14話「バイバイ! シュンスケ!」
世界――その外にある宇宙にある大量の星がある世界へ目指して向かっていた。
ぶつかり合って小さくなったもの、中規模と言えるほどの大きさのもの、さまざまな星がある惑星へと目指していた。それは、始まりの力とおわらせる力による引力だった。
星が降る。
その光景は、砂国や王国、そのほかの国から容易に見ることができた。
「な、なんだ……あれは……」
王は空を見て呟く。
「テラーマザー様……滅びなのですか!?」
聖王も空を見ていた。
「モーメンツ、我もどうやら――」
獣王は、小さな墓の前で一緒に見る様に空を見つめていた。
「……」
「ガッハッハ、これはこれは乙な空じゃ!」
エルフ族の長は何も言わずに空を見上げ、そしてただただ祈り合流したドワーフたちの王は豪快に笑っては酒を飲んでいた。
「メジェネア様よ」
砂国の王、アト王は先王陛下の無事を空に祈り、魔国では魔王が空の異変に気づいて山から出てその光景を空に浮かんでみていた。
世界の終わりと全世界の生きとし生けるものが思ったそれは、なぜか帝国のほうへと降り注いだ。そのたびに空は元の星が見える夜を取り戻していき、
そして――
▽
「ま、まさかこれは……」
「ざ、ざまぁ……みろ! 悪夢を見るその残念な星母の頭に正義の鉄槌だ!」
その流星群は、海に落ち、帝国領の至る所に落ち、帝国城へと落ちてきた。
「こ、この隕石の中を生き残るのは……しんどいかもな……」
そんなことを言って意識を失った瞬介にミーティアは胸に抱えて彼を守ろうとする。
尽きることなく落ちていく流星は、止まることなくいつまでも落ちていった。
▽
「瞬介くんの容体は?」
「ああ、悠人くんに明花さん……こんな夜更けにすまない」
「気にしないでください! それで、瞬介くんは?」
「瞬介!」
「誠太くん、それに恵子さんまで」
「どうなんです? 瞬介は?」
「今のところ持ち直しているとのことです。意識は向こうにあるみたいで」
「そうですか……何にしても持ち直せてるのなら……」
そういう恵子に、誠太は肘を当てて言葉を留めた。
「あ、ごめんなさい……」
「いえ、いいんです」
現実世界側でも瞬介の容体が安定しているのが、瞬介があちらで意識を留まらせているのに気づいていないのだった。
そして、異世界側では――
「シュンスケ様……ご無事ですの?」
「ええ、精霊力がいきなり減ったので、そのせいか一時的に気を失っているみたいです」
「よかったのじゃ……」
「ガ、ガルァ……」
「……」
安心している仲間たちをよそに何か静かなフィーナに気づき、ラビィが声をかけた。
「フィーナ様? ……どうしましたの?」
「……なんでもないわ。そうだったのね、このために」
そう呟いた瞬間だった。
何やら空が震えるように振動が訪れた。
まるで地揺れのような衝撃に、ミーティアに庇われたままの瞬介も目を覚ました。
「んにゃんだ?」
「あっ……」
気づいたらミーティアさんの胸に埋もれていた瞬介は焦ったが、何かを見ている妙なフィーナに気づいて声をかける。
「おい、フィーナ?」
「シュンスケ!」
「あ、な、なんだ?」
そっと振り返ると、思わずドキっとする表情で瞬介を見るフィーナ。
その表情は初めて見る表情であり、何か決意じみたかのようなそんな表情だった。
「……楽しかったわ、あんたとの冒険」
「何言ってるんだ? 急に」
やめろよ、そんなことを言いたい瞬介だったが別のことを口にする。
「あの処刑の男、想いを届けられたかしら?」
アランの町での丘の上にある孤児院の出来事、それから処刑された男の話。
あれは俺とフィーナでやっちまった出来事だった。
そのおかげでメジェネアという仲間ができたんだが、なぜそれを今の今に?
瞬介の思いとは別に、フィーナは空を見てふわっと舞うともう一度言った。
「Halfassのフィーナ。 ……悪くなかったわ! でも――」
「やめろ!!」
それ以上口を開くなと、痛む腹を抑えながらもフィーナに声をかけた。
「あたしの本当の役目は、星母の力を正すこと! ……やっとあたしが活躍できるわ!」
そういうと、フィーナは瞬介のそばに来てそっとその口に自分の口をあてた。
「妖精のキッスよ! 幸せに思いなさいよね!」
そして、そっと離れるとフィーナは――
「バイバイ! シュンスケ!」
そう言うと、どこかへと飛んでいきそのまま溶けるように消えていくのだった。