✅ 食堂 2 / 朝食 2
マオ
「 魔剣柄み…かな?? 」
セロフィート
「 そうかも知れません 」
マオ
「 何でそんなに他人事なんだよ… 」
セロフィート
「 他人事ですし 」
マオ
「 人間に対して冷め過ぎだよ… 」
セロフィート
「 そうです? 」
マオ
「 セロが人間を好ましく思わないのは分かるけど、悪い人間ばっかりでもないし… 」
セロフィート
「 誤解です。
どうでも良いと思っているなら依頼を受けたりはしません 」
マオ
「 思いっきり魔剣目当てで受けただろ!
下心しかないだろが! 」
セロフィート
「 心外です。
下心なんてないです 」
マオ
「 だったら!
ちゃんとオレの目を見て言えよ! 」
セロフィート
「 ………………美味しいですね、海葡萄 」
マオ
「 話を逸らすなよ! 」
セロフィート
「 助けれる状態なら、ちゃんと助けます。
見捨てたりしません 」
マオ
「 本当か? 」
セロフィート
「 本当です。
マオに誓います。
既に手遅れの者に関しては助けれません。
被害の拡大を防ぐ為に退治します。
良いですね?
マオも其のつもりで覚悟はしてください 」
マオ
「 …………分かったよ… 」
セロフィート
「 宜しい。
──未だお代わりします? 」
マオ
「 しない。
結構食べたし、満足かな? 」
セロフィート
「 ふふふ。
50枚も食べましたね 」
マオ
「 いいだろ別に!(////)
セロはもういいのか? 」
セロフィート
「 はい♪
デザートも食べましたし。
十分です♪ 」
マオ
「 …………デザート食べ過ぎだよ… 」
セロは生地巻きを10個食べた後は、ひたすら食後のデザートを食べていた。
ピーチパイとかオレンジパイとかチェリーパイとか……。
パイばっかりだ!!
セロはサンドイッチも好きだけど、キッシュやパイも好きなんだ。
オレもパイをせがまれた時は、ホールパイを10個くらい作る。
限界がなくて幾らでも食べれちゃうもんだから、作り甲斐はある。
調理に必要な材料も道具も全部セロが揃えてくれるし、足りない物は直ぐに出してくれる。
ついつい色んな果物を使ってパイを作っちゃうんだよな〜〜。
お店のパイみたいに見た目が良くないし、味の自信もないから、売り物には出来ないけど、セロが喜んでくれるから、オレは其だけで満足だ。
セロはオレの手料理を他人に食べさせる事は絶対にしない。
独り占めしたいらしい。
嬉しいんだけど、一寸怖い……。
オレがセロ以外の為に料理を作ると不機嫌になるんだもんな。
不機嫌って言っても常に微笑んでるから、どう不機嫌なのか他人には判らないんだけど、セロと契約してるオレには判っちゃうんだ。
契約してたって判らない事の方が多いけど……。
マオ
「 セロ、そろそろ行こう 」
セロフィート
「 そうです? 」
マオ
「 何杯目の紅茶だよ… 」
セロフィート
「 残念でした。
此は珈琲です 」
マオ
「 珈琲??
セロ、珈琲なんて飲むんだ?
紅茶しか飲まないと思ってたよ 」
セロフィート
「 珈琲も飲みます。
前にも飲んだ事あります 」
マオ
「 そうだっけ?? 」
セロフィート
「 マオの忘れん坊さん。
──行きましょう 」
マオ
「 あっ、待てよ! 」
席を立ったセロは、オレを置いてさっさと歩き出した。
オレも慌てて椅子から腰を浮かせて立ち上がった。
セロの背後に駆け足で向かったオレは、セロの腰に抱き付いた。
セロフィート
「 マオ?
どうしました? 」
マオ
「 『 どうしました? 』じゃ、ないわ!!
オレを置いて先に行くなよ! 」
こういう事がセロにはよくある。
意識して態としてる計算なのか、無意識にしてる天然なのか──、オレには判らないけど止めてほしい。
今迄にも何度か言ってるけど、一向に直してくれない。
言っても無駄って事は重々承知はしてるつもりだけど、置いて行かれると胸の真ん中が、ヒュッて冷たくなるから嫌いだ。
マオ
「 もう!
何度言えば直してくれるんだよ! 」
セロフィート
「 おや?
直してほしかったです?
気付きませんでした 」
マオ
「 嘘吐くな!!
ちゃんと分かってるくせに!! 」
セロフィート
「 ふふふ♪
可愛い…(////)」
あ゛〜〜〜、セロにとって怒ったオレは御褒美になっちゃうんだな??
怒ると逆効果なんだな?
そうなのかよ、セロさん?!
セロから簡単にあしらわれてしまったオレは、どうしたらいいのか悩んだ。
やっぱ…2100年の溝は巨大クレパスみたいに深くて埋められないのかよ…。
セロの腰に抱き付いたまま、オレはセロと一緒に宿屋を出た。




