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茜色で描く未来  作者: みやしろましろ
茜&緋那 新生活はハツラツに!
41/68

41話 バンドと涙と身体測定!?

「日向割と歌えてんじゃん。」


「ここまで歌えるようになるとは俺も予想外だわ…」


「日向が努力した結果だな」


「いや、でもさー。自分で歌って見れば見るほど橙哉の偉大さがわかるわ。

やっぱスカーレットは橙哉じゃなきゃダメなんだって実感した。」


「楽器面でもやっぱり橙哉の力は大きいよな…

本当俺じゃあいつのギターの底が見えないし理解するのだって一苦労だよ…」


練習がひと段落ついたスタジオのロビーで俺たちはそんな話を始めた。


俺はいつも通り翼が生えるエナジードリンクを飲みながら話をする。

ちなみに大和は何げ気に入ってるらしい美味しくないインスタントコーヒーで和希はミルクたっぷりミルクティーだ。


二人ともおっちゃんの用意したまあまあ美味しくない微妙な品揃えのドリンクバーを愛用している。


ドリンクバーと言ってもお湯とティーパック系の物とインスタントコーヒーと見慣れないスープがあるだけだ。ちなみにアイスが飲みたい場合はクラッシュアイスがあるのでそれを入れるだけだそうだ。


そんなお金を払う気も起きないドリンクバーを何げ二人は愛用している。


そういえば割とまだ早い時間だからチラホラ人がいるように見える。

このスタジオは深夜になると本当に人がいないのだ。

本当経営は大丈夫なのかと心配するほどに…


まあ、この辺は高校も多いし利用客も高校生が多いだろうから深夜は空いていて当たり前である。


本当は高校生は深夜スタジオを断ってるそうだけどおっちゃんと俺たちは知った仲だしここらでは割と有名バンドなので練習しやすいように軽く気を使ってもらってるってところもあったりする。


まあ、その代わりタバコ吸ったりしてるとめちゃくちゃ怒られるけどね…


練習の方はどうかといえばさすがに2年以上活動していたバンドだけあって4日間深夜スタジオに入って練習したおかげでフロントマンがいなくてもなんとか形にはなった。


それでもギターの音圧は人数的に仕方ないとしても橙哉のアグレッシブで奔放で感情的なギタープレイは大和にはないものだし歌に関しては俺じゃ足元にも及ばない…


あいつの持ってる熱量とか強い思いとかそーゆうものがどうしても表現できない。

あいつがどれだけ普段バンドや音楽の事を考えてるのか本当に底知れないよ…



「まあ、俺は日向の歌も悪くはないと思うけどね。

多分茜が歌うよりはずっといいものになるんじゃないかって思う」


和希がそんなことをブッ込んできた。


「声を聞いただけでそんなこと言うなよ。

あいつの力量なら声なんてなんにも問題にしないと思うぞ?」


「そうだよ俺今言ったばっかりじゃん。

あいつじゃないとダメなんだよ。少なくとも俺はあいつの隣でだからこそベースを弾きたい・極めたいって思えるんだ。」


「日向が言ったのは『橙哉じゃないとダメ』じゃん。

茜じゃないとなんて一言も言ってないじゃん

それに橙哉じゃないとって事はなおさら茜じゃダメなんじゃない?」


「それは茜を交えて話すべき話だ。今は明日のライブに集中しよう。」


「「わかった。」」


「よーし!橙哉・・がいない分頑張っちゃうぞ!

いつもより多めに遊んじゃうぜ!」


「その分俺がベース大変になるんだからしっかりリズムはキープしてくれよ〜?」


俺はこの時は思ってもいなかった。

もうこの時からスカーレットがバンドとして壊れ始めている事に…



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「あ、茜だ。おっはよ〜!!」


「ふぁぁ〜ぁ…おはよ〜。そこの屍は紀穂?」


わたしがあくびをしながら席の近くまで行くと大和の席に座っている奏が元気よく話しかけてきてくれた。

奏の隣では規模らしき塊が机に突っ伏して唸っている。



「うん…昨日の晩からご飯抜いててもう限界みたい…」


「お、お腹すいた…」


奏がそう答えると紀穂が唸るようにそう言った。


「なんでまたそんなことを…」


「まあ、女の子としてはそうなる気持ちはわかるけどね…流石にこれはやりすぎよね…」


わたしが呆れてそう言うと奏が腕を組みながら困ったような顔をした。


「え?なんで?なんかあるっけ今日。」


「え!?茜今日身体測定だよ?

昨日さっちゃん先生言ってたじゃん」


え?身体測定?それでなんでこんなになるまで断食してるんだろ…


「いやいや、わかんないみたいな顔しないでよ…

身体測定だよ?体重量られちゃうんだよ?」


そうか!ちょっとでも体重を落とそうと紀穂は必死なんだ!


「まあ、茜には縁遠そうな話よね。

問題ないプロポーションだし体重とか気にする余地ないわよね…」


さっきまで唸ってた紀穂が顔を上げて恨めしそうにそう言った。


「いや…わたしだって色々気にしてるんだよ?…

まあ、あんまり体重は気にしないけど…」


「ほぉら〜。やっぱり持ってるものの余裕だよ…」


「どっちかというと茜は細くって問題になりそうなレベルよね。」


「そんなことないって〜。わたし案外プニプニだよ?

それに付くべきところに付いてないっていうか…」


「どれどれ〜?」


わたしがそんなことを言ったからか奏が手をわしゃわしゃしながらにじり寄ってくる。


「ちょっ!奏っ!やめてってば!」


「良いじゃん減るもんじゃないんだし!」


「キャーーッ!!」


わたしの必死の抵抗も虚しく奏に優しく胸を揉みしだかれてしまった。


まあ、揉みしだくといっても本当にソフトタッチで少しのくすぐったさがあったくらいだった…


下手したら自分で揉んだ時よりソフトタッチだったんじゃないかと思った。


「うーん。茜の可愛さにぴったりな可愛いお胸だね!」


「それ褒めてるのか貶してるのかわかんないよ!」


奏からやっと解放されたわたしは両手で胸を隠しながら紀穂の後ろに隠れてそうツッコんだ。


「はいはい、そこまでにしよーね。

周りの男子達の目線がすごいことになってるよ?」


頭にコツンと衝撃が走ったと思ったら後ろから和希らしき声が聞こえた。


「あ、和希。おはよ。

ってそのクマどうしたの?」


「ん?ちょっと眠れなくってね…」


和希の顔をみるとテンションに見合わないクッキリとしたクマが出来ていた。


和希の後ろには同じようにクマを作って和希とは打って変わってげっそりした顔の大和と日向が立っていた。


「あれ?大和と日向も一緒に来るなんて珍しいね。

ってなんで大和まで楽器持ってるの?」


こいつらが楽器を持ってるなんていつもの事なので特に違和感を感じなかったけどあの機材厨の大和が用もないのに学校にギターを持ってきたりしないはずだ。


大和のシステムは足元だけ持ってきたとしてもかなり重いからいつも学校で練習したり学校で演奏する時以外いちいち家に取りに帰ってたくらいなのに…


「あ、言ってなかったっけ。

俺たち三人で新歓ライブ出るんだよ。」


和希があっけらかんとした様子でそう言った。


「ええええっ!それって三人でスカーレットやるってこと?」


「ちょっ、落ち着けって。」


わたしが凄い形相で三人に食ってかかると日向がそう言ってなだめて来る。


「私もそれはどうかと思うよ?橙哉くんがあんな状態なのに…」


さっきまで死んでいた紀穂もわたしに援軍してくれる。


「紀穂。だからこそやるんだよ。ちゃんと橙哉にも届くように動画だって撮る。これは俺たちからの橙哉と茜に向けてのエールなんだよ。

あいつに一番届くのは音楽だろうしな。

生死の境を彷徨ってる橙哉にもそうだけど慣れない生活に戸惑ってる茜も応援してやりたいんだ。

それには新歓のステージが一番だろう?」


「う、うん。確かにそれは一理あるかも。」


大和に撫でられながらそう言われて赤面してそう言う紀穂。うーん。恋する乙女然とした紀穂が観れたのは嬉しいけどそんなすぐ納得しちゃうんだ…


「ちょっと後でちゃんと話聞かせてよね

とりあえずさっちゃん来たから席着いたら?」


「「「はい。」」」


「茜あれ相当怒ってるね。

あんなに怖い茜初めてだよ…」


「まあ、月曜日あんなにみんなとバンドやりたいって言ってたし裏切られたって気持ちなのかもね…

とりあえず奏も席着いた方が良いよ…」


紀穂と奏がなんかヒソヒソ話してるけどまあいいか…

このホームルームが終わったらあいつら問い詰めてやんなきゃ



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「ねぇ!どういうつもり?わたしに一言あっても良かったんじゃないの?わたしだってやりたかったのに!

それにスカーレットの曲やるってのがまたどうかと思うよ!!作った本人がやりたくてもできなくってのたうちまわるほど苦しんでるのにその本人の前で三人楽しくやろうっていうの??」


ホームルームが終わってすぐに人の来ない屋上に三人を呼び出して問い詰める。


「ち、違うんだって!俺らは本気で茜を応援したかったんだ!それに三人で練習しててお前がいないとどうにもならないってのは再確認できた!

だから少しでもエールを送りたかったんだ!」


「まあ、いいよ。許してあげる…

ただねぇ、つまんないライブしたら本当に許さないから!」


そう言い残してわたしは屋上を去って教室に戻った。



「茜〜。大丈夫だった?変にケンカしてない?」


「ごめんね、少し感情的になっちゃった。

わたしがバンドに加入するっていう話が割と進んでた中だったから仲間はずれにされたような気がしちゃった…

でもね?ちゃんと分かり合ってきたから大丈夫だよ!

最高のライブ見せてくれるらしいから楽しみにしなきゃ」


「茜、無理しちゃダメだよ?」


「無理なんてしてないって!

ほら、元気げんき……あれ?なんでだろ…」


紀穂が変なこと言うからちゃんとした姿を見せようとしたら逆に涙が溢れてきてしまった…

なんでだろ…


「それだけ悔しかったのよね。

あいつらだけで最高のライブされたらそれはそれで悔しいよね。でも、ダメダメなライブされても困っちゃう…そんな所よね?大丈夫。あいつらはきっとちゃんとライブをこなしてくれる。でも、わたしは茜が入たスカーレットも見てみたいな。大きな化学変化が起きる気がするから…」


「茜、気持ちは溜めちゃダメなんだよ。

どうする?場所移す?」


紀穂と奏の優しい言葉にわたしは泣きじゃくりながらただ首を振ることしかできなかった。


1時間目は健康診断待ちの自習だったけどその間わたしは割とずっと泣いていた…




「ごめん。落ち着いてきた。

ありがとね。迷惑かけちゃった…」


「大丈夫。友達でしょ?

それにしてもあいつら結局帰ってこなかったわね。」


「茜をこんだけ泣かせておいてどこほっつき歩いてるんだろうね?まあ、クラスに戻ってきたらそれはそれで潮崎くん達が泣きを見るんだろうけど…」


「見るのが血じゃないといいけどね。」


「物騒だね。うちのクラス。」


「あはっ…あはははっ!」


奏と紀穂のやり取りを見ていたらなんだか可笑しくって自然と笑いがこみ上げてきた。


「良かった。茜やっと笑ったね。」


「やっぱり茜は笑顔が似合うね!」


「ありがとね。二人のおかげで元気が出たよ。」


そうやって優しく笑いかけてくれる所をみるといい友達を持ったなぁってしみじみ思う。


「女子の身体測定次3組の番だよ〜。」


「あ、はーい。じゃあ女子は廊下に並んでね〜」


ガヤガヤしている教室に隣のクラスであろう女の子がそう声を掛けに来たので奏と紀穂が中心となって移動の段取りを始めた。


奏はクラス委員だからわかるとしてなんで紀穂が段取りをしてるかというとそれも保健委員の仕事らしい…


ちなみにわたしも保健係なので紀穂と一緒に身体測定の手伝いをする事になっている。


「茜はあたしと一緒に先頭ね。」


そう言って奏に手を引かれて先頭にされてしまった。

紀穂が殿を務めるから茜は先頭ねって事なんだろう…



奏の先導で連れてこられたのはわたしも見慣れた保健室だった。


ちなみに男子はここから一番離れた空き教室で身体測定をやっている。覗きとかを少しでも減らせるようにっていう配慮なのだろう…


「失礼しまーす。」


奏がそう言ってガラガラと扉を開ける。


扉を開けると割とすぐにカーテンが閉まってて矢印が左に伸びている。


奏に続いて入っていくと前のクラスの女の子達が割と普通に制服で身長やら座高やら体重を測っていてなんだか少し拍子抜けだ。


なぜだか計測係に女の先生が駆り出されていてさっちゃんも体重計の前に座っている。


あれ、国広先生がいない…

ん?あの奥の仕切られた一角はなんだ?…


計測の終わった女の子がその前に並んではキャミソール姿で出てくる。


あ、お医者さんが聴診器したりするやつか!

きっと国広先生もその付き添いでいるんだろうな…


お医者さん女の人だといいなぁ…

それはそれで緊張するだろうけどおっさんよりマシだ

でもきっと周りの子達がそんな騒いでいないってことは女の人なのだろう。



「じゃあ次3組ね〜。係の子は手伝ってね〜。」


「茜はさっちゃんの所お願い。」


紀穂に言われるままさっちゃんのいる体重の所に行くとさっちゃんがニコッと微笑んで耳打ちで「身体測定用紙を受け取ってわたしに渡してくれればいいから。」と言ってくれた。


なあんだ。簡単じゃないか。

着々とこなしていると最後の人が終わったのか一番最後の身長の所にいた紀穂が神妙な面持ちでやって来た。


「茜も早く他のとこやって来ちゃいな?次詰まっちゃから。」


紀穂はそういうと靴下脱いでリボンを外してジャケットを脱いで横の机に置くとおもむろにブラウスまで脱ごうとし始めた。


「ちょっと紀穂っ!!」


奏が慌てて止めたから良かったものの…

あのままの勢いで言ってたら絶対脱いでたよ…


「だってブラウスだって脱げば軽くなるじゃない!」


「気持ちはわかるけど体重詐称はダメですよ?

みんなと同じ条件じゃないとフェアじゃないですから」


他の先生が呆れて物も言えないと言った体で呆然としてる中さっちゃんがそう言った。


ちゃんと共感してから諭すあたりさっちゃんうまいなぁ…あ、でも自分も二の腕とかさすさすしてるから案外本音なのかも…


「はぁい。さっちゃんも案外そういうの気にしてるんだね。」


ここ何日かで完全に仲良くなったようで紀穂はさっちゃんに砕けた口調でそう言いながら従順に体重計に乗った。


「そりゃあ私だって女の子ですもん。

じゃあ最後茜ちゃんですね。」


「はーい。」


女の子を自称する年ではないと思うけど違和感は全くないしむしろぴったりなくらいだなさっちゃん。

とか思いながら軽く返事をして体重計に乗る。



「はい。ちゃんと食べてちゃんと回復するのよ?」


そう言ってさっちゃんが渡してくれた身体測定用紙を見ると男だった頃の3分の2くらいしかない体重にわかってはいても少し落ち込む。


それに前に病院で測った頃より少し落ちているのは気のせいだろうか…

うん。きっと気のせいだ…

こんなんじゃ怖くて身長なんて見れやしない…


まあ、さっき測ってもらったから知ってはいるんだけど…こればっかりはしかたないとなんとか納得しようとするけどまあ、そう簡単に折り合いはつくわけがない


「じゃあ次の人どうぞ〜。」


しょんぼりしながらカーテンで仕切られたスペースの前で待っていると紀穂がキャミソール姿で出てきてすぐに国広先生の声で中に呼ばれた。


ちらっと見えた紀穂の下着姿だったけどどこが太っているのだろうって感じにしか見えなかった。


「じゃあブラウスまで脱いでね〜。」


どんなおっさんが鼻の下を伸ばしているかわからないと警戒して中に入ると意外な事に国広先生しかいなかった。


「あれ、先生だけですか?」


「意外?私これでも昔は大学病院の内科医だったのよ?それより時間決められてるから早めに見ちゃうわよ〜。キャミもたくし上げてね〜。」


わたしが心底意外そうに言うと胸を張ってそう言いながら聴診器をわたしに当てようとしてくる。


「はぁい。」


たくし上げると案外すぐ終わってしまってなんかあっけなかった。


「放課後時間良かったら話したい事もあるし保健室これる?」


「わかりました。紀穂達も部活みたいなんで大丈夫ですよ?」


「じゃあ放課後待ってるわ。」


「はーい。」


国広先生はそう言ってわたしを送り出してくれた。


そう言えばさっきまで泣いてたから目なんて真っ赤なはずなのに誰にも何も言われなかったな…

みんなの前だし気を使ってもらったのかな…


そのままカーテンの出口側から出ると保健室の入り口の所に出た。

そのまま扉を開けて保健室を出ると紀穂と奏が待っていてくれた。


「ごめんね待たせちゃって。」


「いいよ?そんな待ってないから!」


「気がかりな事も終わったし楽しくおしゃべりでもしながら戻りましょ。」


「それもそうだね!」


わたしはそう言って二人と手をつないで教室まで歩く事にした。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



「それにしても日向達戻ってこないね。お昼まですっぽかして何してんだろ。」


「身体測定はしっかりやったみたいだしいいんじゃない?どうせずっと自習だったんだし。

きっと席も席だから戻ってきづらいのよ」


わたし達が今日に戻ってきても日向達は結局お昼まで戻って来なかった。

男子達の話では身体測定だけはひょっこり現れてちゃんと手伝いもしていったらしい。


「まあ、茜泣かせてるんだから自業自得だよね?」


「泣いちゃったのはわたしの問題だから日向達は悪くないって…ちゃんと和解もしたわけだし…」


奏がそんな事言うけど本当に日向達は悪くない…

あいつらなりの理由があってあいつらはわたしの事を思ってるのはわかってるから…


「茜は偉いね〜。あいつらの事本気で友達だと思ってるんだね。私だったらそうわかってても拗ねちゃうだろうし当たっちゃうなぁ…」


「あたしもきっとそうなりそう…」


「多分わたしだって日向達と面と向かったら拗ねた感じで接しちゃうと思うよ?」


三人意見が揃ってなんかよくわかんないけど三人して笑いがこみ上げてきてしまった。


「それにしても茜の拗ねてるとこはちょっと見てみたいかも。」


「見ても楽しいもんじゃないって!」


「きっとかわいいと思う!茜の拗ね姿。

そう言えば今日もお昼屋上でいい?」


「いいよ!」


「私今日お弁当忘れちゃったから購買で買ってくるから先行ってて!」


そんな感じでちちくりあっていると奏がそんな事を言い始めた。


わたし達はここ一週間晴れてる日は屋上でお弁当を食べる事にしていた。

まあ、割と男子達から一緒に食べないかと誘われるのが面倒くさくなってきたので屋上で食べるからと断り続けていた結果こうなった。


放送部の部室でもよかったのだけどお昼の時間は三年生も溜まり場にしているらしいから私もいるしあまり行きづらいって事で屋上に収まったのだった。


「オッケー。じゃあ行ってよっか。」


「うん!」


そう言ってわたし達は紀穂持参のかわいいレジャーシートを持って屋上に向かって歩き始めた。


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