46話 わたし達の周りの人達
「いやぁ〜。さすがトップアイドルだよねぇ〜。
こんなショッピングモールの営業とかでもあれだけのステージをしてあれだけのひとを集めちゃうんだから。」
モニターに映るひーちゃんのステージが終わって少しした頃、いきなり奏がそう感嘆の声をあげた。
「まあ、ひーちゃんの実力と人気ならこれくらい当たり前なんじゃない?それにここに来る人達ってわたしでも人だかりができるほどミーハーなワケだしこれくらいは集まって当然でしょ。」
自分でそうは言ってみるけどひーちゃんの集客力とそのステージの完成度には正直驚いた。
前にわたしが撮影したときとは比べ物にならないくらいの人が集まっていたし場所の広さで言えばあの時の3倍はありそうな屋外ステージだったけど観覧スペース内はギッチギチに人が詰まっていたし通路上でも立ち止まる人が続出していてスタッフさんはさぞかし大変な思いをした事だろう…
セットリストはいたって普通だったけどヒット曲から始まって途中しっかり新曲を挟んで最後は定番の代表曲で締めるファンにも一般の人にもウケる内容になっていた。
ものの20分足らずのステージだったけどまるで2時間のコンサートでも見たかのような満足感のあるステージだったし一般の人達からも大きなアンコールがかかったのがそれを証明している。
「まあ、なにせあの宮永緋雪だし人が集まるのは確かに当たり前よね。なにせクイーンオブアイドルだし。近くに来てるなら誰でも一目見たいよね。」
「その二つ名は恥ずかしいからできればヤメて欲しいなぁ…」
紀穂のコメントにサラッと返すように会話に入って来たひーちゃんに紀穂も奏も驚いて目を丸くしている。
「ひーちゃん!いつの間に帰って来てたのさっ!
びっくりしたじゃんっ!」
わたしも驚いたけど二人ほどではなくひーちゃんにコソコソ戻って来たことについて軽く問いただす。
「ちょっと驚かそうと思ってねっ!大成功でしょ?」
ひーちゃんは可愛らしいステージ衣装をヒラヒラと揺らしながらアイドルらしく可愛さMAXでそう言った。
「とりあえずそのステージ衣装着替えたら?
わたし達は席外してるから。」
「そんなただ着替えるだけなんだから別にそこにいていいって。どうせ汗もそんなかいてないからシートで拭くくらいで収まるし。」
そう言ってひーちゃんは堂々とステージ衣装を脱いで壁際にあるメイク用と思われる机の上にキッチリと畳んで置いた。
そのまま机の下に置いてあったスポーツバッグからショーパンとブラウスとカーディガンを取り出して入念に汗拭きシートで体を拭いた後スポーツバックから取り出した洋服に着替えた。
改めて着替えの様子を見てみるとなんともずるいと言うかすごい体してるなぁと思う…
わたしは病気で性別が変わったとは言えほとんどおんなじ遺伝子のはずなのになんでこんなに差が出るのだろう…
そう思って自分の胸元を見下ろそうと思ったけど虚しくなりそうだからやめた…
「えーと…紀穂ちゃんと奏ちゃん…だよね?…
二人ともそんな緊張してなくてもいいんだよ?
ステージを降りたらあたしも二人と同い年のただの女の子だから。
だからできればアイドルとかあ〜ちゃんの妹とか無しにして仲良くしてくれたらありがたいなぁ」
春らしくレモン色の可愛らしいカーディガンにショーパンとタイツを合わせた可愛らしいコーデに着替えたひーちゃんはわたしではなく紀穂と奏に向かってそう言った。
「うん。わかったよ!改めてヨロシクね。緋雪ちゃん!」
「よろしくね。緋雪ちゃん。私達のことは呼び捨ててくれて構わないからね。」
「うん。わかった。じゃああたしのことも緋雪とかひーちゃんって呼んでくれて構わないから。」
なんだかわたしと仲良くなった時とおんなじ様なやり取りをして二人ともひーちゃんと打ち解けた様ですぐに学校の話とか色々おしゃべりをするまでになった。
わたし達がそうこう会話しているうちにひーちゃんのマネージャーさんらしき女の人がせかせかとさっきひーちゃんが脱いだ衣装を片付けたりしている。
「じゃあ、車の準備できたみたいだから案内してもらって向かっちゃってていいわよ?私は葛原さんと会場さんに挨拶してからそっち行くから。
竹原〜。緋雪ちゃん達連れて車まで行ってていいわよ〜」
ちょうど片付け終わったくらいのところで鳴った電話が終わったタイミングでマネージャーさんらしき女の人はそう言った。
「はい!姐さん。
では、行きましょう。緋雪さん。」
なかなかに元気よく挨拶した竹原と呼ばれたまだまだ青年といった感じの男の人が車まで案内してくれるみたいだ。
「竹原さん。そう言えば今日乗ってきたのアルファードじゃないから四人も乗れないんじゃない?」
「ご友人のお二人は僕がお送りしますので安心してください。緋雪さんは妹さんと高崎さんの車でお家までお送りするそうなので車で姐さんが戻るのをお待ちください。」
案内してくれる竹原さんに着いて行きながらひーちゃんが疑問を呈すると竹原さんはすぐに答えを返した。
そっかぁ…帰りは二人と別になっちゃうのかぁ。
「そっかぁ。二人とももうちょっとおしゃべりしてたかったんだけどなぁ…
まあ、仕方ないよね。今度時間あったら四人で遊べたらいいね!」
「そうだね!あたしも緋雪ちゃんと遊びにいってみたい!」
「でも緋雪ちゃん忙しいんじゃないの?
それにこっちまでくるのは遠いだろうし…」
紀穂がそう心配するように言うと奏も思い出したとばかりにウンウン頷いている。
「友達と遊ぶ時間ぐらいちゃんと作れるって。
あたしもプライベートは大事にしたいって言ったらスケジュール切ってくれるようになったもん。」
「休養前までなんて家に帰ることもままならなかったって言ってたもんね。」
「そうなのよ〜その分最近はちゃんと休ませてくれるようになったからそれはそれでいいかなって…」
ひーちゃんのしみじみ言うような口調がその大変さを如実に表しているような気がする
「うわっ、やっぱりアイドルって大変なんだね…」
ひーちゃんの話を聞いて奏は軽く引いてるんじゃないかってくらい驚いてるし紀穂も信じられないって顔をしている…
「そんなこと無いって。それにあたしはやりたくてやってるわけだもん。」
そう言うひーちゃんはなんだか格好良く見えた。
「それでは緋雪さんと妹さんはこちらの車に。」
駐車場は割とすぐだったらしくしかもバックヤードから出てすぐのところに車が止まっていたので会話の途中に車までたどり着いてしまった。
車のドアを開けてわたし達を促す竹原さんはまるで教育の行き届いた執事の様な所作だったけどハードコア系のバンドマンに近しい少し厳つい風体のせいでまるでキャバクラのボーイとか組の方々にしか見えないのがなんだか面白かった…
「じゃあ、また月曜日ね。」
「また後でメールするね〜。緋雪ちゃんもまた今度ね〜。」
「うん。また月曜日〜。紀穂はライブ楽しんで来てね〜。」
「今度こっち帰ってくるときはあ〜ちゃんを通じて連絡するね〜。」
別れ際に軽くそんな話をしてわたし達は竹原さんに促されるまま黒塗りの高そうな車に乗り込んだ。
乗り込んだ後も竹原さんに案内されて隣のバンドマンの機材車のバンみたいな車に乗る二人にスモークガラス越しに手を振ってみる。
さながら修学旅行で仲のいい友達とバスが離れちゃったみたいな感覚だった…
「それにしてもあの二人いい子そうでよかったなぁ。
あたしの周りにいないタイプだしあたしも仲良くできたらいいなぁ…」
ひーちゃんの口調からは少しだけうんざりと言った様子が伺えた。
「また4人で遊べたら嬉しいよねっ。」
「女子力上がりそうなカフェとか行っちゃう?
あ〜ちゃんもあーゆう場所慣れないとなんじゃない?」
「おしゃれな雰囲気のところはキライじゃないけどちょっと気後れしちゃうかな…
わたしはタバコとスプレーの匂いのするライブハウスくらいがちょうどいいんだよ。」
わたしは慣れない高級な車の雰囲気にすこし身を固めながらそう言った。
「あたしライブハウスとか行ったことないけど流石に今のあ〜ちゃんはおしゃれなところ方が似合うと思うよ?…」
「この前レイクモール行った時の格好とかならライブハウスでも悪目立ちしないと思うんだけどなぁ…」
「服装の問題じゃないと思うんだけど…
まあ、バンドマンとしては正しいのかもね。
竹原さんとかもおしゃれなとこニガテって言ってたし」
「あら、なんの話してたの?」
ちょうどのタイミングでさっきのマネージャーさんが車に乗り込んできてそう言った。
「今度遊びに行くならどこにしようかなーって
ちょうどさっきの2人とも仲良くなったことだしね
そういえば葛原さんって向こうの車に乗って帰ったんですか?」
「葛原さんはイベント部門の人たちの車で帰るらしいわよ?」
マネージャーさんは助手席に座ってカバンをいじりながらそう言った。
「へぇー…喜多山さんがこっちに乗ってるのに一番偉い葛原さんがかたずけ終わるまで待って現場の人と帰ることになるなんてなんだか滑稽ですね。」
「まあ、あたしはマネージャーであの人はプロデューサーだから仕方ないわよ。
それにあの女の子2人を送る車に変態のあの人を乗せられるわけがないもの。」
喜多山さんと呼ばれたひーちゃんのマネージャーさんは軽くふざけた口調でそう言った。
「あのプロデューサーさんってって変態なんですか?」
「うーん。あたしが知る限りはそこまでじゃないと思うんだけど割とそう言う言われ方してるんだよね〜。
実際どうなんです?喜多山さん。」
「あの人は仕事はとっても出来るんだけどねぇ…
女ったらしだしだいぶクズなのよねぇ…
それに必要もないのによく現場に来てるから軽くウザがられてるしね。」
「確かにそれはわかるかも〜。
今日みたいに現場に来ても現場さんたちに任せっきりで自分は仕事してないもんね〜。」
なんだかそんな風には見えなかったけど葛原さんはちょっと可哀想な扱いをされてる人なのかも…
「なんだかさっきのイメージと違ったなぁ…
仕事をこれでもかってくらいテキパキやってしかも仕事の事ばっかり考えてる人なのかと思ってました。」
「あはは。それは葛原さんとは全く逆の人になりそうね。あの人は仕事中も遊ぶ事ばっかり考えてて仕事は早いしすごいけどめんどくさいものは早く終わらせたいだけだからね。」
わたしが口にした葛原さんのイメージを聞いて喜多山さんか可笑しそうに笑った。
そんなにわたしのイメージってかけ離れてたのか…
あの早口な感じとか強引そうな口調とかからしてそう言う人なのかなって思っちゃった。
「それでもあの人はレジェンドなんですよ?
あのアカヤさんと一緒に数々の伝説を打ち立てた名プロデューサーなんですから。」
今まで口を開かなかった運転手の人が口を開いたと思ったらなんだか聞き覚えのある声にちょっとだけ違和感を感じる…
それにアカヤっていう名前もなんだか聞き覚えのあるような気がする…
「それをわかってるからあんなでもみんな文句言わないんじゃない。」
「あはは…そうですよね」
喜多山さんの返しに控えめに笑う運転手さん…
うーん。やっぱりどっかで聞いたことが…
「あ!!わかった!!crock:loopsのS.H.Oさんじゃん!!」
そうだ!!なんで思い出せなかったんだろ…
ラジオなんて毎週欠かさず聞いてたしライブだっていっぱい行ってたのに…
「元crock:loopsだよ…もうドラムは叩いてないし
それにしてもよくわかったね…2年前に解散したマイナーのバンドのことなんて今や知ってる人なんていないと思ってたよ」
S.H.Oさんがそう返してくれたのを聞いて初めてさっきの言葉を口に出していたことに気がついて一気に恥ずかしさがやってくる…
「うぅ…わたしcrock:loops大好きだったんです!!
ラジオだって毎週聞いてたし…解散しちゃった時は正直泣きましたし…」
そう言いながらチラッとひーちゃんの方を見たら苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
はっ!!これって言っちゃいけないことだった…
「あはは…ごめんね。」
「ごめんなさい。こんな事言っちゃって…
でも…皆さんの気持ちはよくわかりますしわたしだって納得してますよ。それはファンのみんな一緒だと思います。最後のアルバムを聞けばよくわかります。」
わたしの顔をバックミラーで確認したのかミラー越しだけど少し笑ったように見えた。
「うちの事務所は結構特殊でね…バンドばっかり抱えてたもんだから解散したり色々な事情でバンドを出来なくなった子達をマネージャーとして雇ってあげたりしてるのよ。」
喜多山さんがそう説明してくれた事でなんとなく事情は掴めた気がする…
さっきの竹原さんもS.H.Oさんも色々あるんだろうな…
その後は軽い世間話をしながらさっきの話に戻る事もなく家に着いた。
そういえば結局アカヤって誰なんだろ…聞いたことある響きだと思うんだけどなぁ…
「じゃあ明後日の朝ここまで迎えに来るわね。
あんまり羽目は外しちゃダメよ〜。」
そう言って喜多山さんとショーさんは行ってしまった。
ショーさんも喜多山さんもいい人でひーちゃんがケータイでSNSのコメントを返したりしてる間話し相手になってくれて移動中も退屈することは無かった…
もっとラフに呼んでほしいというショーさんの要望でS.H.Oさんからショーさんに呼び換える事にした。
本人の前だから正しく呼んでたけどこっちの方がはるかに呼びやすい!
「みんないい人だったね。ひーちゃんの周りの人達みんないい人そうで安心したよぉ」
「まあ、あたしが直接関わるのなんてマネージャー陣と葛原さんとメイクさんくらいだし実際あんまり知らないけどあたしが関わる人はいい人ばっかりかな。」
車が見えなくなるまで見送ったあとそんな話をしながら玄関のドアを開けた。
ドアを開けてすぐ目に飛び込んできたのは仁王立ちしてものすごい形相をしている雪ねぇとその足元でうずくまっている…もとい土下座をしているお父さんと思われる物体だった。
「……え。何があってこうなってるの?…」
わたしもひーちゃんもしばらく唖然としていたけど先に再起動を果たしたのはひーちゃんの方だった。
「あ、帰ってきたのね?おかえり。早く中に入ってくつろぎましょ。……ついでにお父さんもこんなところで土下座されてるのもアレだから中に入ってきていいわよ。」
わたし達を認識した雪ねぇは驚異の反応速度で変わり身を果たして笑顔でそう言ったけどその後に続いてお父さんを見た時の目があまりに冷たくってそこはかとなく恐怖を感じる…
「あ、うん。そうだね。ひーちゃんも帰ってきた事だしお茶でも淹れて落ち着こっか。」
「そ、そうだね〜。あ、久々にあ〜ちゃんが淹れた紅茶が飲みたいなぁ〜。」
とりあえず何が起こったかは詮索せずに雪ねぇに合わせてうまくやる事にした…
ひーちゃんもそれは同じ様でうまく合わせてくれた。
「あら、ちょうどクッキー焼いたからクッキーでも摘みながらお茶しましょっか。」
まだ時刻は6時過ぎとはいえこんな時間にクッキー食べたら晩御飯たべれなくなっちゃうっていう言葉は飲み込んだ…
野暮なことを言って雪ねぇの機嫌を損ねる事は正直したくない…
「そ、そうだね。お姉ちゃんのクッキー久しぶりだなぁ…昔はお母さんとお姉ちゃんが一緒に作ったお菓子よくたべたなぁ…」
「あんまり食べたら晩御飯たべれなくなっちゃうからほどほどにするのよ?」
「「はーい」」
リビングに着くなりそんなやりとりをして各々いつもの位置に腰掛けたけどお父さんはソファに座る雪ねぇの前で正座をし始めた…
一体どれだけ怒りを買ったのだろう…
あの意地っ張りなお父さんがこんなにも素直に雪ねぇの意思に従っているなんて珍しすぎる…
「あのさ…お姉ちゃん…その…何があったの?…」
しばらくお父さんは居ないもののような状況が続いたけどあまりに可哀想だったお父さんを救ったのはひーちゃんのひと言だった。
「あまりにこの人が酷かったのと家族にすら正体を明かしてなかったのに腹が立ったの。」
正直雪ねぇの言い分じゃほとんどなんのことかわからなかったけどひーちゃんがなるほどといった顔をしていたのでわかる人には伝わる内容だったのだろう…
「ほら、貴方から伝えて謝ったほうがいいんじゃない?流石にあーちゃんでも怒ると思うわよ?」
「本当に済まなかった…ただ、お父さんだってこうするしかなかったんだ…
茜、落ち着いて聞いてくれ。明々後日お前の葬儀をする事になった。宮代橙哉の死亡届が正式に受理されたから一応親族の目も考えてそうする事にした。」
お父さんが言ってることはなんだかよくわからなかった…なんて言うか言葉はわかるんだけどその意味がなんだかよく頭に入って来ない…
「それって……いまいち意味が理解できないなぁ…
宮代橙哉は正式に世間から消え去ったって事でいいのかなぁ…」
「そのうちしなきゃいけない事だったんだ…
だから早いほうがいいって先生とも相談して決めたんだ…」
「それってわたしが親族の前に出る時ってどういう扱いになるのかなぁ…だって橙哉って死んじゃったんでしょ?…じゃあわたしって誰なのよ…もともと親類の中には居なかったわたしってどういう扱いになるのさ…」
「あーちゃん落ち着いて。それは大丈夫よ。おじいちゃん達がうまく誤魔化してくれるみたいだから。
風上のおじいちゃん達は厳しい人だけどそう言うのわかってくれる人達だから。」
そう言って雪ねぇが抱きしめてくれたから良かったもののあのまま行ったらまたあかちゃんのお世話になっていたことだろう…
「私はお父さんのこれでとりあえずひと段落ついて落ち着くなって態度が一番気に食わなかったの!!
そう言うのはちゃんと本人に説明してからじっくり時期を決めてやるもんでしょ?
それに私が怒ってるのはそれだけじゃないからね!?
貴方の職業はなんでしたか?言ってごらんなさいよ」
「フリーのカメラマンです…」
「じゃあこれは何ですか!?」
そう言ってお姉ちゃんがお父さんに突きつけたのは綺麗にクリップで止められた紙の束だった。
その紙に書いてあるのは…
「宮代茜及び宮永緋雪におけるユニット企画計画書?
なにコレ…」
わたしがその紙に書いてある文字を読み上げたらひーちゃんは驚きながらもあちゃーって顔をしている。
「その様子だとひーちゃんは知ってたんだね。
まあ、そうだよね。自分の事務所の創設に携わったレジェンドだもんね。」
「あのな、一つ弁解させてくれないか?…
緋雪はもともとなにも知らなかったんだからな?
芸能界で生きてるからたまたま気づいただけで俺はなにも言ってないからな?」
「そんなのどうでもいいよ!なんでそんなこと隠してたのかって言う事とこの企画書について説明してよ!」
珍しく感情的になる雪ねぇ。
それにしてもわたしとひーちゃんでユニットって言うのは全くの初耳だよ…
「本当に悪かった…」
そう言ってお父さんは改めて土下座をした。
「まあ、お父さんの仕事的に本当の仕事を明かさなかったのはわかんなくもないけどユニットとかそう言うのは気にくわないなぁ…」
「お父さん今日は晩御飯抜きね。」
「はっ…茜の目まで冷たい…
本当にすみませんでした…せめて晩御飯は食べさせてください…」
そう言って土下座を深めるお父さんはますます滑稽だった。




