民泊を始めよう!
「俺、民泊をやろうと思ってるんだ」
友人のKの顔は真剣だった。
俺はグラスを置き、
「民泊?」
眉間に皺を寄せる。
Kが、そんな話をするのは初めてだった。
「東京オリンピックがあるから、
客には困らないんじゃないかな~」
Kは俺の顔色を窺った。
俺の鋭い意見を聞きたいようだ。
「まあそうだな。
でも、管理とか面倒じゃないのか」
Kにお金のことは聞かない。
Kの実家は資産家だ。
マンション、商業ビル、駐車場など多くの不動産を所有している。
「そういうのを扱う管理会社があるから」
子犬のような目をしてKが俺を見つめる。
「でも、トラブルとか大丈夫か?
ゴミとか騒音とか」
あの国の旅行者を思い浮かべる。
「そういうのもやってくれる。
管理会社が。
でも、利益率は良くないけど。
でも・・・」
部屋が空くよりはいい、と言うKに、
俺はアドバイスした。
「あの部屋を民泊にしたら、いいんじゃないかな。
赤坂のタワーマンション」
「ダメだよ。
あのマンションに外国の旅行者なんて入れられない。
セキュリティが売りの超高級マンションだよ。
芸人や俳優など芸能人が数人、それに作家や政治家や大企業の役員もいる」
「でも、2部屋空いてるんだろう」
Kは渋い顔をした。
「だから、その部屋を民泊にすれば・・・」
俺は詳しく内容を話した。
すると、Kの顔はあかるくなった。
「先輩ッ」と今売り出し中の芸人Jが、中堅芸人Lに声をかけた。
「先輩、あそこの民泊、利用したことありますよね」
「あそこか」とLはすぐに察した。
Lの頭の回転の速さは業界で有名だ。
「予約を入れたいのか?」
Lはニヤリとする。
「お願いします」とJは頭を下げる。
「紹介がないとダメですよね」
「まあな。
いつがいい。
でも、ちょっと高いぞ。
まあ、今のお前なら大丈夫か~
相手は誰だ?
噂の彼女か?
前のドラマで共演した?」
Lは矢継ぎ早に問うた。
Jは苦笑いで答えた。
こんなやり取りがありらこちら。
舞台は、もちろんKの超高級タワーマンション。
俺のアドバイス通り、Kはそこで民泊を始めたのだった。
外国人旅行者相手ではなく、
芸能人や有名人に対して。
芸能人が某記者につけられているのに気づかず、
ホテルには入ったことろをパシャリ(実際は動画だろうが)。
こんなことを防ぐため。
普通のマンションなので、別々に入れば、
恋人や不倫相手の待ち合わせだとバレない。
もし記者に写真を撮られても、
「友人の家に遊びに行っただけ」と答えればいい。
オーナーのKが友人と証言してくれるし、
女性にはKの恋人が。
「ゲス不倫」を恐れている芸能人のみなさん、
俺が考えた民泊を利用してみませんか。
たぶん、それに近いものが実際にあるんじゃないのかな~




