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君となら喜んで共犯になるよ  作者: 大木戸 いずみ
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7 学校生活

 ほとんど誰もいない教室に入り、席に着く。

 机の中は私の悪口が描かれた紙が沢山詰められているのだと見なくても分かる。今日も一日早く過ぎることを願うだけだ。

 少し経って、荒川が教室へと入って来る。私は目を合わさないようにする。

 荒川はなんだか少し寂しそうな表情を浮かべた。けど、これが彼にとって最善なのだ。

 女子は大体私が虐められていることを知っているけど、男子は知らない人の方が多い。それぐらい女子のいじめは巧妙だ。……だった、の方が正しかな。

 朝のあの画鋲事件は巧妙だとは言えない。もしかして、兄のファンが増えて、私を虐める人が多くなったのかも。

 ……まぁ、どっちでもいっか。


 私は鞄の中から図書室で借りた本を取り出す。

 スマホのない私の唯一の趣味は読書だ。色んな本を読み漁っている。

 多種多様な小説は勿論、歴史書や専門書、図鑑などを読んでいる。お金がないから、本を買うことが出来ない。だから、小学生の頃から学校の図書室にある本を全て読む勢いで本を読んでいた。私が一番学校の図書室を利用している自信がある。

 逆に芸能界の話とか、最近流行っているコスメとか、テレビの話は一切出来ない。私は時代についていけていない。人気俳優やモデル、歌手の名前を言われても頭の上でクエッションマークを浮かべることになる。

 こんなに発展した時代なのに私は適応出来ていない。

 昼休みに放送部が流してくれる音楽は聞き流すだけ。ただ、スーパーで流れる曲は完全に把握している。

 中学生の頃はまだ携帯電話を持っていない友達もいたけど、高校生になれば皆スマホを持つようになる。私だけが取り残される。勿論兄はスマホを所持している。

 最新の世界情勢などは父が読み終えた新聞を確認して理解はしている。それに、私は日本の歴史や世界の歴史については強い。

 まぁ、そんな話を出来るネット友達も出来ないんだけど……。


 バイトでもしようかな。バイトなら両親も許してくれるような気がする。お金は全部両親に吸い取られていくんだろうけど、友達が出来るかもしれない。

 高校生にもなったし、バイトぐらいいいよね。 

 この学校の生徒がいないようなバイト先を探さないといけない。それに、交通費を出してくれるところ。

 夜ご飯も私の仕事だから、きっと夜勤になる。それだと、両親に黙って働くことになる可能性が高い。

 それはそれで楽しいかもしれない。

 私は中世ヨーロッパ時代女性のトイレ方法についての本を読みながら、バイトに期待を抱いていた。

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