奈ちゃんをモフ――撫でて誠太とは家の前で別れた。


そして、翌日――


「よ、おいら呰上 誠太。よろしくね、悠人くん」


と、東郷との顔合わせをしてもらった。

しかも誠太の奴、面白そうだからという理由だけで次の日から登校してきた。


「や、やあ……半田くん、彼は?」


「うん。俺がドジって映像に俺の力が映ったことでバレた。はは、ははは……」


はぁ~とため息を吐かれたのは仕方のないことだろう。


「半田くん……いや、もうこの際なんだけど瞬介くん。僕のことは悠人と呼んでくれないかい?」


え、何その急な提案。

と思うが、そういえばと俺は分かった悠人と了承した。


ちなみに今いるのは、悠人の家のジムだ。

誠太は全くそういうのに興味がなく、ゲームをしてる中俺は悠人、それから明花とともに鍛錬に精を出していた。


それから数日は、俺は鍛錬に合気道、剣道とたまに優奈ちゃんを連れて誠太が来るため、明花が特に猫可愛がりをする以外は何もなく過ごしていた。


しかし――


俺のドジが招いたことである日のこと、俺がたまたま悠人や誠太に俺の家で飯食っていけよという誘いで一緒に、家に帰ると一通の宛名なしの手紙が届いていた。


そこにはシンプルにこう書いてあった。


『君の母親は預かった。君が来た建物まで君の父親と来なければどうなるか分かっているね』


という手紙だった。

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