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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
最終章「バイバイ! シュンスケ!」
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11話「突入、帝国城」

帝国城の中は、とてつもなく広かった。


豪奢に作られた広間らしきところには、帝国兵などがいたがミーティアさんが弓によって先制攻撃をして散らしていく。

ミーティアさんがいうには、戦力温存ということだが……


「この先に何があるのか、見当でもついてるんですか?」


「天を穿つ大巨人が我らの住む世界の大半を作ったというのは――」


「それは知ってます。そしてここが頭の部分だったっていうのも」


「今、頭たる部分……それから海国のある領土全てに血を巡らせているのです」


「血?」


血ってなんだ。

頭が帝国城のところでそこに血を巡らせるっていうことは……。

じゃあ今浮上しているのは――


「頭が持ち上がり、それから体、手足とかのモノは全てを復活させようとしているのです」


おいおい、それって……。


「もしかして、世界の外に出るっていうのは大巨人を復活させてそれに乗ってこの惑星から脱するってことなのか!?」


「……頭が持ち上がり、そして海国の領土となる海に血を巡らせた。そこで私は気づきました」


なるほど、この大陸は大巨人の遺体だっていうしそれを復活させようってことは、つまり大陸を全て元の大巨人に戻して運用するということになる。

海国には行ったことはないけど、領土として考えるなら海の中。

きっと、血を巡らせるっていうのはルビーデーモンを操って海国の人たちの血でもって血を巡らせようとしているってことなんだろう。


「海国には妖精女王陛下が出向いておられるようです。それから妖精族の方々も」


「そうなんですか?」


「はい。私はこの真実を告げるように妖精女王陛下から託されました」


じゃあ、今海は……。







そこにあるのはまるで血のような海の姿だった。

皇国シエンの侍集団はその光景にこの世の終わりを見たような気がした。

なによりも、先ほどから続く頻繁な地揺れによって悲鳴や怒号が至る所でその危機を煽っていた。


瞬介とは友誼を結んでいるサナダは、その光景を前にしながらも懸命に皇都を守っていた。


「サナダ殿! 大樹様(帝)には地下へと避難していただいた!」


「そうか! ……この空に海の赤……シュンスケ殿が今頃帝国領にて暴れてる頃でござるな……大丈夫でござろう――いや、今はあの方を信じるのみでござる」


そして頭を振ると同時に刀に付いたモノを振って、また再び襲い掛かるルビーデーモン達相手に斬りかかるのだった。


王国も同様に海に接しているために、王都を中心に血のように赤い魔物を討伐しつつもこの世の終わりのような真っ赤な空にアランの町のリエナは心配そうにして空を見上げていた。


元締不在の間に自分が元締代理として動いているのだが、不安は増すばかりだった。


思うのは、ずっと帰らないシュンスケたちのパーティHalfass(ハーファス)のこと。


「シュンスケさん……」


その異変は、砂国でも同様だった。


メジェネアの墓から溢れるように現れだしたルビーデーモンたちと対峙しているのは砂国の王アト王に指揮された勇者たち。

犠牲もそれなりだが、別の大陸から派遣されたそれぞれの国の支援兵、冒険者などによって統制は未だ取れていた。


「陛下! 巨大ルビーデーモンが現れました!」


「よし、今こそメジェネア様から仰せつかったあの杖にて魔法を放つのだ!」


そしてあの時の再現をするように大魔法を使用して対処をするのだった。


なお、帝国領においては魔公爵、魔界である地下世界では魔王が陣頭指揮を取りそれぞれに精霊、妖精、竜という種族がついていた。







ミーティアさんから聞いた情報で、全世界の国々が心配になるが俺たちが皇帝と大公をどうにかすれば救われるのだと懸命に登っていた時のことだった。


「……」


目の前に現れたのは、全王会議で見知ったことのある人。

この帝国の皇帝その人だった。

だが、様子がどこかおかしい。


そんな風に思っていると、腕に付いている大型の大口径をこちらに向けた。


「散れ!」


その呼びかけに全員が避けるか避けないかのタイミングで、目には見えないほどの光がやってきた。


「……」


皇帝はその大口径の砲を一か所ではなく、周囲に腕を動かして範囲攻撃をしてきた。


「……くそっ! 速すぎる」


「それも攻撃力がとんでもないですわ」


その後を見た時、帝国城の廊下部分が溶けていてそれも下が全く見えないほどの深さというめちゃくちゃな威力だった。


と、驚きもそのままにいきなり動いたかと思ったらまるで瞬間移動をしたかのようにその大口径を俺に向けて振るってきた。


「あぶっ」


――ガキン!


「くっ!」


「むっ」


「いたいっ!」


なんと怪力のフィーナから、ラビィ、メジェネアの三人でようやく防げたくらいの攻撃力だった。今までフィーナの口から痛いという言葉が発せられたことはないのは驚いた。


「面白いわ! このあたしが久々に痛みを感じるなんて!」


凶悪な顔をして、フィーナは突っ込もうとしたが――


「フィーナ様!!」


「こやつはわらわたちが相手をするのじゃ!」


そんなことを言い放つと、それぞれが光を放ちそして――


ラビィは、リンスと光ったと思ったらラビィが大人になったような感じの女性になり、メジェネアに至ってはまるでラミアのように下半身が蛇化したのだ。


「お、お前らそれ……」


「よいから今は先を急ぐのじゃ!」


「……ここはわたくしどもにおまかせを」


そうして2人は互いに頷き、そして皇帝の攻撃を掻い潜りながら自分たちにヘイトを集めるためにだろう攻撃を繰り広げていく。


俺は、そんな2人に心で礼を言ってフィーナに、


「先にいくぞ! フィーナ!」


「わかってるわよ!」


そしてタイミングを測り、皇帝の後ろへと行きそのまま奥へと向かった。







「はーっ!」


「イステドアァ・ティンニーン(召喚竜)」


風と水を纏わせた攻撃をするラビィリンスと、どこからか呼び寄せた竜を魔法で操り攻撃をするメジェネア。


それらでもって自分たちに気を引けたことで、また2人は頷く。


「これであとはこの皇帝を倒すのみですわね」


「そうじゃな、もはや皇帝とは思えぬ化け物になり下がっておるのじゃが」


そんなことを言い合いながらも、相手の尋常ならざる攻撃を迎え撃つ2人だった。


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