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異世界”半”転移譚  作者: 武ノ宮夏之介
最終章「バイバイ! シュンスケ!」
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プロローグ「帝国領へ」

クリスマス大会の全てを終えた後の処理が大変だった。


なんせ、一地方都市の祭りのようなクリスマスが全国区で取り上げられてしまったからだ。


それ以外にも、園長先生の家族に是非にということで、お葬式に出席したりもう年末ということで年越しを両親や悠人、明花、誠太たちのみんなでやったりとイベントだらけで大変だったのはいうまでもない。


そんな俺も新年を迎えたある日。


「それじゃ行ってくる」


「いよいよか」


「……いい? 必ず無事に戻ってくるのよ」


「もちろん、2人のためにも必ず戻ってくるしそれに――」


そして明花のほうにも視線を送り、頷いた。

その視線を受けた明花も返すようにして頷いてくれた。


あのクリスマス・イブの日の約束は、絶対に果たさなければいけない。


「それじゃ!」


そう言って現実世界の人たちに見送られた俺は異世界側へと意識を飛ばした。


異世界側に意識を戻すとそこには――


「なにしてるんだ?」


現実世界で学んだのか、土下座をしてHalfass(ハーファス)の面子が待っていた。


「いえ、これは心ばかりのこと……今後人生をかけて償わせていただきますわ」


「婿殿、今は語らずじゃ。じゃが、もし今回の件が終わったら――」


「それ以上は死亡フラグで縁起悪いから言わせないぞ!」


と言ってため息を吐いて、今は聞かないことにした。


ちなみにフィーナとコーディは、ケロっとしていた。


「それで! もう行くわよね!」


フィーナはやる気に満ちている様子だった。


「あ、ああ。行けるけど……行けるのか?」


「シュンスケさん、目覚められたんですね」


と言ってミーティアさんが入ってきた。

そしておもむろに土下座をしようとしたので、慌てて辞めさせ帝国領へと行けるのかを聞いてみると――


「我らの準備は整いました。また、その他の国の準備も……」


と、何やら申し訳なさそうな顔で俺の顔をじっと見ている。


「とにかくじゃ! もうみな準備は整っておる。婿殿さえよければすぐにでも出発できるのじゃ」


メジェネアがあえて大きな声で言うと、同意するようにみんなが頷いた。


「よし、それじゃ行くか」


その言葉によって俺たちは動き出す。

だが、なぜか俺の下半身はやけにグニャグニャしてて歩きにくいことこの上なかった。


支えられつつも歩いているとどうやら魔公爵邸にずっと留まっていたらしく、魔公爵様ご本人がもう良いのか? と声をかけてきた。


「ええ、ずいぶんとお世話になったみたいで申し訳――」


「はっはっは、何、うちの――」


「それはこれが終わってからじゃ! たわけが!」


「こ、これは失礼を」


「一体何なんだ……」


魔公爵様も知ってるのに、俺だけ知らずにただただ謝罪をされる意味が分からずとにかく俺としては早く公国の連中をなんとかしたいという思いでいっぱいだった。


「王国には報告を入れておいた。あとは我らで帝国領へと入るのみだ」


「王国も兵を出すと?」


「それなんだがな……」


そういうと、何やら言いにくそうに魔公爵様は答えた。


「彼奴らの狙いが世界を牛耳るという目的も伴っていた場合も考えて、本国にも兵を残しておきたいということなのだ。まぁ最も今回は妖精族、竜族の方々も力をお貸し願えるということなので、そのほかの国は兵を派遣するということではあるが……」


「いや、確かに」


奴らの願いが、復興だけとは限らずついでに国の襲撃に動き出すこともあるかもしれない。そういうことであれば国に兵を残すことを考えるのは重要だと思う。


「ラビィ殿やメジェネア殿に聞いた話は、重要なこととして各国に伝えている。国王はそれを含め、自らの国力と戦力のために本国にとどめた可能性もあるということだな」


「かもしれませんね」


そうして魔公爵様が情報の共有を終えると、俺たちも立ち上がった。


「では、我らも帝国領へと向かうこととしよう。一応、我らはあちらでは君たちとは別に軍を率いる必要がある。なので、別行動となるが構わないかな?」


「ええ、それで」


何やら示し合わせたようなこの後の行動に俺は何も答えられず、ラビィが頷く。

……なんか俺が現実世界に行っている間にもう全部話は進んでてそうだった。


「まぁ、婿殿はあちらにかかりきりだったのじゃから、仕方ないのう」


「そ、そうだな」


なんかメジェネアに変なフォローをされた。

が、しょうがないだろう。


「そうだな。それじゃ早速――」


俺が行動に起こそうとすると、ラビィとメジェネアが動きにくそうにしていた。


「まだ傷が痛むのか? なんか動きがぎこちないけど」


「いえ、そういうわけではありませんの。大丈夫ですわ」


「婿殿、早速向かうのじゃ」


「あ、ああ」


なんだろう。

なんか隠してることと関係あるのかな。


「我らの後についてきてほしい。途中で別れることになるが、帝国領の入口のところまでは行こう」


「わかりました!」


フィーナの持つ馬車から声をかけて、早速俺たちは帝国領へと向かうこととなった。


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