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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
第一章「メイドとお嬢様」
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5話「迷宮に向けての特訓」

俺たちは、共に迷宮を攻略するということで一致したため彼女の定宿にしているところまで案内されてきた。


「こちらですわ。……部屋は空いてると思いますので」


ラビィに促され一緒に宿屋に入ると、リンスが俺たちの宿の手続きをしてくれて手配をしてくれた。


「攻略開始は、3日後ですわ。それまでこの都市を楽しむなりご自由にしてくださいな」


そう言って笑顔で部屋の前で別れた。

俺は早速寝る態勢を取る……そのことで、もしかしてとフィーナが飛んできた!


「あんたまさか、あっちに帰るんじゃないでしょうね!! あたしが暇になるじゃない!」


「いや、俺だって考えがあって帰るんだ! 暇になるのは……仕方ないだろ」


「ふざけないでよ! あんたがぼーっとしてる間あたしはどうすればいいの?」


「あのお嬢様たちに相手してもらえよ。……なんか2人1組だとお前と楽しめそうだとか言ってたじゃねえか!」


「……そうね、それも面白そうね」


「よし、じゃああとはまかせた! おやすみ!」



そう言うと俺はすぐにあちらの――現実世界を目指して眠り込んだ。




「はっ!?」


時間を見る。

というか、部屋を見ると馴染はないけど馴染のあるアパートの一室だ。

よし、7時間くらいか。


しかも一日しか経ってないということは都合がよかった。

こっちよりもあっちのほうが時間の進みが遅いのは意味不明だったが、俺としてはこちらで鍛錬ができるのであればいいので豪快に起き上がった。


何よりも――


「いただきます!」


ガツガツと母さん手製の朝ごはんを食べる。


「ま、まぁ~どうしたの?そんなにおいしそうに食べてくれて……」


「瞬介? 何かあったのか?」


「ひや、なんか無性に母さんの料理が懐かしくておいしくて……!」


正直に言って、あちらのご飯はこちらのご飯に比べてまずい。

そりゃ時代というか、世界が違うんだし食べるものってのも全く違うのは分かるが、やっぱり日本人は日本食が一番というかめっちゃ米とかこっちの料理に飢えていたのだ。2週間もそれが禁じられた状態だったこともあって、俺は今感動しながらご飯を食べている。


「まぁ、あなた。瞬介が私のことが好きだなんて……嬉しいわね」


「……母さん、一言もそんなことを言ってないよ」


両親には最後まで不思議に思われたままだが、俺はご飯を何杯もおかわりすると腹ごなしをして学校へ走って行くことにした。




そして、放課後――


「東郷! 今日、お前んち空いてるか!?」


「い、いきなりだね。……君さえよければいつでもだけど」


「サンキュ! じゃあお前んちまで走って行くから」


「そんなことしなくても、迎えにくらい――」


「それも鍛錬だ! じゃあな!」


そうして俺は、クラスメイトたちに驚かれながらも走って東郷の家へと向かうのだった。タイムリミットはだいたい2週間だし、限られた時間は有効に使わなければだろうという思いだった。







「悠人さま? いかがなさいましたか?」


「ああ、彼の学校へ向かわなくてもよくなったよ。うちへ頼むよ」


掛かってきた電話が彼からそれも、こちらがのけぞりそうな勢いだった。

僕としても彼には罪悪感があったが、あちらも遠慮気味だったので学校までの送り迎えはそろそろやめようと思っていたのだが、どうやら彼は何かしら焦っている事柄があるらしい。


「よろしいのですか?」


「ああ。彼は僕の家に直接走っていくみたいだ。なら、彼の言う通りにぼくの家で待つことにしよう」


「承知しました」


そう言うと、ドライバーでうちの使用人をしてくれている竹林が車をうちのほうへと進めだす。


心境の変化というか、彼らしくない忙しなさはびっくりだったが、迷惑をかけた分彼のためになることであれば出来る限り相談に乗ろうと思う。

それに僕としても、個人的に彼に興味がある。


彼は色んな意味で、興味深い何かを持っている。

その秘密に興味があるというか……言葉にはできない何かしらの心をくすぐるものがあるのを僕は感じていた。


「瞬介くん。君は僕に何を見せてくれるんだろうか?」







「はぁっはぁっはぁっはぁっはぁ……」


汗が大量に流れる。


まだ4月なのだが、こんなに走ってればそりゃそうだってくらいの汗が。


成長力が半分になっているし、体力だって半分なのだが鍛えれば総合力が上がるし、何より迷宮に籠るっていうくらいだからそういう意味でもこの2週間を有効活用したほうがいいだろうと俺は動きだしていた。


飲み物を欲している体に、飲み物を取り入れる。

するっと胃を通り抜けるスポーツドリンクが気持ちよく、空になるまで飲み込んだ。


ちなみに今は、東郷の家から帰るところだった。

もう日も暮れてるし、存在感が半分な俺はある意味で"歩行者"や"車"という名の凶器をくぐりながら、帰りも鍛錬になる感じで走って帰っていた。


東郷の家での訓練は、ジムの回りを走ったり、ジムの器具を使わせてもらったりをちょっとずつ行っている。体力半分の影響がでているし、成長力も半分だが倍は数をこなせばそれだけ成果が出るもんだと、地道に休憩込みで行っている。


東郷と言えば、たまに一緒に走ってはフォーム周りのチェックなんかを見てもらったりとかで付き合ってもらったりしているし、俺が必死に何かしているというのに何も聞いてもこないのが不気味だ。


しかし今は東郷のことはどうでもいい。

さすがに迷宮攻略となると、今の体力ではついていけるかが心配だったし。


そんなわけで俺は、帰って飯を食う時もたっぷり食べたため母さんに謎の抱擁を受けて、東郷に習った整理運動やストレッチなどをしてしっかり休むことにした。

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