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茜色で描く未来  作者: みやしろましろ
茜&緋那 新生活はハツラツに!
43/68

43話 緋那とクラスメイト

あの日私達が席に戻ると茜はぐったりとしていてピクリとも動く気配はなかった。


あたし達がついていたらこんな事にならなかったのではないかって後悔したのを覚えてる。


「茜ちゃんがさっきから急に動かなくなったの! 」


新入生を送り出して私達が席に戻るなり私達が座ってた席あたりでちょっとした騒ぎが起きていた。


茜を優しく抱きとめているクラスメイトの女の子が困惑するあたし達にそう説明してくれたんだよね…


「とりあえず茜を保健室まで連れて行こうよ!」


「最近まで入院してたみたいだしきっとそれが関係してるよね…」


私達はぐったりとした茜を連れて保健室まで連れて行く事にした。


集会中なのはわかってるし本当は先生に任せるべきなのかもしれなかったけど茜をなんとか助けないとっていう気持ちが先行しちゃったんだよね…


「椎名さん!矢沢さん!一体どうしたの?」


「さっちゃん!茜が動かなくなっちゃったの…」


私達がぐったりとする茜をなんとかして席の外側の通路まで運び出したところで騒ぎを聞きつけたさっちゃんがやってきた。


さっちゃん先生にあたしが少し取り乱しながらそう言うと横から誰かが颯爽と現れて茜をひょいと抱き上げてくれた。


「さっちゃん、早く運ばないと。」


「紀穂と奏ちゃんは戻って大丈夫だ。」


「僕らに任せて。」


颯爽と現れたのがバカ三人だったのはなんだかちょっとフクザツだし任せてって言い草もなんだかムカつく…


「あたし達もいく。友達だもん。」


さっちゃんと一緒に立ち去ろうとする潮崎くんにあたしがガンと食いついた。


「とりあえず早く保健室まで行きましょう…」


さっちゃんが焦った顔をしているのがよくわかってそれだけ緊急の事態だって事がすぐわかった。


「でもこいつらがいたら茜も困るんじゃないですか?」


「クラスのみんなの前で晒すのもあれでしょ。早く目のつかないところまで行きましょう」


潮崎くんとさっちゃん先生がそんな訳わかんないことを言いながら講堂を走って出ていくからあたし達も遅れないようについていく。


講堂をでて少ししたちょうど校舎に渡る渡り廊下に差し掛かったあたりで日向くんに抱きかかえられた茜がピクリと動いた。


「今、茜が動いた!」


あたしがそう叫ぶように言うと全員が立ち止まって茜を抱きかかえる潮崎くんの方を見つめた。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



んん…なんか揺れてるなぁ…

っていうか今日の心の溢れ方凄かったなぁ…

茜ちゃんが自分でシャットアウトしちゃってから扉を開くまで割と時間かかっちゃったよ…


「んん…ひな…た?…」


抱きかかえられているのか日向の顔をしたから覗くようなアングルで日向の顔が見える。


揺れてるって事を考えると日向に抱きかかえられてるって線で間違いないでしょ。


「お、起きたか…

緋那ちゃん。ここには緋那あかなちゃんの事知らない人もいるから茜のためにもちょっと気をつけてあげて。」


最初の一言の後にそう囁いた日向くん。


「茜ちゃんの振りをしろって?」


日向くんが顔を近づけてきたついでにあたしも小声でそう返した。


「茜っ!大丈夫?心配したんだよ?

泣いてたっていうし目なんて真っ赤だし。」


「そうだよ。それに倒れるまで頑張らなくても良かったんだよ?」


二人の可愛い女の子が日向くんに抱えられたままのあたしに近づいてそう言ってくる。


茜ちゃんの事を逐一見ていたわけじゃないからわかんないけど前に見た交換ノートの情報から察するにこのちょっと気の強そうな目をした茶髪のロングヘア元気っ子が奏ちゃんで隣のクリクリおめめでメガネをかけたアホ毛が立ってるちょっと大人しめな子が紀穂ちゃんか。


「ご、ごめんね。二人には心配かけちゃったね。

でも大丈夫だよ!わ、わたし何ともないから…

ねぇ、日向くん。」


「本当に茜?なんか全くの別人が茜の姿をしてるみたい…」


「そうだよね。声のトーンも違うし…なにしろ潮崎くんの事を茜は日向くんって呼んだりしない!」



「こりゃあ一本取られたようね。

ちょうどいいから二人にも教えておいてあげるわ。

二人のいい友達だと信用してね。保健室で詳しく話すからついておいで?」


二人に痛いところを突かれたと思ったらどこからか現れた白衣の美女が意味ありげにそう笑った。


きっとこの人は国広先生だよね…

何となく保健室の小悪魔って感じするもんね。

まあ、これだけ妖艶な美女が白衣着てたら小悪魔じゃなくってむしろ淫魔な気がするけど…


そんな事を考えてたら前を歩く国広先生が急に振り向いてニヤッと笑った…


こわっ、絶対今の読まれてたよ…

絶対この人のこと淫魔とか思わないようにしよ…


「日向くん。そろそろ自分で歩けるから降ろしてくれて構わないよ?」


保健室までどれくらいあるのか分からないけどそこまでずっとこの状態のままってのはどうも恥ずかしい…


よく考えたらお姫様抱っこだし日向くんの顔は近いしこんな状況で恥ずかしくない方がおかしいよ!


「ん?後ちょっとだしお前軽いから何も心配すんなって。」


「いやっ…そういう事じゃなくって…

あの…恥ずかしいから降ろしてくれない?」


サラッと言う日向くんにちょっとキュンとしつつも察してくれない鈍感さに少し呆れるけどあたしの紅潮しやすい顔が火を吹きそうなくらい熱くなってくる。


「あ、ごめん。」


日向くんも顔を真っ赤にしながら私を下ろしてくれた。今気づいたって顔して顔を真っ赤にしたって可愛くなんてないからね!…可愛くなんて……可愛い…


ああ、やっぱり日向くんって素敵だな…

だめよ!緋那!あたしはあくまで茜ちゃんのサポート役…


「日向って茜だったら大丈夫なんだね。」


「まあ、割と無理してると思う。ちょっと震えてるもん…」


なんか和希くんと大和くんがそんな事を話してるけどなんの事だかさっぱり…

って言うかあたし茜じゃないし!


「坂井先生。この子達には説明しておくからホームルームしに帰った方がいいわよ。そこのイケメン三人も機材片付けに行った方がいいわよ?ただでさえ滑り込みで申請してあれだけ混乱させて生徒会担当の先生方怒ってらっしゃるのに片付けまで来なかったらカンカンよ?」


保健室の前まで来たところで国広先生がそう言った。


「う、やべっ!さすがに怒られる…」


「ヤバイヤバイっ!…」


日向くんはやっちゃったって顔して和希くんは小声でブツブツ言いながら大和くんなんて真っ青な顔して何も言わずに今来た方へ走り去ってしまった。


「クラスのみんなにも説明しなきゃですしお言葉に甘えてここはお任せしますね。三人とも、カバンとかは後で取りに来ればいいからしっかり国広先生のおはなしを聞いてくるんですよ?」


坂井先生も礼儀正しく国広先生に頭を下げたらあたし達に向かってそう言って小走りでさっき来た方と逆に走って行ってしまった。


「じゃあ、とりあえず中に入ってお茶でもしながら話しましょう。そんな大層なものは出せないけどね。」


国広先生がそう促してくれたのであたしが素直に従うと少し戸惑いながらも奏ちゃんと紀穂ちゃんもあたしに続いて保健室の中まで入って来た。



「まずは初めましてよね。会いたかったわ緋那ちゃん。」


「そうですね。初めまして!さっき初めて国広先生見たとき国広先生が茜ちゃんが言ってた通り過ぎてちょっと笑っちゃいそうでしたよ。」


軽く国広先生と自己紹介を済ませたところで奏ちゃんと紀穂ちゃんの方を向くとポカンとして状況がつかめないといった様子だった。


「えっと…すみません…あたし達状況つかめないんですけど…」


「あ、二人にも自己紹介しないとだよね。

簡単に言うと茜ちゃんのお姉ちゃんみたいなものかな?名前は宮代緋那です!ヨロシクね!

たまーにあたしも出てくるから仲良くしてね。」


「ごめん。全然理解が追いつかない。」


狐につままれたような顔をしてる二人にそう自己紹介したんだけどまだ狐につままれたような顔をしている…


あれ…なんか変なとこあったかなぁ?

普通に事実を言ったまでなのに…


「普通はあの説明じゃ理解できないわよ。

私の方から説明させてもらうわよ?

あのね、茜ちゃんが大きな病気でずーっと入院してたって話は知ってると思うんだけど…

実はね、その入院している間に色々あったみたいでね…茜ちゃんの心はダメになりそうになっちゃって乖離性多重人格っていう病気になっちゃったらしいのよ。」


「茜が大変な目に遭っていたってことはなんとなくわかってたけどそんな事になってたとは…」


「それって大変なことなんじゃないんですか?」


二人とも案外すんなりと受け入れてくれたみたいだけどあたしのことを実際どう思ってるかなんてわからないしちゃんとあたしのことを理解してもらう必要がありそう…


「もちろん最初は二人の間でいざこざもあったでしょうしそれなりに二人とも大変だったと思うんだけどそれでもちゃんと二人はわかりあってお互いをちゃんと認め合って一つの体に同居していく事を決めたみたいなのよ。


それに緋那ちゃんは茜ちゃんの事を守るんだって言って茜ちゃんが辛い目に遭ったり心がキャパオーバーになりそうな時には表にでて守ってくれてるらしいのよ茜ちゃんにとっても緋那ちゃんは必要な存在なの。


もちろん強制はできないけどできれば緋那ちゃんも全く別の女の子として仲良くしてあげて欲しいのよ。」


国広先生のわかりやすい説明と真摯なお願いはあたしの心までも動かすほどで二人に目を向けるとまだまだ理解しきったわけじゃなさそうだけどなんとか理解しようと努力してくれているように見えた。



「あたしからも改めてよろしくお願いしますっ!

あたし自体は不安定でいつ消えるかわかんない存在だけど一緒に茜ちゃんをみまもっていけたらいいなって…」


そう言ってあたしも頭を下げてお願いをする。


「頭をあげてよ。緋那ちゃん。」


「そうだよ!茜のお姉ちゃんだったらなおさら仲良くしないとだもん!あたしは奏!ヨロシクね!

あ、名前は呼び捨てで奏って呼んでね!」


「私は矢沢紀穂です。私の事も紀穂って呼んでくれて構わないからね!」


紀穂ちゃんが頭をポンポンしながらそう言ってくれたのを皮切りに奏ちゃんがそう言って握手を求めてくる。紀穂ちゃんも奏ちゃんに続いて手を出してくる。



「う、うん!ヨロシクね!奏っ、紀穂っ!あたしの事も気軽に緋那って呼んで欲しいな!」


そう言って両手どっちも使って二人の手を握り返す。


「わかった!緋那っ♪」


「わかったわ。私も緋那って呼ばせてもらうね!」


そう言って握り返してくれた手はあたしや茜ちゃんと同じくらい小さくて暖かかった。


「私の出番はあんまり無かったみたいね…

緋那ちゃん!茜ちゃんには言ったんだけど学校全体で二人を別人格として扱う事になってるからこの二人だけじゃなくってクラスのみんなやいろんな人に説明しなきゃいけないし大変だと思うけどよろしくね。


とりあえずクラスのみんなには説明しておけって茜ちゃんに言ってあったんだけどどうも説明してないみたいだし私もついていくから緋那ちゃんから説明してもらってもいいかしら?」


「らじゃーです!

茜ちゃんそーゆうところ臆病ですもんね。

あたしがビシッと説明しておきます!」


「緋那ってなんか行動的だね。」


「まるで奏みたいじゃない。」


「あたしにはあそこまで出来ないなぁ…」


「なんのはーなし?教室戻るよ?」


紀穂と奏がなんだかお喋りしてるみたいだったから二人にそう声をかけて保健室のドアを開けた。


「緋那って茜とは真逆だねって話してたのよ。」


「行動的でまるであたしみたいだってさ。

あたしはただ単に元気が有り余ってて楽しいと思ったことしてるだけなのにね。

緋那みたいにイヤなことを進んでなんかできないよ」


あたしに追いついて並んで歩きながら紀穂がそんなことを言うと奏は申し訳なさそうにそう言った。


「あら、あたしも結構そんな感じだよ?

それにクラス委員とか進んでやるなんて奏もすごいと思うけどなぁ…」


「そんな事ないって。短い高校生活を楽しむのにやれる事はなんでもやりたいなぁってだけだよ。

命短しenjoy乙女ってね!」


それを言うなら命短し恋せよ乙女でしょ…


「それを言うなら恋せよ乙女でしょ?

私も思うのよ…なにも楽しむ為だけにめんどくさい事までしなくてもいいのにって…」


「ノンノン!わかってないなぁ…

華の女子高生を謳歌する為にはめんどくさいって言われる事も少しはやらなきゃダメなの!

それにイベント事に一番関われるのはどう考えてもクラス委員じゃん!」


奏は人差し指を立てて横に振りながらそう言った。


「それはそうかもね…奏が言ってる事わかるっちゃわかるかもっ。あたしも出てこれる時はここぞとばかりに協力するね!」


「元気っ娘二人も相手しなきゃいけなくなるなんてイヤだよ私…どっちかは大人しくして欲しいわね…」


わたしが規模と肩を組んでそんな風に意気投合してたら紀穂がガックリと肩を落としてしまった。


「いいじゃない。元気なのはいい事よ。

それに貴女は大和くんっていういい彼氏がいるんだからいいじゃない。」


そう言った国広先生の目はいわゆる茜ちゃんが言う女豹の目ってやつでちょっと怖かった…


「先生本当にイケメン好きですね〜。でも人の男にまでそんな狙うような目をしちゃダメでしょ…」


奏が普通にそう言ったからきっとこの先生はいっつもこんななんだろう…


「狙ってなんかいないわよ?ただ私の周りがイケメンでいっぱいになればいいなぁってだけよ。」


「うわっ、先生それは欲望丸出しすぎでしょ…」


「さすがに先生それはヤバすぎません?」


「大和はさすがにそんな先生に懐いたりしないと思いますけど…」


国広先生のとても教師とは思えない発言に三人とも引いてしまった。



「あ、もうホームルーム終わるとこじゃない!

急がないとー。」


あたし達の呆れた声がまるで聞こえなかったかのように国広先生はそう言った。


「急がないとなのは同意だからこれ以上ツッコみませんけど先生のその欲望はツッコまれて当たり前ですよ?」


「そうだそうだ〜。聖職者ともあろう者がイケメン逆ハーレム作ろうとしてるなんてバレたらヤバイよ〜?」


冗談交じりに奏はそういうけど本当にそうだと思う…

協力してくれてるいい先生なんだからそこら辺もちゃんとして欲しい…



「じゃあ、先に私がきっかけ作るから呼んだら入ってきてね。」



そう言って国広先生は2年3組と書かれたプレートがついた教室のドアを開けてズケズケと入っていった。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「ちょっとお邪魔するわね〜。

ごめんね〜ホームルーム中に。」


俺たちが機材を片付けてとりあえず講堂の袖に置かせてもらってホームルームを受けに戻ってきてすぐにホームルームにも関わらずズケズケと教室に白衣の女が入ってきた。


まあ、この学校で白衣の女なんて保険室の小悪魔しかいないわけで…


このタイミングで保健室の小悪魔が出てくるって事はどう考えても茜の事を説明するしかないってのがクラスのみんなもわかっているようで心なしかソワソワしている。


「どうも保健室の小悪魔こと国広泰子です。

みんなも薄々気付いてるとは思いますが今日はみんなのクラスメイトの宮代茜さんの病気についてちょっとだけ説明しに来ました。」


さっちゃんが保健室の小悪魔に教壇を譲ると挨拶も早々に本題に入った。



「と、まあ病気についてはこんな感じね。まあ、ほぼほぼ完治と言ってもいいくらいまで来てるし本人もさほど問題にはしていないと思うのよね。

じゃあ、何が問題かっていうと…緋那ちゃん。入っておいで。」



病気についてこの前もらった資料通りの説明をした後にいきなり爆弾をぶち込んだ…


ガラガラ…


タッタッタッ…


「どうもみなさん初めまして。宮代緋那です。

問題って言われるとあれですけどまあ、茜ちゃんを悩ます最たる原因ではありますよね…

まず、一つみなさんに聞いて欲しいです。

あたしは茜ちゃんの身体にいますけど茜ちゃんではありません。一つの身体に二人の人格が同居してるっていうか…そんな感じです…」


緋那っていうみんなも聞きなれない名前で小悪魔が呼び込んだ事でザワザワしていた教室も緋那ちゃんが姿を見せて教卓の前に立つまでの間にシーンとして緋那ちゃんが喋ってる時は全員が緋那ちゃんの話に耳を傾けていた。


緋那ちゃんの教卓の前に立つまでの立ち居振る舞いを見ればいくら5日間の付き合いとはいえ気付くはずだ…

自分の目の前にいるこの少女がさっきまで一緒にいた少女とは全くの別物だということに…


それくらい緋那ちゃんの立ち居振る舞いは茜とはかけ離れたものだった…

もちろんそれは緋那ちゃんも意識しての事なのだろうけど目の色からして違うし溢れ出るものも違う。


俺でも街中で今の彼女を見かけたら茜だと思って声をかけたりはしないだろう…



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「そ、その…所謂多重人格ってやつなんですか?」


重くのしかかった空気を切り裂くように一人の女子がそんな質問をした。


「それは私から説明させてもらおうかしら。

一般的な多重人格って言われるものではなくってこの子達の場合完全な病的乖離性多重人格障害でね…

一人がいくつもの人格を持つんじゃなくて逆に数人が一人の体を共有しているイメージって言うのが正しいのよね。」


国広先生が正しい答えを淡々と返した。

でっち上げだとしても正しい解釈をきちんと用意してそれをすっかり説明するあたりすごいと思うけど分かり難いでしょ、そのいい方…


「まあ、と言ってもあたし達の場合仲良しだし入れ替わるタイミングも基本は自分達で決めてるから何も不自由はないんだけど…たま〜に今日みたいに強制的に入れ替わっちゃうんだよね…

その時にこうやって倒れちゃったりする事もあるみたいで…皆さんにはあんまり迷惑かけたくないんですけど…あたしは近いうちに多分消えて無くなっちゃうから短い人生をせめて学校生活くらい茜ちゃんと半分こでもいいから謳歌したかったの…」


あたしがそんなことを言うとなんでかクラスの雰囲気はシーンとしてしまった…


「学校側もそんな願いもあって治療の一環として二人を全くの別人だと扱う事になってます。だからみんなにも出来ればそう接してもらいたいし今日みたいな事があった時には助けてあげて欲しいしなにより二人と仲良くしてあげて欲しいの。」


国広先生がそう学校としての扱い方とかを言って締めてもしばらくはシーンとしたままだった。


「緋那ちゃんだって今この瞬間からクラスメイトなんだから仲良くするのは当たり前でしょ?いっぱい思い出作ろうよ!」


誰かが堰を切ったようにそう言った。


「楽しい学園生活をみんなで一緒に作ろうね!」


「茜ちゃんにはフラれちゃったけど緋那ちゃん好きだ!」


「下心丸だしかよお前。それにクラスの仲間が一人増えるくらいどってことないぜ?その分楽しさが増えるだけなんだから!」


そうしたらみんなが続いて私を受け入れるコメントをしてくれた。

まあ、一人セクハラまがいみたいなのもいたけど…



「本当?…」


「まあ、俺達はそんな声を震わせながら涙を流してる女の子を拒絶したりするほどバカじゃねぇよ。」


「そうだよ!緋那ちゃんだって俺たちの友達でしょ?」


「クラスのみんなの目を見ればそれがわかると思うよ。」


大和くんにそう言われてちゃんとみんなを見渡してみると日向くんも和希くんもいつの間に席に戻ったのか紀穂も奏も優しそうな瞳でまっすぐあたしの目を見つめてくれていた。


「ふふっ、ありがとう!たまにしか会えないかもだけどいっぱい仲良くしてください!よろしくお願いします!」


「じゃあ、緋那ちゃんも席に着いてくださいね。

ホームルーム終わらせますよ〜。国広先生もありがとうございました。」


「国広先生!ありがとうございました!!」


「いえいえ、なんかあったらいつでも保健室に来るのよ。」


そう言い残して国広先生は白衣をひらひらさせながら教室を後にした。



「はーい。じゃあ明日の連絡しますね〜。」


さっちゃんがそんな感じで連絡を少しだけしてホームルームを締めた。


その後クラスの女の子達に軽く質問攻めにされたけどみんな部活とか色々あるみたいですぐに解放された。


奏と紀穂は部活みたいで「ごめんね〜。部活終わったらメールするね〜」って言って二人で先に帰ってしまった。


日向くん達が待っててくれたから一人で帰る事にはならなかったけどなんか緊張しちゃってうまく話せないうちに家に着いてしまった。

家の方向の問題で大和くんと和希くんはわりとすぐにお別れしちゃったので日向くんと二人の時間が多くって少しドキドキしてしまう。


「じゃあ、またね!」


「おうよ!またな!

メール送っといたからあとで確認しておいてくれよ」


「うん。すぐにメール返すね。」


そう言って日向くんと別れてお家に入った。

緊張して全然喋れなかったけど幸せな時間だったなぁ…


早く交換ノート書いて日向くんにメールしよっと

いきなりだったからあんまり長くは入れ替わりも保てないだろうし…


そんなことを考えながらあたしは家のドアを開いた。

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