5話 女の子第一歩!
昨日は面会終了時間の20時まで話し込んでいたおかげで大分体が疲れている気がする。
体力も大分落ちているみたいで話し込んだだけでも疲れてしまう。
午前中は学校があるから雪ねぇも来ないし緋雪はこんなに時間があるなんてなかなかないからとかいって街をふらふらしたり作詞や作曲をしているらしく病院には来ないのでベッドに横たわって窓の外をぼーっと眺めながらいろいろなことを考えたりしている。
といっても一昨日までは身体中にいろいろな管が繋がっていてベッドから起き上がることもできなかったけど…
明日からはちょっとしたリハビリが始まるみたいだし暇することはなさそうだ。
一気に身体が変わった反動なのか身体を動かすのも病室のトイレに行くのが精一杯で外に出たりするのはちょっと無理かなとも思うのでリハビリするのも少し怖い。
倉田先生が言うには神経が上手く繋がっていないから上手く身体が動かせないらしく3日ほどのリハビリで身体を思うように動かせるようになるという。
リハビリも兼ねて明日からはお風呂に入らせてもらえるらしい。
って言っても看護師さんか雪ねぇや緋雪などの家族と一緒に入って補助してもらうって感じらしいけど…
雪ねぇや緋雪とお風呂に入るなんて考えられない…
かといって看護師さんと入るなんてもっと考えられない…
どっちも恥ずかしくて死んじゃいそうだよ…
そういえば昨日雪ねぇにトイレくらい自分でできるようになりなさいと言われてしまった。
聞いた話によるとトイレ前でうじうじと無心になろうとしている俺を見て緋那が痺れをきらして表に出てきて用を足してしまったそうだ。それも一回ではなくこれまで全部だそうだ。
着替える時も目をつぶっていたのでまだ一回も自分の体すら見れていないということになる。
「自分の体くらいなんともなく見れるようにならなくてはこの先女の子として生きていくなんて無理だよ。」
緋雪にもこういわれてしまった…もっともだと思う。
風呂に入る時にも体を見ることになるのだから早いうちに慣れておかなければ…
緋那の余計なお世話が大きな弊害となってしまいそうだ…
このまま裸に耐性のないまま過ぎると緋那に人格を明け渡す日も遠くないだろう。
せっかく緋那と共存することを決めたのだからここで努力をしなくては!
…ということでちょうどトイレに行きたかったところでもあったのでトイレに行ってみることにした。
そういえば今入院しているのは個室の病室だけどこういう個室の病室って高いのではないだろうか
入院費とかどうなっているのだろうか…
そういえばどんな病院に運び込まれたとかすら知らないんだよね…
検査のときとかごくたまに病室の外に出ることがあるけど俺のいる病棟は基本的に看護師の人と面会に来たであろう人しか見かけない。
面会の人がいるということは俺のほかに患者がいるはずなのだが一回も見かけたことがない。
しかも俺がいる病棟は検査室などがある本館からだいぶ離れたところにあり結構なセキュリティが施されている。
この病棟はなんだか隔離病棟のように感じてしまう…
ううっ…
結構催してきた…
急いで個室に備え付けてあるトイレに駆け込む
今日は病院支給のピンクのガウンを着ているので構造がわかんなくて困るってことはないので安心している。
結局スカートとかでもまくり上げるから構造とかわかんなくてもいいのだろうけどワンピースとか着せられた日にはまくり上げる時の羞恥心がやばいだろうな…
ガウンをまくり上げてパンツをなるべく見ないようにしながら脱いで便座に座る。
ここにきて問題が発生した。
股をある程度閉じたまま便座に座っていいものなのだろうか
それとも股を開いて便座に座るべきなのだろうか…
そうするとパンツを完全に脱がなくてはならない…
どうする…
便座に座っておもらしみたくなるくらいなら…
意を決して両足を通したままのパンツを脱ぎ、脱いだ後どうしたらいいかわからないパンツを手で持っている…
なんかいけないことをやっているような気分だ…
今日はいているパンツは昨日緋雪が買ってきてくれたオレンジ色のパンツだ…
「いい色合いだ…さすが緋雪だな!俺の好みをわかってる。」
大好きなオレンジ色をみて少し落ち着こうととまじまじとパンツを眺めてしまった…
「………これじゃ変態じゃねーか!!」
今までじろじろと眺めていたパンツを投げ捨てて叫んだ。
こんな茶番をしている場合じゃないんだった…
そろそろ尿意がやばい…
股を広げてお腹の下の方に力を込める
するとチョロチョロと股のあたりから流れ出ていく感覚がある…
うわぁ…なんか男のころと感覚が違いすぎて変な感覚…
そしておしっこが出ていたところがびちょびちょに濡れてしまっているのがわかる。
こりゃあ女の人は小さいほうでも拭かないといけないってのは納得だ。
っていうかこの感じだとあんなに股を開かなくてもよかった様な気がする。
自分の姿を想像するととてもヒワイに感じてとても恥ずかしい。
いざ股間を拭こうとすると変な感覚が電流のように全身に走った。
「ひゃぁぁぁぁ!」
いやに可愛らしい声で叫んでしまった…
変な感覚をこらえつつようやく拭き終えるころにはぐったりとしてしまっていた。
そのおかげで何も考えずにパンツをはくこともでき、何とかトイレし終えた…
☆★☆★☆★☆★
トイレするだけでとても疲れてしまった俺はベッドの上でぐったりとしてしまっている。
「はあああ…
トイレするだけでこんなに疲れるとか…
ってかあのへんな感覚何だったのだろうか…もしかして感じてしまったとか?…」
そんなことを考えてしまったせいか顔がとてつもなく熱い…
きっと顔は真っ赤になってしまっていることだろう。
こんなとこ誰かに見られては…
ガラガラッ
「あれぇ?
なんか顔真っ赤にしてぐったりしてるけどもしかしてお楽しみ中だった?
そっかぁ…一晩でそこまでステップアップしてしまったか…」
なんか緋雪誤解してないか?
お楽しみって…っ!!!
変な妄想してやがる…
更に顔が熱くなっていくのを感じる。
「ああっ!
あ~ちゃん変な想像したでしょ!私は筋トレでもしてた?って言いたかったんだけど…」
まったく…どこぞの筋肉バカみたいな紛らわしい表現しやがって…
無駄な勘違いしちゃったじゃないか…
「へ、へへ変な想像なんてしてないし…
トイレ行ったら疲れただけだし!べつになんでもないからな!」
俺はむきになって言い返した。こんな物言いじゃそんな想像していましたって言っているようなものではないか…
「はいはい、そういうことにしておきますよ。そういえばあ〜ちゃんトイレ一人で行けたんだ!あかちゃん頼ったりしてないよね?」
緋雪は口を尖らせて可愛らしく言った後に思い出したかのようにとても現役アイドルとは思えない顔で俺がトイレに行ったという事に驚いていた。
「頼ったりしてないよ。
だからかなり疲れたんだけどね…
ちゃんと俺だけの力でトイレしたよ。」
俺はちょっと拗ねたような言い方で言ってみる。
「やっと少し進歩したね。
でもきっとかなり戸惑いながらだったんだろうね。
これで女の子第一歩だね。」
緋雪は涙ぐみながら言ってきた。
きっと緋那の話を聞いて内心心配していたのだろう…
順応できずにいなくなってしまうのではないか、心が壊れてしまうのではないか。
俺でさえそんな心配をしてしまうくらいなのだ。緋雪や雪ねぇの心配は俺の比ではないのだろう。
「そ、そんな。泣かないでよ。
トイレに行くくらいでそんなに…」
そんな緋雪の姿をみて何故だか抱きしめたくなり衝動のままに緋雪を抱きしめて優しい声で語りかける。
「ないでなんがないよ…
ぐすっ…
嬉しいことなんだもん!」
緋雪は意地になって涙でグチャグチャの顔で精一杯の笑顔で答えた。
「大丈夫。安心したんだよね?
今まで緋雪が不安なのを我慢していたの知ってるから。いっぱい泣いて大丈夫だよ。お兄ちゃんの前では素直な自分になるっていったよね?」
俺は緋雪の頭を撫でながらなるべく男の頃緋雪をなだめる時の様な優しい落ち着いた声を心がけて声をかけた。
と、言ってもベッドに座ったままなんとか頑張って緋雪の頭を撫でたのであるこれじゃあ昔みたいにお兄ちゃんらしくはできていないだろう…
「お、お兄ぢゃん…
ううっ…ぐすっ…
不安だったよお…
お兄ちゃんがいつ居なくなってもおかしくないように感じて不安だった…
でも、お兄ちゃんを心配させたくなかったしお兄ちゃんが女の子として生きていくしかないってわかって順応しようとしてたのもわかってたから…
私にできることはできる限り女の子として扱ってあげることしかなかった…
でも、不安だったよお…
ううっ…うわぁぁぁぁん」
緋雪は俺に抱きつき胸の内にあったものをすべて吐き出すかのように泣いた。
なんだか緋雪の兄に戻れたような気がした。
緋雪の涙を見て、自分が消えないようにゆっくりでもいいから一歩ずつ前に進んでいかなければと心に決めた。
そのためにはまずは女の子として普通に生活できるようにならなければ。
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「二人ともいるー?
あ、あれ?寝ちゃってる…」
静かだった病室を覗き込んで二人が眠りこけていることを確認した雪菜はふふっと穏やかに笑った。
「可愛いっ…
やっぱり双子ね。こうやってみるとそっくりなんだもん…
お姉ちゃんとしてこの幸せそうな顔を守ってあげなきゃね…」
雪菜は誰もいないとわかっているからかボソッと呟いた。
「ふあぁぁぁ…
んぅ?
……ゆきねぇ?」
雪菜がしばらく茜と緋雪の顔を眺めていると茜が起きてきた。
まだ寝ぼけているようでキョトンとした顔をしている。
『こんな表情もとっても可愛らしい…
ああっ、もふもふしてしまいたい。
この柔らかそうなほっぺたとかプニプニしたい…この可愛らしい娘を愛でて愛でて愛でまくりたい…はあ…はあ…
おっといけない…
寝起きのあーちゃんに引かれるとこだった
第一ひーちゃんに見られたら妹に欲情しないでっ!って怒られちゃう…
取り繕わなければ…』
「あ、あーちゃん起きた?
二人とも仲よさげに寝てたから起こせなかったよ…」
自然を装って姉らしいことを言う雪菜。
「んふぅ…
寝ちゃってたかぁ…
起こしてくれても良かったのに…」
少し寝ぼけ気味の茜は興奮を取り繕いきれていない雪菜を見ても何も思わなかった。
これが緋雪だったら寝ぼけていても突っ込んでいたところだろう。
「あらそう?
じゃあさっさとひーちゃん起こしてお着替えしたら?うふふ…」
雪ねぇがやばい顔をして俺に迫ってくる…
俺の膝の上に寝ている緋雪を起こすわけにはいかないし逃れる術がない…
「いや、いやぁぁ…」
俺は女の子のように悲鳴をあげるしかなかった。
「ふあぁぁぁ…
2人とも何やってんの?…」
緋雪は自分の頭上で行われている壮絶な闘いに気付いたのか起きだしてきた。
ただ、雪菜と茜の壮絶な闘いは緋雪の目には変態のおっさんのように手をわさわさしながら迫る姉と嫌がりつつもその場から動かず本心から嫌がっているかわからない妹の変態的プレイにしか見えなかったのだが…
「2人ともあたしの頭の上で変な遊びしないでよ…
「「変な遊びってなんだよ(なによ)!」」
あっ!そうだっ!
お姉ちゃん!今日ね、あ〜ちゃんがあかちゃんの力を借りずにトイレできたんだって!あ〜ちゃんも進歩したよね!」
緋雪は心底呆れた顔をして二人のツッコミを無視して話を変える。
「えっ、そうなの?
そこまでいけたなら今日の女子力計画は大丈夫だね!
まあ、大丈夫じゃなくても無理やりにでもやらせるけどね…ぐふふふっ♪」
緋雪の話を聞いて安心した顔を見せた雪ねぇを見て俺も安心したけどその後に見せた顔を見て俺は凍りついた。
きっとあの腐った気持ち悪い笑顔の方が本心なのだろう…
見なかったことにしよう…
うん…
「大丈夫かなぁ〜…
あたしは心配だなぁ…
なんだかんだ言ってあかちゃんはあ〜ちゃんに甘いからあんまりキツイのやるとあかちゃんでてきちゃうんじゃない?」
緋雪は心底心配そうな表情でため息を吐く
「だ、大丈夫だし!
俺は別にキツくたってへっちゃらだからな
あぁ、あと緋那は今眠ってると思うよ?
1週間くらい出て来ないって言ってたよ?よほどのことじゃないと出て来ないって」
茜は腰に手を当てて自信満々に言う。
「そっかぁ…
でもよほどのことってどれくらいを指してるんだろうね?」
ひーちゃんが残念そうにしている…
なんだか複雑な感じ…
まあ、緋那の方がなかなか出て来ないんだから当たり前の反応か…
「もう心が壊れる〜ってとこまでは今回は出て来ないってさ。」
ちょっとおちゃらけた感じで言ってみた。
「そうねぇ…
まあ私たちもあーちゃんの心を壊したい訳じゃないからあかちゃんが出てくることはなさそうね。」
雪ねぇが心底安心した顔を見せる。
「じゃあそろそろやりますかぁ…
お姉ちゃん準備は?」
「バッチリよ!」
緋雪の掛け声とともに雪ねぇが病室を出て行き、すぐに戻ってきた。
すぐにガチャって音が聞こえたのできっと俺が逃げないように鍵を閉めたのだろう。
一瞬外に出たのは外にも何か仕掛けてきた証拠だろう。
「あ、そうそう。昨日あ〜ちゃんが言ってたあかちゃんとの交換日記用のノート買ってきたよ?
もちろんとびっきりに可愛いのをね♪」
そう言って俺に渡してきたのは明らかにノートは入っていない紙袋だった。
「え…これなに?
絶対ノートじゃないでしょ…これ…」
可愛らしい紙袋をひーちゃんのほうに突き出しながら言い放った
「大丈夫!
サイズはバッチリのはずだから!
あかちゃんに協力してもらって測ったからあーちゃんにぴったりなはずだよ!」
緋雪の答えになってない答えにもう大分中身の見当がついていた茜はげっそりしている。
「あーもー。わかったよ!」
俺は意を決して紙袋をあけた。
すると中身には白地にオレンジの装飾が施されたとても可愛らしいブラジャーとパンツが入っていた。
これを付けろってか…
うむむ…
「かわいい…
ってかこんなに女物の下着眺めてるとか俺変態かよ…」
茜はボソッと一言言ったあとで沈んだ声で自分にツッコミを入れた。
「かわいいでしょ?
今日街のショップであ〜ちゃんが好きそうなデザインのがあったから買ってきちゃった!
あ〜ちゃんこういうの好きでしょ?
初ブラはあ〜ちゃんが好きな感じのやつにしたら抵抗感なくなるかなって雪ねぇと相談してこれ選んだんだけどどうかなぁ?」
ひーちゃんは雪ねぇと「ねーっ!」とやったあとにうるうるとした瞳で俺を見つめてきた。
ここでグズってもなにも変わらないから意を決してブラジャーのつけ方を教えてもらうことにした…
大事なのは二人相手には仕方ないということだ。俺は決して変態ではない…
でも…このデザインかわいすぎる…
「わかった…着ければいいんでしょ?
そ、その…ぶ、ブラジャーのつけ方が分かんないから教えてください…」
どんどんと声が小さくなっていった気もするが二人につけ方を教えて貰えるように頼んだ。
顔がとても熱い…
きっと真っ赤になっているのだろう…
『『可愛い〜!』』
顔を真っ赤に染めてモジモジと頼んでくる茜を見て雪菜と緋雪はその破壊力に卒倒しそうになるも堪えている。
「えーっとね。じゃあとりあえず今着てるガウンみたいなやつ脱いで〜」
ひーちゃんにガウンを脱がされた。
いまの俺は所謂パンイチである…
恥ずかしい…
顔から火が出そうなくらい恥ずかしい…
顔がさっきよりも熱い気がする…
っていうか全身が熱い…
「あーちゃん可愛い!
肌も白いし小ぶりなお胸も可愛さを引き出してるしなんと言っても恥じらって真っ赤になってるのがとっても可愛い!
可愛いすぎて食べちゃいたい。」
雪ねぇがトチ狂い始めた。
こうなった雪ねぇにならまじで食べられかねないのでとてつもなく怖い…
「お姉ちゃんは少し落ち着こうね…
気持ちはとってもわかるけどあ〜ちゃんが引いてるよ?」
ひーちゃんが呆れた顔をして援護してくれた。
雪ねぇも落ち着きを取り戻したのか「ごめんね」と言ってくれた。
でも、謝るくらいなら初めから暴走しないでほしい…
「じゃあブラジャーのつけ方教えてあげるねっ!まずは〜。
肩紐をかけて前かがみになって!」
ひーちゃんがブラを持っててくれたので肩紐に手を通し前かがみになる。
前かがみになると胸のあたりが下に少しだけ引っ張られる感覚がある。
普段はあまり感じないがこうしてると胸があるっていう感覚を嫌でも感じてしまう。
ただ、普段はあまり感じないってことは結構貧乳なのではないだろうか…
実際さっき雪ねぇが小ぶりなお胸がどうとか言ってたしそうなのだろう…
そっかぁ、貧乳なのか…
って気にすることじゃないだろ…
なに落ち込んでんだろうバカみたい…
「浮かない顔してるねぇ…大丈夫?
まあ、気が乗らないのは当たり前か…
次はね、ブラを胸に当ててお肉をカップに収めるよ〜。ちょっとごめんね。」
ひーちゃんはそう言って俺の胸にブラを当ててその中に手を入れて胸を触り始めた。
「きゃぁぁぁぁぁ!!」
俺は盛大に悲鳴を上げてしまった。
だって、くすぐったいっていうか変な感じして気持ち悪かったんだもん…
あと、いきなり手を入れられてビックリしたってのもあるし…
「あ〜ちゃん暴れないで!
これも必要なことなの!こうやってお肉をしっかりカップに入れてあげないと形が崩れちゃうんだよ?」
ひーちゃんは俺を押さえつけながらそう言った。
でもさ、くすぐったくて身体が勝手に動いちゃうんだもん…仕方ないじゃん…
「はい、じゃあ次は後ろでホックを留めて最後に…」
そう言ってひーちゃんはまたもやブラの中に手を突っ込んできた。
「ふぁぁぁぁぁぁっ…もうっ…止めてよ!
雪ねぇ助けてよ!…」
俺は涙目になりながら雪ねぇに助けを求める。
「はぁ…はぁ…
だめよ…それも必要なことなの。
決して二人の絡みをもっと見たいとかじゃないからね!」
やっぱり雪ねぇは狂ってる…
助けてすらくれないし妹同士の絡みで興奮するとか変態にもほどがある…
「そうだよ!
こうすることであ〜ちゃんの小ぶりな可愛い胸をなるべく大きく見せるんじゃん!
ここが一番大事なんだよ!
こーゆう努力って大切なんだよ!」
グサっ…
胸も結構あって顔も可愛いひーちゃんに言われたくなかった…
何故だか悲しくなってきた…
何故だかムカムカしてきた…
そしてなんだか涙が出そうになってきた…
貧乳って遠回しに言われたから?
そんなことで泣いちゃうなんて乙女すぎるでしょ…
このまま緋那と入れ替わらなくても心の底まで女の子化して行くのかなぁ…
「あ〜ちゃん泣いてる?…
ご、ごめんね…そんなに恥ずかしかった?
も、もしかして胸小さいってので傷ついた?」
ひーちゃんが本気で謝ってきた。
別にそこまでしなくてもいいのに…
実際この身体が言うことを聞かずに泣いててしまっただけだから仕方ないんだよ…
「とにかく…
これでブラのつけ方は終了だから!
まあ、でも最初は一人じゃできないと思うからこのやり方は頭の片隅に入れといてよ!
次はね普段一人で着ける時とかのやり方教えるね?」
ひーちゃんはそう言って俺に手取り足取り教えてくれた。
実際にひーちゃんがブラを着けるとこも見してもらってなんとかやり方を理解した気がする。
そのあともずっと一人でブラを着ける練習をさせられたので大分マスターできてるはず……
ブラをすることによって自分には胸があるんだっていう感覚とともに自分は女の子なのだという自覚のようなものも出てきた。
今までは鏡で自分の姿を見たりはしていたけどなんだか他人のような気がしていた…
でも、実際にトイレに行ったりブラをつけたりすることによって自分は女の子なんだということをやっと実感した。
自分が女の子なんだと実感したことによって男のころとは違うってことを嫌でも受け入れなければいけなくなった
俺も男だったから男が女の子をどんな風に見ているか知ってるから自分は女の子なんだという自覚を持たなければ何をされてもおかしくないということはわかっている。
だからこそ女の子としての自覚を持って生活しなきゃなと思う。
「あ~ちゃん大丈夫?素っ裸でなんか考え込んでたみたいだけど…
そんな恰好でいると風邪ひいちゃうよ?」
いろいろと考え込んでいたせいかひーちゃんに心配されてしまった。
「え?ああ…だいじょうぶだよ!
ちょっと考え事してただけだから!心配しないで?」
俺は両手を振りながら可愛らしく言ってみた。
「ううっ…(なにこの可愛さ…やばいでしょ…)
わかった!この調子で明日はお風呂だね!姉妹初の入浴だよ!」
ひーちゃんは顔を真っ赤にしながらぶつぶつ言っていたけどすぐに再起動してテンション高めに明日のことを言ってきた。
「姉妹での入浴… ぐふふふ…
最高ね!楽しみすぎて仕方ないわ!
さっきまで俺たちを見て鼻血をだらだらとたらしながら妄言を垂れ流していた雪ねぇが再起動を果たして会話に参加してくるがいま高いテンションのままだからちょっと気持ち悪い…
「二人は俺と入るの恥ずかしくないの?
俺はだいぶ恥ずかしいんだけど…」
俺は恥じらいながら二人に聞いてみた。
「「もちろん恥ずかしくない!」」
「ええっ…なら我慢するか…
この二人が息ぴったりのときはなにしても無駄だしな…」
そう思って俺はあきらめた
「あ!そうだ!
さっき倉田先生と相談して体のリハビリと一緒に女の子教育もしてもらうことになったから。
もちろん倉田先生じゃなくて女の看護師さんがやってくれるそうよ!
あと、倉田先生の話だとリハビリと検査とかいろいろあるからあと一週間くらい入院しなきゃいけないんだって…」
雪ねぇがいきなり真面目モードで話掛けてきたのでとてとびっくりした…
女の子教育ねぇ…
それにしてもあと一週間も入院してなきゃいけないのか…
暇を持て余して辛そうだ…
「そっかぁ…じゃあ退院したら洋服とか買いに行こうよ!
あ〜ちゃんの洋服とか買わないとだしね!
ラポールとかは可愛いいっぱいお店あるよ!」
ひーちゃんがテンション高めに退院後の計画を立て始める。
ちなみにラポールとは俺らの最寄り駅の隣の駅にある巨大ショッピングセンターだ。
「ひーちゃん予定立てるの早すぎ!
まだ一週間で退院できるかわかんないんだよ?」
俺はひーちゃんにツッコミを入れた。
なんだかこうしてると自分がTS症候群にかかったとか女の子になったとかそんなのどうでもよくなってきた。
「そっか…
でも、約束だよ?
お姉ちゃんも一緒だからね!」
「「うん。」」
ひーちゃんは落ち込んだようなふりをしたけどすぐに立ち直って約束を取り付ける。
雪ねぇはいきなり振られてちょっと驚いていた。
こんな風にいつまでも楽しくいられたらなぁ…
「ちょっと疲れちゃった。
昨日とかずっとおしゃべりしてたらむっちゃ疲れて二人が帰ったあとすぐ寝ちゃったよ…」
「そっか…じゃあ私達そろそろ帰るね!
いっぱい休んで疲れを癒してね!」
「そうよ!明日からリハビリとかあってたいへんなんだからっ!」
俺が疲れたと気を使ったのか二人はこう言って帰ってしまった。
と言っても俺もだいぶ疲れていたので二人が帰ってすぐに眠りに落ちてしまったのだった。