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~時は遡り、プロローグ③~

(さて、我が半身よ!)

うわぁ!


にょきっ!とまるで突然どこかの根から急成長したかのごとく視界にいきなり現れた、のは…銀色よりも淡く透き通るかのような色合いの美少女だった。

正直、街中で見かけていたら一目惚れするところだった…いや、ちょっと待って?

え、なに。…夢とはいえ、ここまでの想像力あったかなボク?


(…む?ほう、ふむふむ。なるほどなるほど)


一方、驚いたボクを眼にしてキョトンとしたかと思えば急にニヤリと…あ、これ。妹が悪巧みをしたときの笑顔にそっくりだ。


(外見には確かに自信があるが、異界の者…いや、魂的には私自身だな。

まさか、己の片割れに一目惚れさせるとはいやはや私も大したものであるな…ふふふ)


……ぇ


(悪い気はせぬし、お主となら相性も良かろう。直感だが、良き子を産めそうな気すらする…うむ、これは良き考えだな。)


……。


(?…どうした、カナメ?私の声が聴こえていない訳ではなかろう?お主はどう思う?これでも、顔だけでなく肉付きも良い方だと自負しておるのだかな?……お?ふむふむ。どうやら好みの範疇で何よりである)


……もしかしなくても、見透かされてる!?


こちらの考えに逐一反応しているようでコロコロと表情が入れ替わる少女…もとい『魔王』様は楽しげにボクの周りを飛び回っている…が、これでは下手な考えも出来なくてこちらはやりづらくて困る…平常心、平常心…。


……飛んでいる?

あ、ってことは夢だなコレ。

よし。覚めたら全てを忘れているはずだ。

…早く覚めないかなぁ


(こらこら!夢オチで済ませるでないわ!

……夢オチ?ついぞ、ぬしの記憶から言葉が出てきたが夢オチとは何だ?)


…『記憶から』?『言葉が出てきた?』

何をとんちんかんな…いや、待って?

そういえばボクの記憶には無い言葉が時折浮かんでくるんだけど…このまおうさまも?


…まさか、記憶の共有?上書き…?どちらなのかはわからないけど、割り込んできているのは確かっぽい気がする…。

あ、さっきのメイドさん達の時も名前が浮かんできたりしてたな……これ、もしかしてボクの意識が乗っ取られかけたりしてないかな?


(ほう?異常を察知したか、もう少しイケるかと思ったのだが思いの外、自我が確立しておるな

それとも魂が片割れだから耐性が早くもついたか?)


ぎゃー!!まさかの乗っ取り計画進行中かー!?


ニヤニヤとやらしい笑みを浮かべる魔王様に全力で抵抗を試みる…が急に身体が固まったかのごとく動けない感覚に襲われる


ぬぐぐっ!

だ、ダメだ…視界も動かない…


必死に抵抗するボクを見て魔王はニヤニヤしながら観察を続けているみたいだ…正直、趣味が悪いこと極まりないと思う。


(ふふふ、からかうのはここまでにしておくかの)


ニカッと爽やかな笑みを浮かべてそう呟くと、動かなかった身体が動かせるようになる…って、え?乗っとるつもりじゃなかったのか?


魔王はケラケラと笑いながらいやいやと手を振り、まるでイタズラが成功したかのごとくウインクをこちらにしてきた。

うん、可愛い…可愛いけど…疑問が湧く。

目的…理由がわからない、何がしたいんだろう?


(まぁ、主にしてみればわからぬことだらけで戸惑うのも無理はない。

ゆえに手短に説明させてはくれぬか?

我が半身よ)


…真面目に話してくれる分には聞くよ

じゃないと、わからないことばかりで頭がおかしくなりそうだし、ね。

ちょっとずつ…本当にちょっとずつだけどなんとなく嫌な予感はする


(感謝する…では、ぬしが最も気にしていることから先に告げさせてもらうとしよう)


…あ、やっぱり筒抜けか。なら薄々思ってはいたけど…


(うむ。元の世界…カナメに取っては、だが。

帰ることは不可能だ、すまぬな。)



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