神様が変態で髪様が転生
初投稿作品になります。
気まぐれで書きます。
全力疾走っぷりを朝から発揮した私はイケメンくんにぶつかり恋に落ちることなく、トラックに引かれ異世界転生することも無く、角から突然現れたプリウスによって―
「残念ですがあなたは死んでしまいました。」
と私をお姫様抱っこする全裸の超絶イケメンは言った。
「変態かよ。キモ。」
「イケメンくんにぶつかって恋に落ちたかったのでは?」
「全裸の変態と恋に落ちるわけないでしょ。」
「そうですか。」
彼は私を降ろしてどこからともなく現れた今治タオルのバスローブ姿になった。なぜか分からないがそれが今治タオルだと分かった。
「ここは死後の世界?あなたは…神様?」
「そうですよ。」
「転生させてくれるの?」
「そうですが…おかしいな。んー、物分りを良くする効果強めすぎたかなぁ…」
「ええと、この部屋だとあなたの考えがすっけすけになるみたいだね。とっても素敵な変態ね。綺麗な髪は長い方がいいって…髪フェチかぁ。」
「よし、効果解除。」
「で、なんで私はここに?」
「あなたは偶然私が後輩の世界を様子見に行った時にちょうど死んでたので連れ帰ったんです。ここはもうあなたの生きていた世界からは遠く離れた世界の天界のようなものです。」
「私の髪が綺麗だから連れ帰ったんでしょ。キモい。」
「いえいえ、異世界転生は神々の交流、お歳暮やお中元やお土産などの付き合いみたいなものです。」
「なるほど。あなたはカタログから髪の綺麗な私を選んだと。」
「おかしいですね。もう私の考えはあなたにすっけつけではないはずですが。」
「良く変態に会うと言うだけよ。」
「災難ですね。」
「それで私にはどんな能力が貰えるのかしら?さすがにお土産扱いされたお詫びは貰えるでしょう?」
「ええ。お土産が貰える確率アップと、お土産のレア度アップの能力ですね。」
「貰われる側ではなく、貰える側になれるわけですか。」
「他にも細々したものは適当に付けておきます。成長加速と老化予防は必須ですね。」
「綺麗な長い髪をずっと見てたいんですか。キモイですね。」
「あなたはこれからルイとシルの娘として産まれます。成長加速でかなり早く今の姿になれるでしょう。」
無視された。
「自由に生きてください。」
突然真っ暗になった。
ふわふわと浮かんでいた。
私は流されて流されて岸にたどり着いて根を張った。
何が何だか分からないが根を張った。
人に産まれるみたいな言い方をしていたというのになぜ根を張れるんだろう。根から養分を吸い続け私は気づいた。ああこれシルママのお腹の中だ。
私が30回寝る頃には手が動くようになっていた。うーん。早くないか?もう耳も聞こえる。あれ?えっ。苦しい。潰されそう。もう出ちゃうの?早い早いってぇぇぇぇえええ。
「おぎゃあおぎゃあ」
「元気な女の子ですね」
それから3日間はあっという間だった。本当にあっという間だった。一眠りすれば身長はググッと明らかに伸び、食事をすればすごい速度で腕が伸び、足が伸びた。これが成長加速かと思っている暇すらなく、常に毛布にくるまって過ごした。ルイパパの買ってきた産着は早々と弾け飛んでいた。
産まれて三日後には私が前世で死んだ時の姿に近い体になっていた。髪はやはりロングヘアになっていた。生前ここまで伸ばしたことは無い。伸びすぎる髪の毛とは裏腹に胸は大きくならなかった。あの全裸の変態はやはり変態らしい。髪はとてもつやつやでトゥルントゥルンで、肌はやはり産まれたてのようなつるすべ卵肌だった。