祭壇の後ろには美しくて巨大なステンドグラスがある。
光が当たると床にステンドグラスの絵や模様が写る様になっているみたいだ。
ステンドグラスの真ん中に描かれている丸い球体は〈 四魂 〉かな?
右上には髪の長い人物が描かれていて、左上には鳥……かな?
右下にも人物が描かれていて、左下にも髪の長い人物が描かれてる。
マオ
「 セロ、目の前のステンドグラスに描かれてるのは誰なんだ?
丸いのは〈 四魂 〉だよな? 」
セロフィート
「 そうです。
右上の人物は〈 久遠実成 〉に作られた人形です。
左上の鳥は〈 久遠実成 〉の遣い鳥です。
右下の人物は≪ 神界 ≫から地上へ降り立った〈 神の遣い 〉達です。
左上の人物は〈 久遠実成 〉へ祈りを捧げている〈 皇 〉です。
〈 四魂 〉から上へ伸びている道は、≪ 神界 ≫と地上を繋ぐ光道を表してます 」
マオ
「 へ、へぇ……。
そうなんだ… 」
何で〈 皇 〉が入ってるんだよ!!
〈 皇 〉は入れなくて良かったんじゃないのか?!
ステンドグラスに何故だかちゃっかりと描かれている〈 皇 〉に不満を抱きながら、オレは目の前に鎮座している〈 四魂 〉に両手を伸ばした。
両手で確りと〈 四魂 〉を持つと、オレは〈 四魂 〉を持ち上げた!!
……………………完全に持ち上げたつもりだったけど、どういう訳だか〈 四魂 〉はビクともしない。
どんなに力を入れても〈 四魂 〉は持ち上がらない。
どうしてだろう??
「 ウン 」とも「 スン 」とも「 ピクリ 」とも動かない。
マオ
「 ──セロ、持ち上がらないんだけど!
どうなってんの?? 」
セロフィート
「 持ち上げられないのは当たり前です 」
マオ
「 はぁぁあ?!
どゆことだよ!
持ち上がらないのが分かっててオレにさせたのかよ! 」
セロフィート
「 〈 四魂 〉の中には〈 久遠実成 〉の御霊が宿って居られます。
見た目は軽そうに見えても、持ち上げられない程に重くて、ロードさん,魔物さん達にすら無理です 」
マオ
「 ロードさんにも無理なのに何で! 」
セロフィート
「 〈 四魂 〉の前で祈りを捧げてください 」
マオ
「 はぁ?
祈りを捧げるぅ??
そんな事してどうなるんだよ? 」
セロフィート
「 ワタシを信じて祈りを捧げてください 」
マオ
「 …………分かったよ… 」
何か納得が出来ないけど、オレはセロの言う通りにする事にした。
オレは〈 四魂 〉の前で両手の指を組んだ。
「 祈りを捧げる 」って言ったって、どういう “ 祈り ” を捧げればいいんだよ??
えぇと……。
何を祈ればいいのか分からないけど、兎に角オレは〈 四魂 〉に祈りを捧げる事にした。
マオ
「( 〈 久遠実成 〉様、〈 大陸りく仰こう神しん神しん 〉様さま……。
オレ…セロに言いわれたけど、どんな祈いのりを捧ささげたらいいのか分わかりません……。
どうしたらいいんですか??
此これでいいんですか?? )」
祈いのり??……を終おえたオレは組くんでいた指ゆびを離はなした。
マオ
「 セロ……、言いわれた通とおりに祈いのりを捧ささげたけど。
どうするんだ? 」
セロフィート
「 〈 四し魂こん 〉を持もってみてください 」
マオ
「 はぁあ?!
さっきも持もち上あげたけど、重おもくて動うごかなかっただろ!
同おなじ事ことさせるのかよ? 」
セロフィート
「 してください 」
セロはニコリと微ほほ笑えんでいる。
オレは再ふたたび〈 四し魂こん 〉に両りょう手てを伸のばした。
〈 四し魂こん 〉を持もって持もち上あげてみると、さっき迄までの重おもさは何ど処こへやらだ。
嘘ウソみたいに軽かる々がると持もち上あげる事ことが出で来きた。
本ほん当とに嘘ウソみたいだ。
どうなってるんだよ?!
マオ
「 ──セロ、〈 四し魂こん 〉が嘘ウソみたい軽かるいんだけど! 」
セロフィート
「 祭さい神しんにマオの捧ささげた祈いのりが届とどいたからです。
断だんの裏うらの心こころ掛がけで祈いのれば、祭さい神しんはきちんと応こたえてくれます。
誤あやまって落おとさないでください 」
マオ
「 う、うん… 」
セロに言いわれたら持もっているのが急きゅうに怖こわくなった。
オレは早そう々そうに〈 四し魂こん 〉を元もとの場ば所しょに戻もどした。