61話 進む先がどこだろうと
みなさんあけましておめでとうございますm(_ _)m
去年の新年初投稿の時にはたくさん更新できるよう努力するみたいなことを言ったと思います。
結果は毎週更新には程遠く。
茜達もみなさんもたくさん待たせてしまいました。
今年もしばらくこのままのペースになるかもしれませんが先の長いこの話をどうか長い目で見守っていただければと思います。
これからも茜色で描く未来とみやしろましろをよろしくおねがい致します。
p.s.
そういえば去年ペンネームを変更しました。
『みやしろましろ』として生まれ変わりました。
気づいた方はどれ位いらっしゃったでしょう?
暫定ペンネームからやっと本決まりになったかなと…
少し対立しているかのような空気が漂う室内でわたしがふと葛原さん達の後ろに控えている人に目を向けてみると右側に立っている女の人とふと目が合った。
と、思ったらウインクで返された…
「!!?」
「どうした?あー。そろそろ紹介しないとだな」
わたしがウインクにドギマギしているとそれに気づいた葛原さんがわたしの視線を辿って後ろの女の人を見てとても納得したような表情をしてそう言った。
「この二人には君の専属マネージャーとしてついて行ってもらう。
こっちがマネージャー兼スタイリストの桜庭すみれ
「よろしくだよ〜。ぜひぜひすみれさんって呼んでねー!」
元モデルだ…」
葛原さんの言葉に割って入るように自己紹介を始めた女の人…すみれさん…
葛原さんはテンポを崩されたからかため息をつきながら微妙な顔をしてる
「それでこっちがマネージャー兼振付師の武内壮一
「よろしく頼む。ん?いや、そういう流れだろ?」
元ダンサーだ。」」
ちょっと不満そうな顔の葛原さんに紹介された男の人…壮一さん…
まるで打ち合わせがあったかのようにおんなじ流れで割って入った壮一さんは葛原さんに睨まれてたけどなんてことない顔してそう言った…
この人きっと天然で強心臓なんだ…
「あんた無口なくせにそういうところ乗ってくるあたりよくわからないわよね」
そう言ってすみれさんは壮一さんの背中を叩いた。
あ、きっとこの人はこんな綺麗な感じの見た目をしておきながら結構な姉御肌というか……
男前な感じの性格をしているんだろうなって思ってしまった。
「お前らよくだいぶ上の上司の前でそんな態度でいられるな…」
「喜多山さんに茜ちゃんが緊張しないようにしっかりフランクな感じで接してあげて欲しいって言われてるんですもーん!」
そう言って呆れたような顔をした葛原さんに向かって頬を膨らませたすみれさん。
だいぶ綺麗目な見た目をしてるのにこういう子供っぽい行動も映えてしまうのってとってもすごいような気がするなぁ…
「振付師ってあーちゃんにダンスとかやらせるってことです?」
わたしがすみれさんについてそんな風に考えているとお姉ちゃんがふとそう言った。
「いい質問だね。茜ちゃんにはマルチなタレントとして活躍してもらいたい。
音楽だけじゃなくってね。ダンスにモデルに本当にいろんな活動をしていろんな経験をして欲しいと思っているんだ」
「葛原さぁーん。そういうのね、平たくいうとアイドルって言うんだよ?」
葛原さんが少し熱く語ったところにひーちゃんがツッコミを入れた。
「まあ、世間的にはそう見えるかもしれないけどアイドルとかという枠にとらわれない活動をしてもらいたい」
「そのための下準備ってことですか?」
「まあそうだね。全くそういう下地のない人間がすぐに踊れるようになるわけはないからね…
まぁ、そんなに心配するようなことでもない。今すぐにどうこうといった話ではないからね。」
わたしがそんなに心配そうな顔をしていたのか葛原さんはそうフォローを入れてくれた。
「大丈夫だ。君がダンスを倦厭するようになるのなら無理にやらせようという気はない。
それに何よりバンドマンのステージングにも精通するものがあると思うから学んでおいて損はない。」
そう落ち着いた声で壮一さんが言ってくれたおかげでわたしの不安もちょっとだけ軽くなったような気がする。
「そうですね。そういう事ならぜひいっぱい教えていただけると嬉しいです。
これからよろしくお願いします!すみれさん!壮一さん!」
そう言ってこれからわたしのマネージャーさんになる2人にぺこりと頭を下げた。
(こ、これは確かに葛原さんたちが入れ込む理由もわからなくもないわよね。)
(…確かに可愛いな……)
わたしが頭をあげると2人はなんだか鳩に豆鉄砲を食らわせたような顔をして固まってしまっていた。
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「それじゃあ、僕たちは明日後追いでそちらに向かわせていただきます。
ケータイの方に連絡を入れますので。」
そういって葛原さんは車に乗り込むわたし達を見送った。
「ねぇ。なんだかトントン拍子に話が進んじゃったね。」
車が会社からでて東京のオシャレな街並みが窓に流れ始めたあたりでわたしはそう言った。
「そうかしら?私はある程度こうなるんじゃないかって予想してたけど。」
隣に座るお姉ちゃんから返ってきた返答は予想してないものだった。
「えー。なんでぇ?わたしぜんぜんそんな風に思ってなかったけど…」
「そうねぇ。まあ一番の理由はお父さんが付いてきたって事かしら。
お父さんだって今回の件には少しでも噛んでるわけじゃない?
あの企画書のことだってあるわけだし…」
そう言われてハッとした。
そうだった。お父さんのお仕事を知るきっかけになったあの企画書のことだってあるだしわたしの芸能活動の件だってお父さんが噛んでいたって何もおかしいことはないんだ…
「お父さん。そういえばあのとき持ってた企画書の件はどうなったの?
なんかひーちゃんとわたしのユニットとかなんとか…」
「あー。あれの件か?
ボツになったよ…どうも緋雪が反対したみたいでな。
クズちゃん達からオッケーが出なかったんだよ…」
なんとも残念そうな声でそう言うお父さん…
そんなにあの企画やりたかったのかな…
「わたしはちょっとだけひーちゃんとおんなじステージに立てるのが楽しみだなぁって思ったんだけどなぁ」
そう思ったのは確かだから嘘とか付いてるわけじゃないはず…
まあ、この大層残念そうな雰囲気といい方は限りなく演技よりだと思うけどね…
「そうかぁそうだよなぁ…
じゃあお父さん頑張っちゃおうかなぁ?」
「お父さん変な風に頑張ったりされたら困るんだけど?
あーちゃんにもひーちゃんにも迷惑かけちゃダメなんだからね?」
お姉ちゃんがそう釘を刺してくれた。
お父さんのあの感じ本当に裏で動きかねなくて怖かったから本当に良かった。
「そうだよお父さん…わたしはそんな域にまで行けてないからまずはさっき言われた通りにゆっくり基礎をつけて成長していかないとひーちゃんの隣には立てないと思うもん。
いや、立っちゃいけないと思うもん。
胸を張ってひーちゃんとおんなじステージに立てるように沢山努力しないとだよね…」
「あらら…
あーちゃんものすごいやる気じゃない…
火がついちゃった?」
「あのね…わたしさっき思ったの…
わたしっていっぱい努力してきたと思ってたし結構前に進めてたと思ってたけど違ったんだよね…
2人とも事務所があってしっかりお仕事として音楽に向き合ってた…
わたしはまだまだ足りないってわかっちゃったの…
わたしもそこに追いつきたいって思ったの!!」
お姉ちゃんの少し茶化すような問いかけにわたしは少しだけほんのちょっとだけ熱くなって今日思ったことをぶちまけた。
「だから…わたしは今回もらったチャンスをものにしたいの。
本当は学校生活とかバンドとか…色んなことを大事にしたいけど…
でもでも…本気で芸能活動を…芸能人を頑張ってみようと思うの…」
「そう…じゃあ私も頑張らなくちゃよね…
あーちゃんが私をそう言う風に見ているなら今の私は無職まっしぐらよね…
それにスカーレットとかのレベルよりはお金を貰ってたとは思うけど私達だって生活できるほどではないわよ…
だから私も頑張らなくちゃよね…」
そう言ってお姉ちゃんは少し俯いてしまった…
「2人とも芸能を志してくれるのは嬉しいんだがな…
茜に関しては俺も噛んでるからなんとも言えないけどそのな…
無理だけはしないでくれよ?
自分達のやりたい事をやって欲しい…
俺たちみたいになって欲しくはないな…
それに居なくなって欲しくないからな…」
お父さんまでもそんな事を言い始めた。
「もーそんなに2人して暗い雰囲気になっちゃったら長い道中空気重たいよ?
晩御飯のお話でもしながら帰ろうよ?」
そう言ってわたしは笑った。
この暗い空気を払拭したくて…
「そうだな。久々にゆっくり晩飯が食えそうだもんな
あー。茜の晩飯楽しみだなぁ。台所にエプロンして立ってるところとか眺めながら酒でも飲もうかなぁ」
失敗だったかも…
まさかこんなノリでお父さんがセクハラじみたこと言ってくるとは…
「あー。お父さんそれセクハラだよぉ?
それになんであーちゃん名指しなのよぉ!
まあ、私も概ね同感だけどね…」
お姉ちゃんもご立腹してた様だけどその後の返しで結局無かったことになってしまった…
それにしても親子してそんなちょっと変な妄想してそうな顔しなくたって…
ほんとお姉ちゃんってお父さん似だよ…
中身まで似なくたっていいのに…
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「あーかーねー。
新しいるーびー。びんでしくよろー」
途中で晩ご飯の買い物をして家に帰ってわたしが晩ご飯の支度を始める前からおっ始めたお父さんはものの十数分で買ってきた瓶ビールを飲み干してしまった。
いつもわたし達には見せないなんとも普通の酔っ払いな感じでそう言ってくる様を見るとちょっとやだなぁって感じもするけどなんだか普通のお父さんっぽくって少し微笑ましい…
「はぁーい。ちょっとまってねー。」
そう言って床下からビールを取り出して丁寧に栓を抜いてお父さんの前に持って行くとなんだか今のわたしって昔のお母さんみたいに見えてるのかなって思ってちょっと嬉しくなってしまった。
「あーちゃーん。おつまみはやくちょーだーい。」
そんな気持ちに浸っているとお父さんの向かいに座るお姉ちゃんもなんだか酔っ払いみたいにデロデロになってしまってそうせがんでくる…
あれー。お姉ちゃん飲んでたのお茶のはずなんだけど…
きっとアレだよね…雰囲気に酔っ払っちゃったとかそうやつだよね…
「ちょっとまってね。すぐ出すから。」
そう言ってわたしはおつまみになりそうなおかずをパッパと作ってお父さんに持って行った。
ちなみに作ったのは生ハムのユッケと棒棒鶏風サラダだ…
案外簡単に作れる割に美味しいし何より手抜き感があまり出ないのがいい。
「わあー!!やっぱりあーちゃんのご飯美味しそう!!やっぱり持つべきはいい妹ね!」
そう言ってお姉ちゃんはわたしの足に抱きついてすりすりしてくる。
「ちょっと!!お姉ちゃん!!
これからご飯の準備するんだから離して!!」
「そうだぞー。ゆきな。見るだけくらいにとどめておかないと茜菜に怒られるぞぉー?
茜菜だって触ったら怒ったぞ?」
お姉ちゃんを振りほどこうとするわたしに援護射撃をしてくれるお父さんだけどそんなベロベロじゃちっとも効果がないよ…
しかも嫁にセクハラして怒られてたお父さんの過去なんて知りたくなかったよ!!
「んもー。あんまりだらしないと二人とも晩ご飯抜きにするよ!!」
わたしがそう言ったら二人ともピキッって感じで姿勢を正して静かーになってくれた。
さすが、ご飯の力は偉大だね。
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「でね、そうそう。そんなだったから大変だったんだよぉ。」
『そっか。そう言えば今日どうだったんだ?
それで電話してきたんだろ?』
ご飯を食べたら二人とも気持ちよさそうにリビングで寝息を立て始めちゃったので食器を片付けて先にお風呂をいただいちゃって日向に電話をかけた。
一昨日の夜に日向が心配して電話をくれてから日向と電話をするのが日課になってしまっている。
「んーとね…
その話なんだけどね…
デビューとかそう言うのじゃなくって…
とりあえずね、わたしが芸能人になれる様にって言ってレッスンとかつけてもらうことになったの。
ちょこちょこお仕事もしながら…」
『そういうのを巷ではデビューって言うんじゃないの?
でもさー。そうなると茜も東京に行くって事だろ?
いくら電車で3時間程度とはいえ寂しくなるよなぁ』
歯切れ悪く返してしまったわたしの言葉に冷静にツッコミを入れてくれた日向はなんだかとても寂しそうに呟いた。
「え?何勘違いしてるのさ?
とりあえず高校卒業まではこっちに居られると思うよ?それにバンド活動だってやる事に了承してもらってるの。
だからしばらく一緒だぜ?親友っ!」
今のわたしの柄ではない男だった頃の口調で日向にそう言った。
だってわたしはまだまだ日向達と音楽がやりたいし何より仲良くしてたいから!
『おう。そうか!
じゃあまだまだよろしくな!親友!』
日向もわたしの意を汲んでくれたのか昔とおんなじ様にそう返してくれた。
電話越しの日向は向かい合って話すより自然体で昔とおんなじ様に話してくれるなって感じがする。
それから日向といっぱい色んなことを話した。
結局スカーレットは解散する事になった事。
わたし抜きで決めてしまった事を申し訳なく思ってる事。
お互いにどんな音楽をやりたいと思っているかとか。
本当に色んな事を話した。
『じゃあ、もう遅いしそろそろ切るな。
…あのさ、スカーレットじゃなくてもいいとか踏ん切りがついたとかそう言う事じゃないんだけどさ…
俺はお前の音楽大好きだからさ、またバンドやりたいと思ってる。…
少し考えておいてくれないか?
茜がまだまだ納得できてないのはわかるんだけどさ…
茜が言ってた新しいスカーレットって言うの…
ズシッときたし俺もそう思ったから…
また二人からだけど新しい音楽作ろうぜ?
じゃ、またな』
話がひと段落してもう12時近くなってるねって話になったから日向が会話を終わらせにかかったと思ったらそんな事を言うだけ言って切ってしまった。
そんなのズルいよ……
自分の気持ちを言うだけ言ってなんて…
確かにスカーレットはわたしと日向が始めたバンドだ…
だからと言ってまた二人に戻ってなんて虫が良すぎる気がしてならない…
4人で音楽を作ってきたと思ってたから…
あー!!もうっ!よくわかんないから寝る!!
こうやって悶々としててもしょうがないよね!!
そう思ってわたしはケータイを充電器に挿して枕元に置いて意識を手放す事にした。
雪菜が飲んでたのは絶対にビールなんかではありません!!
きっと泡立った麦茶!!
あとはみなさんのご想像にお任せします、、
(よって未成年に酒飲ますなとかそう言う苦情は受け付けません。)




