──*──*──*── 墓地
墓地に入ると、懐かしい人の姿を見た。
ポスティルグロードさん──通称ロードさんだ。
流石と言うべきか、魔族だからだよな。
≪ 町 ≫で別れた時と容姿が全然変わっていない。
其を言ったら、セロとオレもなんだけど…。
ロードさん、1人で来てるのかな?
オレは懐かしい気持ちを抱きつつ、ロードさんに声を掛けてみる事にした。
折角会えたんだから、色々な話しをしたいもんな!
マオ
「 ──ロードさ〜〜ん! 」
オレは大きな声を出して、ロードさんの名前を呼んだ。
右手を挙げて、ロードさんへ元気よく手を振ってみる。
気付いてくれるよな?
久し振りに会うロードさんが、どんな反応をしてくれるのか一寸だけドキドキする。
ポスティルグロード
「 ──マオ君か?!
マオ君もセロさんと同様に容姿が変わらないな。
元気だったかい? 」
あれれぇ〜〜…至って普通の反応だった……。
マオ
「 うん!
ロードさんも元気そう? 」
ポスティルグロード
「 ハハハ、元気だよ。
魔族は丈夫だからね、早々病気になったりしないよ 」
マオ
「 ロードさん、此処こ村そんには1人りで来きたの? 」
ポスティルグロード
「 いや、ドラゴコーンを連つれて来きたよ 」
マオ
「 ドラゴコーン??
──あっ、ドラコさん! 」
そう言いえば≪ 魔ま物ものマタムトの村むら ≫で途と中ちゅう迄まで案あん内ないしてくれたっけ。
其それっきり全ぜん然ぜん会あってないんだよな。
ドラコドラゴコーンさん、オレの事こと…覚おぼえてくれてるかな??
マオ
「 ドラコさんが来きてるんだ?
じゃあ、ドラコさんが此こ廃はい処こ村そんに残のこるの? 」
ポスティルグロード
「 そうなるかな。
今いまはセロさんと話はなしをしてるよ 」
マオ
「 えっ……。
じゃあ、セロは取とり込こみ中ちゅうなんだ… 」
ポスティルグロード
「 何なんだ?
マオ君くんはセロさんに用よう事じがあるのかい? 」
マオ
「 う、うん…まぁ……。
文もん句くを言いいに来きたって言いうか…… 」
ポスティルグロード
「 文もん句く?
穏おだやかじゃないな。
セロさんと喧けん嘩かでもしたのかい? 」
マオ
「 喧けん嘩かはしてないよ。
セロったらさ、ゾンビ退たい治じをオレに押おし付つけてるんだ!
1人りじゃ倒たおせないから、手て伝つだってもらおうと思おもってさ、文もん句くを言いいがてら来きたんだ 」
ポスティルグロード
「 ゾンビ?
ゾンビってのは腐くさった屍し体たいのアレか?
墓はか場ばからから這はい出でて来きた腐ふ敗はいした屍し体たいの── 」
マオ
「 ちっ違ちがうよ!!
墓ぼ地ちから這はい出でて来きた腐ふ敗はいした屍し体たいって何なにっ?!
其それ、怖こわいんですけど!! 」
ポスティルグロード
「 ん?
違ちがうのか?
≪ 魔ま界かい ≫でゾンビって言いえば、墓はか場ばから出でて来きた動うごく屍し体たいの事ことを言いうんだけどな 」
マオ
「 ロードさん、此こ処こは≪ 人にん間げん界かい ≫だよ。
≪ 魔ま界かい ≫と一いっ緒しょにしないでほしいんだけど…… 」
ポスティルグロード
「 あぁ〜〜、そうだったな。
≪ 人にん間げん界かい ≫には屍し体たいが這はい出だて動うごき回まわる程ほどの魔ま気きが無なかったよな。
ハハハ! 」
マオ
「 あったら困こまるよ…… 」
ポスティルグロード
「 其それで?
マオ君くんが押おし付つけられてるゾンビってのは、どんなゾンビなんだい?
興きょう味みがあるなぁ 」
マオ
「 ………………ロードさんって強つよいんだよね? 」
ポスティルグロード
「 うん?
まぁね。
普ふ段だんは人にん間げんに合あわせて、力ちからを抑おさえて加か減げんしてるけど、解かい放ほうすると人にん間げんよりは強つよいよ 」
マオ
「 じゃあ、ロードさんなら倒たおせるかな? 」
ポスティルグロード
「 うん?
俺オレに倒たおしてほしいのかい?
まあ、良いいけど。
どんなゾンビなのか見みてみたいしな。
ゾンビは何ど処こに居いるんだい? 」
マオ
「 うん。
案あん内ないするよ。
付ついて来きて! 」
よし!
よし、よし、よしっ!!
ロードポスティルグロードさんが手て伝つだってくれるなら1000人にん力りきだよ!!
此これはもう、勝かったも同どう然ぜんじゃないのかな?
此これで彼あの第だい9形けい態たいになってるゾンビの面おも影かげが皆かい無むな姿すがたをしてるゾンビを倒たおせるかも知しれない!!
オレは未まだ天てん神かみ様さまに見み放はなされてはいなかったんだ!!
強つよい味み方かたと出で会あえたオレの心こころは踊おどっている。
オレはロードポスティルグロードさんを例れいの穴あなへ案あん内ないする事ことにした。
待まってろよ、ゾンビ!!
今こん度どこそ、息いきの根ねを止とめてやるんだからな!
ロードポスティルグロードさんがっ!!
マオ
「 ──あっ、そうだ。
ロードさん、デュラジャーさんは相あい変かわらず人じん肉にくを喰たべてるの? 」
ポスティルグロード
「 デュラジャーかい?
そうだなぁ…、彼奴あいつは相あい変かわらずだよ。
今いまは留る守すの多おおい俺オレの代かわりって≪ 地ちセロ下かフィ都とート市しシ ≫を任まかせてるよ 」
マオ
「 え゛っ?!
デュラジャーさんに任まかせちゃって大だい丈じょう夫ぶなの?! 」
ポスティルグロード
「 あんな姿すがたをしてても、デュラジャーはドラゴコーンと並ならんで優ゆう秀しゅうで優ゆう能のうだぞ。
俺オレの直ちょく属ぞくの部ぶ下かで幹かん部ぶだからな 」
マオ
「 え゛っ?!
ドラコさんもデュラジャーさんも幹かん部ぶなの?!
つ…強つよいの?! 」
ポスティルグロード
「 あぁ、強つよいよ。
戦たたかいに興きょう味み無ない奴やつ等らだから、自じ分ぶんから人にん間げんを襲おそったりはしないよ 」
マオ
「 そ、そうなんだ……。
あっ、ゾンビの事ことだけど、魔ま剣けんに斬きられたのが原げん因いんでゾンビ化かしたんだ。
ゾンビに噛かまれたら、ゾンビになるみたいで……。
昨日きのうは物もの凄すごい数かずのゾンビを相あい手てにして散さん々ざんだったよ……。
1人りで大たい変へんだったんだ! 」