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茜色で描く未来  作者: みやしろましろ
茜&緋那 新生活はハツラツに!
39/68

39話 保健室は補習教室!?

「もうっ!あんまり悪目立ちしたら大変なのよ?

それに普通にみんなが何かやってる時に騒いでたら迷惑でしょう?ちょっとは反省してくださいね!

それと、茜ちゃんは帰りのホームルームの後保健室に来てくださいね。

潮崎くんも他の二人を連れて保健室に来てください。

茜ちゃんの病気のことでお話がありますから…」


「ごめんなさい…坂井先生…」


割と早めに係も決まってホームルームは残り5分といったところでさっちゃんから廊下まで呼び出されたわたし達…


まあ、さっきのお叱りもあるんだろうけどそれ以上に心配してくれているのがわかるさっちゃんらしいコメントだった…


「すいませんでした…

保健室の件は後であいつらにも言っておきます…」


「わかれば良しよ。

矢沢さんも潮崎くんみたいな子に流されちゃダメよ?

矢沢さんのイメージまでも悪くなっちゃうんだから」


「はーい。」


なんだか日向だけが悪いコみたいな扱いで少しかわいそう…



「じゃあそろそろ帰りのホームルームするから教室入りましょう!」


そういってさっちゃんは教室に入っていった。

こーゆうさっぱりしたところもさっちゃんが好かれる秘訣なのだろうかな…



「はーい!じゃあそろそろ自由時間終わって帰りのホームルームしますよー!」


わたし達が席に戻ったのを確認してさっちゃんはそう声をかけた。


「今日は始業式だけだったので早く終わりましたけど明日からはお昼またぐのでちゃんとお昼ご飯持ってきてくださいね!

あと、明日は教科書配るので持ち帰れる準備をしてくださいねー!

じゃあ、皆さん!また明日も元気で会いましょう!

部活がある人は頑張ってください!

あと、他のクラスはまだホームルームやってると思うのでチャイムがなるまでは教室から出ちゃダメですよ〜」


そう言ってさっちゃんは教室を後にした。



「ねぇ、紀穂!さっちゃん先生って色々さっぱりしてるよね。確かに真面目そうだけどなんか面白そう!」


「うーん。私もそう思うけど私さっちゃんのクラスじゃなかったしわかんないな〜。日向くんその辺どうなの?」


クラスの雰囲気が雑談ムードになったので紀穂に話しかけてみるとその流れのまま日向に話が流れた。

確かに紀穂はクラス違かったからわかんないか…


「うーん。確かに帰りのホームルームとかは割と自由にさせてくれるし怒ったりしてもちゃんと反省すればわかってくれるけど昔は鐘が鳴るまで自分も教室に残ってるような融通の利かなさもあったよ?

去年俺達がさっちゃんに『忙しいんだから時間は有効に使ったら?』って諭したらそーゆう融通の利かなさが無くなっていったんだよね」


これは確かに覚えてる気がする…

ホームルーム言うことなくて早く終わっちゃったりするとソワソワしながら鐘が鳴るまで待ってるモンだから耐えきれなくなったわたしがそう言ったんだっけ…



「へぇー。まあ、確かにさっちゃん鈍臭そうだけどそこまでだったとは…

まあ、その鈍臭っぽさもさっちゃんの良さだよね。」


「なんていうかとっても親しみやすそうな雰囲気あるよね〜。」


「まあ、先生らしからぬ舐められ方してるよな。」


キーンコーンカーンコーン


そんな話をしていたらホームルーム終了のチャイムが鳴った。


「あ、チャイム鳴ったね。」


「うーし、じゃあ早めに保健室で用済ませてこようぜ?」


「うん。そうだね。」


「ねぇ!茜!この後何処かでご飯食べてから帰ろうよ!親睦会も兼ねてさ!」


チャイムが鳴るまで待っていたのかちょうどチャイムが鳴り終わってみんながガヤガヤ帰り始める頃に奏がやってきてそう言った。


「ごめんね〜。この後保健室に挨拶しに行かなきゃなの…明日とかなら良いんだけどどう?」


「そうなの〜?…」


わたしがそう返すと奏は落ち込んだ様子でそう返してきた…


悪い事したなぁ…


「私ちょっと部室に顔出すからどうせなら待ってるよ?どうせ早く終わったんだから少し遊んで帰ろう?」


紀穂が落ち込むわたし達にそう提案してくれた。


それを聞いた奏は目を輝かせて「そうだよ!そうしよう!あたし達は部室で遊んで待ってればいいもんね!」なんて言っていてとても可愛かった…



「それなら帰りに遊んで帰ろっか!

もしも遅くなるようなら帰っちゃって構わないからね!」


「どうせ私達暇だから部室で喋ってたら夕方になるだろうし大丈夫よ、いつまでも待つよ?」


「とりあえず終わったら連絡して?」


やり取りの中でサラッと連絡先を交換するムードになった…奏の対人スキル高すぎない??


「MINEでいい?」


「もちろん!」


「いいわよ?」


わたしがグループ通話もできちゃう優れものアプリを提案したら二人とも二つ返事で返してくれた。


「じゃあグループ招待しておくね〜。」


奏がそう言うとわたし達三人のグループの他に早くも出来ていたクラスの女子のグループまで招待された。


「茜、俺達先行ってるぞ。」


「待ってよ、わたしも行く!

保健室の場所わかんないもん!」


和希と大和に話がついたようで日向はわたしに声をかけて先に行ってしまいそうになる。


わたしは反射的に日向の腕を掴んで日向に縋るような形になってしまった。


「じゃああたし達は放送部の部室で待ってるから終わったら連絡してね!」


「大和達ちゃんと茜をエスコートしてあげてね?」


そう言って奏と紀穂はカバンをもって席を離れてしまった…


っていうかあの二人放送部なんだ…


「茜、そろそろ日向の手を放してあげてくれ…

もう日向限界近いから…」


「はわわわっ!ごめんねっ!」


大和がそう言った事でようやく日向の手を握りっぱなしな事に気がついて慌てて手を放した。


「だ、大丈夫…茜だから全然我慢できてる…」


割ともう無理そうな真っ青な顔をして日向は強がって見せた。


「ごめんね!…本当にごめんね…」


「まあ、とりあえず保健室行こうぜ…

ってまあそれはそれで逆効果なのかもしれないけどな…」


そんな感じでわたし達も教室を後にすることにした。



「そう言えばなんか最初の席の割り当て作為を感じるよね…どう考えてもおれ達茜の周りに固められてるし…大和の隣は紀穂ちゃんだし…」


「そのへんも含めて学校の協力体制とかを話しておきたいんだって…まあ、紀穂の席はどう考えても国広先生の独断だろうけど…」


「保健室の小悪魔ならやりかねないな…

まあ、俺としたらちょっとは嬉しいけど…」


「「大和ったら惚気ちゃって〜」」


「う、うるさいなあっ!」


さっきからぐったりして元気のない日向にも気を使ってなるべく日向に近づかない位置取りでいつも通りな感じで和希と一緒に大和をイジる。


そんな風に歩いてるとすぐに保健室に着いてしまった。


「あなた達廊下は静かに歩きなさいよ。

教室の中までまる聞こえよ?」


保健室の扉を開けるなり国広先生はそう言った。


「鍵閉めるから早く中まで入ってきちゃいなさい?」


「はーい。」


国広先生がそう言って可愛くCLOSEと書かれたプレートを持って近づいてくるのでわたしはみんなを保健室に押し込む…



「じゃあとりあえずそこにでも腰掛けて?

あんまり保健室を閉めてるとみんな困っちゃうから早めに済ませたいのよ。

それより仲直りはできたみたいね〜。

よかったわ、これでも私心配してたのよ〜?」


「まあ、おかげ様でっ…ってなんで知ってるんすか…

まあ、それはいいとして俺達を集めた理由教えてください」


外側に札を掛けて扉に鍵を閉めた国広先生は自分のデスクに腰掛けながらそう言った。


キャラにもないノリツッコミで答えた大和はそのまま真面目な顔をしてそう先生に問いかけた。



「簡単なところ茜ちゃんにしっかり協力して欲しいってところね。まあ、あなた達ならしっかり支えてあげられるだろうけど念を入れてってことでね。

具体的に言えば学校としてフォローできない範疇の事をフォローしてあげて欲しいって事かしら…

友達付き合いとかこの子の事だから色恋とかね…

本当ならば女の子に頼みたいところだけど仕方ないわ」


「本当にそれだけですか?…それだけ言うために集めたわけじゃないですよね?」


大和が真剣な目をしてそう言った。

大和は何かに気づいたかのような立ち居振る舞いだった…でも隠してることなんてないしなぁ…


「勘が鋭い子ね…先生そういう子嫌いじゃないわ。

まあ、それは後にしましょう…

とりあえず茜ちゃんと5人で色々擦り合わせたいのよあなた達の関係についてとか」


「関係って言ってもそんな変わらないですよ?

橙哉の妹だから幼馴染だったってのとお見舞いに行ったりとか電話したりとかで知ってるってレベルで通してますから。」


「まあ、それにしては仲良すぎだとは思うけどね…」


国広先生の言い方にビクついた日向だったけど冷静になってそう返した。


和希が呆れたようにボソッとツッコんだのがなんか笑える。


「それはお兄ちゃんが入院した時に同じ病院だったわたしの面倒を見てくれたって事でいいんじゃない?」


「まあ、そんな事はいいとして…

本題は茜ちゃんの病気についてよ。

緋那ちゃんの事もあるし…あなた達にも知っていてもらいたいのよ…設定を…」


最後にボソッと設定をって言ったのをみんな聞き逃さなかった。


「単純に身体の筋肉が極端に弱くなる病気って事にはしてあるけど一応その辺頭に入れといてね。

茜ちゃんもね。こんな感じて資料作ったから。

緋那ちゃんの事は病気の不安と治療のストレスが生み出した乖離性多重人格って事になってます。

まあ、一応こんなところね。

あとは茜ちゃんはその資料をしっかり読んで覚えること。あとはこの学校の女子トイレの場所とか色々まとめておいたから参考にしてね?

茜ちゃんはこれで帰っていいわよ?

そして君たち3人はわたしとお勉強会よ…茜ちゃんの病気についてね。」


最後のセリフを言うときのニヤッとした顔がまるで獲物を狙う女豹の様で恐ろしかった。


「じゃ、じゃあわたしはこれでっ…か、帰りますね…

3人とも…頑張ってね?」


わたしは引き攣った笑みを浮かべてそう言ってカバンを持ってそそくさと逃げる様に保健室を後にすることにした。


「はぁ…あんな飢えた女豹の前に3人を置いてきちゃったけど大丈夫かなぁ…今になって心配になってきた…」


そんな事を考えつつも紀穂達と遊ぶのが楽しみで用事が終わったとMINEする手も心なしかウキウキしてるような気がした。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「じゃあ、本当の本題に入りましょっか。

最後の笑顔可愛かったわね…引き攣ってたけど…」


「先生本題に入るんじゃなかったんですか?」


大和が呆れた様にそう言った。


「まあ、そう焦るんじゃないわよ。

ある意味言いたいことはそこに詰まってるんだから」



「つまりは可愛すぎる茜ちゃんに手は出しちゃダメよって事です?」


意味深な国広先生に和希はドストレートに問いかけた。


「まあ、それに近しいわね。

あの子はまだまだ女の子として未熟だからあなた達から色目を使われたりでもしたら混乱しちゃうでしょ?

だからせめてあの子が女の子として成長するまでは見守って欲しいって事ね。」


「それ俺達に言います?

日向は女の子ニガテだし俺は彼女いるし和希だって友達は一番に大切にするタイプですよ?

俺達に限ってそれはないでしょ…」


大和はつっけんどんにそう言い放った。


「それはわからないわよ〜?

茜ちゃんのあの可愛さよ?いつ惚れちゃってもおかしくないと思わない?」


国広先生はなんて言うかさっきまでの女豹の雰囲気とは打って変わった感じのなんて言うか控えめに言って変態のような感じでそう言った。


「先生ちょっとキモイっす…」


ボソッと和希がそう言うのが何よりその体を表しているような気がする…


「確かに茜はこれ以上ないほどの美少女だと思いますけどそれ以上に俺達の大切な仲間ですから。」


「まあ、あなた達の覚悟はそれなりに分かってるつもりだけどわたしがさっき言った事の逆もあり得るんだからね?そのときどうするのか…そうならない為にどうするのか…考えておいて欲しいのよ。」


大和は揺らがないといった感じで頑として表情すら変えなかったけどそれを崩すほどに国広先生の言葉は強烈だった。


茜から恋されてしまった時、茜から告白されてしまった時俺達は嫌われてでも振るという選択ができるのだろうか…


「確実に茜ちゃんが誰かに恋をして誰かと結ばれる日は来るんだから。…来なかったら困っちゃうわ。」


追い打ちをかけるような国広先生の言葉が俺達に突き刺さって大きな沈黙を作る事になった。



「まあ、この話はここまでね。

後は軽くTS症候群についてお勉強しましょう。」


沈黙を軽く切り裂いて国広先生はホワイトボードを持ち出して何か書き始めた。



「…と言うわけで茜ちゃんの心はまだまだ不安定なの。だから少し気を使ってみていてあげて欲しいの。

ひょんな事で感情を爆発させちゃう事もあるから。」


「わかりました。」


「まっかせてください!」


図とかも使って上手い事説明してくれた国広先生のお願いに大和も和希も頼もしく答えている。


「潮崎くんも大丈夫?」


「ええ、そこは当たり前の事ですから。

でも、少し不安になってます。先生の説明だとプラスの感情も爆発しやすくなってるって事ですよね?

それこそ恋心とか…」


俺は独学で勉強した範囲で解釈していた分浮かんできた憂いみたいなものを国広先生にぶつけた。


「うーん。まあ、そこは茜ちゃんが自分の事を認めないとどうにもならないと思うけど…

それ以上に問題なのは誰かに依存しちゃう事じゃないかしら。今の茜ちゃんはそういう面でとても脆いと思うのよね。だからその辺も気を付けて接してあげてね。」


国広先生は俺の質問に対して真面目に俺の憂い以上に真剣に答えてくれた。


そうか…依存か…考えてすらいなかった…

俺達が構いすぎちゃうのもダメなのかもな…


「まあ、茜も女の子として生きる決意があるみたいですしそこは俺達は干渉しすぎないようにしようと思ってました。」


大和がそう言ったのが意外だった。


「俺達のポジションって仲のいい男友達ってところが妥当なのかもな…」


「今はそれが一番だよね〜茜の事だからあんまりオレ達が構ってたら女の子の友達作らなさそうだもんね」


俺がボソッとつぶやくと和希がそれに同調してくれた。


「その意気で茜ちゃんを影から支えてあげてね。

なんか質問があればいつでも待ってるわ。

潮崎くんはまた今度おいでよ?いつでも相談にのるから。じゃあ、今日はそろそろお開きにしましょう。」


国広先生がそう言って締めたので勉強会はお開きになって俺達は保健室を後にした。



「飯でも行くか〜!」


「いいね〜!やっぱラーメン?」


「あ、ごめん。俺新歓の練習あるから帰るわ。」


保健室をでてすぐの所でそんな話になったけど俺は新歓ライブの練習の為に一回ベースを取りに行かなきゃいけない…


「そっか〜。新歓ねぇ〜…いいなぁ〜俺達もライブしたいなぁ〜」


「そう言えば生徒会の奴が新歓の出し物が少なくって困ってるって言ってたな…」


和希が愚痴をこぼして大和がそんな情報を持ち出した。


「でちゃう?新歓。」


「アリだな…」


絶対こいつら企んでただろ…


「俺軽音の方で出るんだけど…」


「2つ出るくらい大丈夫じゃない?

出し物が少なくて困ってるみたいだし」


「それくらい生徒会の奴も許してくれるって。

それに茜を応援してやりたいじゃん。支えてやりたいじゃん。その一番良い方法は音楽だと思わない?」


大和がもっともな事を言う。

確かにもっとも俺達らしい応援になりそうな気がする


「わかったよ…時間ないんだから練習しっかりするからな。」


「じゃあおっちゃんに電話しとく!

今日の夜早速練習だかんね!!」


「じゃあ俺はこれから生徒会に掛け合ってくる。」


「わかった。じゃあ今日また夜な。そろそろ行かないと練習遅れちまう。」


各々しっかりと役割を決めて解散した。

俺も急いで帰って少しでもスタジオでベースの練習をして勘を取り戻す事にした。


ってかあれ?誰が歌うんだ?俺達3人でやるとして…


大和は信じられないくらい音痴だし…

和希はリズムがよれるからって歌いたがらないし…

ってそうなると俺しかいないじゃん!!


変な事に気づいてしまった俺は一気に不安に包まれる事になった。



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