マオ
「 ──セロ、珈琲淹れたんだ。
飲むか? 」
セロフィート
「 有り難う、マオ。
いただきます 」
マオ
「 うん(////)
茶菓子もあるからな 」
セロフィート
「 有り難う 」
読んでた本から目を離したセロは、オレに顔を向けると微笑んでくれた。
きゅ…きゅん死しそう!(////)
今、オレはセロの笑顔を独り占めしてるんだ!!
丸い盆をテーブルの上に置いたら、セロがマグカップを取り易い様にセロの前に置いた。
ちゃっかりセロの左横に座ったオレは、自分のマグカップに口を付けて珈琲を飲んだ。
今、オレが使ってるマグカップは、トイチが〈 鍵使い 〉になる為に〈 鍵 〉を探す旅に出る前に、皆で作った記念のマグカップなんだ!
マグカップには誰の物か分かる様に名前が入っている。
オレのマグカップには真ん中に横文字で “ マオ ” って書いてあって、セロのマグカップには “ セロ ” って書いてある。
初めはオレが自分の分とセロの分を作るつもりでいたんだけど、此がなかなか難しくて……オレが下手過ぎる所為で上手く作れなかったから、器用なニュ者じゃイのリ石いしが代かわりにオレとセロのマグカップも作つくってくれたんだ。
だから、ニ賢けんュ者じゃイのリ石いし,セロ,オレのマグカップの名な前まえはオレが書かいた!
オレが『 フィンの名な前まえも書かくよ 』って言いったら、ものスッゴく嫌いやがられて、文もん句くも言いわれて、拒きょ否ひられたんだよな〜〜〜。
セロもニ賢けんュ者じゃイのリ石いしも喜よろこんでくれたんだけどな……。
そりゃ…オレは字じが上う手まくくないけどさ、全ぜん力りょくで嫌いやがらなくてもいいと思おもうんだよな……。
あっ、そうそう、トイチ八賢悳壹のマグカップにもオレが名な前まえを書かいたんだ!
フィンフィンフィレイナだけだったよなぁ……。
だけど、実じつはフィンフィンフィレイナには内ない緒しょでマグカップを作つくってたりする。
フィンフィンフィレイナの名な前まえは勿もち論ろん、オレが書かいた!
≪ 港みなとキャリピパルゲ街まちライーグット ≫で再さい会かいしたら、フィンフィンフィレイナにプレゼントするんだ!
嫌いやがられるかな……。
叩たたき割わられたりして??
其そにしても…セロはどんな本ほんブックを読よんでるんだろう?
覗のぞいて見みてみたけど、エルゼシア文も字じじゃないみたいだ。
マオ
「 ──セロ、其それって何ど処この本ほんブックなんだ? 」
セロフィート
「 遥はるか昔むかしに海かい底ていへ沈しずんでしまった大たい陸りくの本ほんブックです 」
マオ
「 海かい底ていに沈しずんだ大たい陸りく……。
遥はるか昔むかってどのくらい前まえなんだ? 」
セロフィート
「 そうですね……72483年ねん前まえくらいでしょうか? 」
マオ
「 72483年ねん前まえ??
えぇと……セロの7代だい前まえのセンダイさん? 」
セロフィート
「 8代だい前まえです 」
マオ
「 8代だいかぁ……。
何なんで海かい底ていに沈しずんじゃったんだ?
センダイさんが沈しずめたのか? 」
セロフィート
「 最さい終しゅう的てきにはそうなります 」
マオ
「 最さい終しゅう的てきには??
そうなる迄までに何なにかあったのか? 」
セロフィート
「 聞ききたいです? 」
マオ
「 そりゃ…聞ききたいよ。
セロは知しってるんだろ?
教おしえてよ 」
セロフィート
「 良よいですけど… 」
あれ?
あんまり話はなしたくない事ことなのかな??
マオ
「 セロ……話はなしたくないのか? 」
セロフィート
「 はい?
何な故ぜです? 」
マオ
「 だってさ…あまり乗のり気きじゃなさそうだから… 」
セロフィート
「 そう見みえました?
成せい長ちょうしましたね。
嬉うれしいです 」
マオ
「 …………嬉うれしがられても…。
喜よろこんでいいのかよ?? 」
セロフィート
「 大おおいに喜よろこんでください 」
マオ
「 え〜〜〜…… 」
セロフィート
「 ──マオ 」
マオ
「 ん?
何なんだよ?? 」
セロが読よんでいた本ほんブックは何い時つの間まにか閉とじられた状じょう態たいでテーブルの上うえに置おかれていた。
セロは自じ分ぶんの膝ひざの上うえに手てを置おくとポンポンと軽かるく叩たたいている。
爽さわやかな笑え顔がおスマイルをしている。
もしかして……セロの膝ひざの上うえに頭あたまを載のせなさい──って意い味みなのかな?
此これは誰だれがどう見みても紛まぎれもなく膝ひざ枕まくらのお誘さそいなのか!?
マオ
「 セロ……いいの?
…………膝ひざ枕まくら…… 」
セロフィート
「 1人りで頑がん張ばってくれましたし。
ワタシの膝ひざ枕まくらは嫌いやです? 」
マオ
「 う、嬉うれしいです!(////)」
オレはセロの厚こう意いに甘あまえて、有あり難がたく膝ひざ枕まくらを受うけ入いれた。
セロがソファーの右みぎ側がわの端はしに移い動どうしてくれる。
遠えん慮りょなくセロの膝ひざの上うえに頭あたまを載のせたオレは、両りょう足あしを左ひだり側がわへ伸のばして、楽らくな体たい勢せいになった。
セロの膝ひざ枕まくらを独ひとり占じめして堪たん能のう出で来きるなんて、オレは世せ界かいで1番ばんの贅ぜい沢たく者ものかも知しれない。
下したのゾンビが見みえなければ、間ま違ちがいなく天てん国ごくなんですけどねーーー……。
マオ
「 はぁ…(////)
心ここ地ち好よくて寝ねちゃいそうなんだけど… 」
セロフィート
「 そうです?
では、子こ守もり唄うた代がわりに話はなすとしましょう。
8代だい前まえの先せん代だいセロフィートが何な故ぜ大たい陸りくを沈しずめたのか── 」
マオ
「 うん…… 」
セロフィート
「 今いまから約やく72483年ねん前まえ、≪ エルゼシア大たい陸りく ≫より一ひと回まわり大おおきな大たい陸りくが存そん在ざいしました。
其その大たい陸りくは “ アルカディル ” と呼よばれていました。
≪ アルカディル大たい陸りく ≫は永ながくに渡わたり〈 皇コウ 〉が不ふ在ざいでした。
≪ アルカディル大たい陸りく ≫では魔ま法ほうマジックは廃すたれており、代かわりに科か学がく技ぎ術じゅつが発はっ展てんしていました 」
マオ
「 魔ま法ほうマジックって廃すたれるのか??
科か学がく技ぎ術じゅつって何なんだ?? 」