21話 ただいまっ!
「なあ、今日は久々にみんなで外食にでも行かないか?
せっかくだからな…」
病院を出てからというもの車の中の空気はしんと凍り付いていた。
わたしはずっと泣いていたしひーちゃんはそんなわたしを隣でずっと優しく撫でてくれていたし助手席に座る雪ねぇとお父さんの会話も全くなかった。
そんな中、口火を切ったのはお父さんだった。
「お父さんでもそんな気遣いができるんだね。
でも、それはきちんと橙…あーちゃんに謝ってからなんじゃない?」
「雪ねぇ…ぐすっ…
わたしね、さっきお父さんと仲直りしたの…
お父さんにも謝ってもらったしわたしからもしっかり謝ったの…
それで、家族としてまたやり直そうって…」
お父さんに不信感をぶつける雪ねぇにさっき病院で起こったことを説明した。
「それであーちゃんは納得したの?」
「うん。」
わたしはまっすぐに雪ねぇを見つめる。
「それなら私がどうこう言う筋合いはないかもね…
とりあえず家まで帰りましょ!
荷物もあるし何よりまだお昼ご飯食べてないしね。」
「そうだねっ!
あたしもうお腹ぺこぺこだよぉ〜!」
雪ねぇも納得したみたいだしだんだんといつもの賑やかな宮代家の空気が戻ってきたような気がする。
「そうだねっ!
わたしパンが食べたいなぁ〜!」
「それなら俺が美味しいパン屋知ってるぞ!
ちょっと寄り道してパンを買って帰るか!」
「「「さんせーい!」」」
見事に3人揃ってしまった。
その後の車の中は笑い声が絶えることはなかった。
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カランコロン♪
昔懐かしい音のなるドアをくぐるとふんわりと焼きたてのパンのいい匂いがした。
「いらっしゃいませー…って茜ちゃん?
覚えてるかな?ほら、病院でお茶したじゃん!」
聞き覚えのある声だと思って声のした方を見てみると声の主はやはり和希だった。
「あ、お久しぶりです。」
そもそも和希がこんなとこで働いていることに驚いたし和希が一回しか会ったことのない今のわたしを覚えていることにも結構驚いた。
「どうした?お友達にでもあったのか?…」
そこにお父さんがひょいと現れた。
現れたのがほんとひーちゃんとか雪ねぇとかじゃなくてよかった…
因みにひーちゃんと雪ねぇには車で待機してもらってる。
街中にでるとなるとやっぱりひーちゃんの顔バレ対策はしっかりするべきだからね…
「あ、お父さん。
こちら病院で仲良くなった和希くん。
同い年なんだよ。」
「そうか、和希くん。茜と仲良くしてやってくれ。」
わたしはそそくさとお父さんに和希を紹介する。
わたしのこの言動でお父さんもバンドメンバーに今の状況を話していないことを察してくれたらしくわたしに合わせにきてくれた。
「それにしてもよかったよ…
無事に茜ちゃんか退院できたみたいで。
それに比べ橙哉は面会謝絶で今の状況すらも教えてくれない。
早く状況だけでも教えて欲しいもんだよ…」
そういう和希の顔はとっても寂しそうで悲しそうで見ているこっちも悲しい気持ちになるし申し訳ないなぁって気持ちにすごくなった。
「早くお友達から連絡が来るといいですね。」
なんて返せばいいか大分悩んだけど結局わたしは月並みな応えしか返すことができなかった…
「ありがと。こんな可愛い娘が心配してくれるなんてきっと橙哉も喜ぶよ…」
和希は物思いにふけるように言うが目の前にいる可愛い娘が橙哉だとは少しも思っていないだろうな…
「そういえばパン買いに来たんだよね?
てっきり忘れてはなしこんじゃったよ。」
和希はわたしが橙哉の話を興味なさそうに聞いていると思ったようで慌てて話題を変え始めた。
別にわたしは橙哉の話に興味がない訳ではないのだけれど正体がバレるわけにはいかないので茜と橙哉の接点を全くなくす必要があったのだ…
「あっ、そうなのっ!
和希くんのおすすめとかあれば教えて欲しいなぁ!」
楓さんのように少しキャピキャピしながら可愛らしく聞いてみた。
「あっ…えっ…これがオススメかな…」
和希は顔を真っ赤にして俯きながら焼きたての札のついた美味しそうなパンを指差した。
「そうそう。これが食べたかったんだよな…」
わたしが反応するより早くお父さんが和希の指差したパンをトングで手に持つトレーに乗せた。
「茜ぇ…後で説教だな…」
お父さんはわたしの耳元でボソッとこういった…
やばい…結構怒ってる…どうしよう…
「じゃあ、これでお会計お願いします。」
お父さんはそう言っていつの間にか美味しそうなパンがたくさん乗っていたトレーを和希に渡した。
「あっ、はいっ!
少々お待ちくださいっ!」
惚けていた和希も仕事だということを思いだしたらしくキビキビと会計を進めている。
「ありがとうございました!」
和希はパンの入った袋をお父さんに渡すと入り口まで見送りに来た。
そんな和希をみているとまた来たいなぁって気になるなぁ…
「また来るねっ!!」
そんな和希にわたしはとびきりの笑顔でそう言ったのであった。
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「茜ぇ…さっき先生に言われたこと言ってみな…」
車に戻って最初にお父さんが言い放った言葉がこれである…
そんなお父さんの様子を見て雪ねぇとひーちゃんも何事かと心配している様子だ…
「えっ…あっ…
これからは同性だった人が異性になるってやつ…?」
お父さんが怒っている理由がよくわかっていなかったけどお父さんの一言ですぐ理解することができた。
「そうだよ…
しかも茜は異性を惹きつけやすいから人一倍気をつけないとって言われたばっかりじゃないか…
そんなんじゃいつ襲われたりしてもお父さん知らないからな!」
きっとわたしの身を案じてなのだろうけどなんだか和希と仲良くしていたことに拗ねているようにしか見えないのはなぜだろう…
「はい… ごめんなさい…
次は気をつけます…」
一応わたしはしおらしくそう言った。
わたしがそれを気をつけるべきなのは本当だし…
「まあ、可愛らしく振る舞うってのも女の子として当然の事だからそこまでとがめなくても大丈夫でしょっ!
車から見てた感じそこまで言うほどじゃなかったし…」
そうそう!ひーちゃんの言う通りだよ…
ってわたし達のやりとりみてたのかよっ!
「もちろんよ!
二人のやりとりをパンを選ぶフリしてそわそわしながら見てたお父さんまでしっかり見てたわよ!」
雪ねぇはわたしの表情を見るなりすぐにそう言った…
わたしの心を読んで会話の先読みしてるのであろう…
「雪ねぇっ!わたしの心を読んで会話すんのやめてよ!」
「むふふっ、あーちゃんのことならなんでもお見通しよっ!」
「それにしても二人を見るお父さんめっちゃ面白かったね!
娘が絡むとお父さんはキャラが崩壊するよね…」
ひーちゃんはさらっと心にグッサリ刺さる言葉を吐くもんだ…
「もうやめてくれ〜!!」
ひーちゃんの言葉で限界が来たのかお父さんは狂ったような悲鳴をあげはじめてしまった。
結局パンを買った後も来た時のような笑い声とお父さんの悲鳴が車内には木霊していた。
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「あっ、もう着くじゃんっ!
なんだか懐かしいなぁ…」
見慣れた風景が見えてくるとなんだか懐かしさがこみ上げてくる。
一か月程度しか家を離れてなかったとはいえ、なんだかとてつもなく懐かしさがこみ上げてくる…
「さっ、車入れる前に先に荷物出して降りちゃってくれ…」
家の前に車をつけるとお父さんは運転席から後ろの方を覗き込んでくる…
雪ねぇとひーちゃんに荷物をもってもらってわたしはさっき退院するときにもらった書類などが入った紙袋をもって車を降りた。
「はぁぁ…帰ってきたぁ〜!」
玄関に荷物を置いてわたしは真っ先にリビングへ向かいソファーにダイブした。
「こ〜ら。お行儀悪いわよ!」
「まあ今日くらいいいんじゃない?」
そんなわたしを見ながらひーちゃんと雪ねぇが何かを話しているがそんな事はまあどうでもいいや!
「早く荷物片付けちゃえよー!」
玄関からお父さんの声が聞こえる…
「はーい!」
じゃあ部屋まで荷物持って行きますか…
「あっ、手伝うよ?
キャリーケースとかあ〜ちゃんには重たいだろうし…」
宮代家は6LDKの二階建て広々一軒家でわたし達姉弟一人一人の部屋がきちんとある。
フリーランスのカメラマンのはずのお父さんがなんでこんな家持ってるんだろう…
やっぱりお父さんのお仕事事情は不思議だなぁ…
ちなみにわたし達姉弟の部屋はみんな二階にある。
なので、必然的に部屋に行くのには階段を上らなくちゃいけない…
きっとひーちゃんはわたしの体力じゃまだ荷物をもって階段を上るのが厳しいのではないかと思っているのだろう…
まあ、実際疲れちゃうからひーちゃんに任せようかと思うけど…
「じゃあ、お願いしようかな。」
そう言ってわたしはキャリーケースに入らなかった洋服や身の回りの小物を入れた紙袋をもって階段を上った。
「あれっ!わたしの部屋の看板が変わってる!」
自分の部屋の前にたどり着くと可愛らしくオレンジやピンクでデコレーションされ、『あかね』と書かれた看板がドアについていた。
今までのアクリル版にオレンジのペンで『橙哉』って書かれたダサダサの看板より全然マシだ…
「ごめんねっ?あーちゃんが名前を変えて女の子として生きていくって決めた日から準備してたの…
あーちゃんの決意を大事にしたかったから…
ちなみに、元の看板は机の上に飾ってあるわよ?」
わたしが看板に驚いていると雪ねぇが上まで上がってきてそう言ってくれた。
「謝らなくなっていいよ!だってわたし嬉しいもん!
それにこんなに可愛い看板を用意してくれたなら嫌だったとしてもきっと好きになるよ!」
せっかく二人が用意してくれたものに文句をつけたりするわたしではない…
それに本当に可愛くってたまらない。
オレンジだしデコレーションもいちいち可愛いし…ほんと可愛いっ!
「ほんとに?怒ったりしてない?…」
目をウルウルさせながら上目遣いでそう聞いてくる雪ねぇ
(やばいっ…雪ねぇ可愛すぎっ…)
「うん。怒ったりするわけないじゃん。
だってこんなに可愛いもの作ってくれたんだよ?
喜びはしても怒ったりするわけないじゃん。」
「そっか…ありがとね…
…遅くなっちゃったけどお昼にしましょうか。」
雪ねぇはうつむきながらわたしの言葉を聞くとゆっくり顔を上げて少し吹っ切れたように笑った。
「そうだね!」
そう言って部屋に荷物だけ置いてわたしと雪ねぇは階段を降りた。
ちなみにひーちゃんはわたしの荷物を部屋に置いたらそそくさと下に降りてしまっていたみたいだ…
「ひーちゃんさっさと降りちゃうなんてどうしたんだろ?」
階段を降りながら雪ねぇに話しかける。
「ひーちゃんのことだからなんかやる事があったりしたんでしょ?
あの娘そういうとこあるし…」
「ふふふっ…そうだね。そういえばひーちゃんはそういう娘だった。」
くすくす笑いながら雪ねぇが言うからわたしもつられて笑ってしまう。
「おねーちゃんもあ〜ちゃんも遅いっ!
お父さんもわたしも待ってたんだからね!」
リビングのドアを開けるといきなりひーちゃんがそう言ってきた。
テーブルを見てみるとさっき買ってきた美味しそうなパンとひーちゃんが作ったであろうスープが準備されていた。
さっきはスープを作るために先に降りたのか…
「ごめんごめん…
部屋の看板が可愛くって盛り上がっちゃってた…」
「ひーちゃんごめんね?少し話し込んじゃった。」
「もうっ、あたしはお腹ぺこぺこだよっ!だから早く食べよっ?」
ひーちゃんは謝るわたし達を見て少し不貞腐れた様な顔をしたけどすぐにいつもの笑顔に戻った。
こーゆう切り替えの早さはひーちゃんのいいところだと思う。
「じゃあ食べるか。
スープとかは緋雪が作ってくれたんだぞ。」
「それくらいわかるって 」
「ひーちゃんありがとね?」
「「「「いただきまーす」」」」
ひーちゃんにお礼を言ってみんなで食べはじめた。
こんなのいつぶりだろう…
みんなで一緒に食べるなんて…
「あーちゃん目が赤いけどどうしたの?」
全く…雪ねぇは…ニヤニヤしながらそんな声かけてくるとか…性格悪いよ…
「別に泣いてないしっ!」
なんだか強がってしまう…
昔と同じ様にしてても身体が今までより素直だから全然隠せないんだよなぁ…
「あ〜ちゃんの気持ちわかるよ?
あたしも同じ気持ちだもん…」
ひーちゃんも目をウルウルさせている。
双子だし通じるところがあるのかなぁ…
「ひーちゃんっ!!」
そんなひーちゃんの姿をみてわたしも感極まってしまいそうだ…
「ほら、ご飯は泣きながら食べるもんじゃないぞ。」
そう言ってお父さんはひーちゃんとわたしにティッシュを取ってくれた。
「「うん。」」
わたしはひーちゃんと完璧にシンクロしてそう答えた。
さすが双子といったところだろうか。
「それにしても遅いお昼になっちゃったわね。晩御飯も少し遅くしないと食べれないかもね…」
時計を見ながら雪ねぇがそう言ったのでつられて時計を見てみるとなんともう3時ではないか…
そりゃあお腹も空くわけだよ…
「そうだね!さすがのあたしも8時超えないと食べれないよ…」
「そうだなぁ…まあ、行く場所にもよるけど7時半くらいに家出るか!」
「「さんせー!」」
「茜もそれでいいか?」
優しげに微笑むお父さんの顔を見るとなんだかとても安心した…
やっぱお父さんって安心するなぁ…
「茜?大丈夫か?」
「あっ、うん…ちょっとボケっとしてた…
わたしも遅い方が助かるかなぁ
ちょっとお腹いっぱいになっちゃった」
お父さんの心配そうな声と表情をみて急いで取り繕ったわたしはお腹をさすりながら可愛らしくそう言ってみる。
「それなら7時半に家を出よう。
茜は何が食べたい?」
お父さんはしっかりとわたしの目を見て話しかけてくれる。
それだけわたし達と向き合おうとしてくれてるってことだろう…
そんなお父さんの態度が嬉しくって自然と笑みがこぼれてしまう。
「うーん。やっぱりお祝いって言ったらお寿司じゃない?」
「あ〜ちゃんそんなにニヤニヤしながら言うなんてよっぽどお寿司が好きなんだねっ!」
またぁ、ひーちゃんったらそんな意地悪な言い方してぇ…
ひーちゃんだって十分ニヤニヤしてるじゃないか!
「別にお寿司が好きだからってわけじゃないしっ!」
やっぱりツンデレのようになってしまう。
なんでだろ…きっとひーちゃんのフリが良くないんだ…きっとそうだ…
「わかったから拗ねないでっ!
意地悪してごめんね?」
ひーちゃんのとびきりの笑顔がここで炸裂した。
なんて可愛い笑顔なんだろ…
こんなのそこらの男なんてイチコロだね…
「わかったよ。まあ、ひーちゃんの意地悪はいつもの事だからね…」
仕返しにわたしも意地悪な言い方をしてみた。
「あ〜ちゃんの意地悪っ!」
「はいはい、そこまでにしようね…
わたしもお寿司がいいなぁ…
行くならやっぱあそこしかないと思うんだよね!」
わたしとひーちゃんの不毛な争いは雪ねぇが間に入ることで収拾がついた。
雪ねぇが言っているあそことはきっと宮代家が何かあるたびに行っていたあの高そうなお寿司屋さんのことだろう…
お母さんが死んでからは一回も行ってなかったなぁ…
まあ、わたしもそんな記憶があったからお寿司って言ったんだよね…
「ああ…政寿司のことか…
まあ、いいんじゃないか?
家族の再スタートにはもってこいだな」
お父さんもそれで納得したみたいだ
「政寿司ならすぐそこだし8時に出ようか」
「「「はーい」」」
もうとっくにお昼を食べ終わっていたわたし達はお父さんの決定に賛成すると食器の片付けやらお茶の準備に取り掛かった。
「お父さんお茶飲むの〜?」
「いや、俺はいらない…少し仕事するわ…」
「7時くらいに呼びに行けばいい?」
「そうだな…お願いするよ」
雪ねぇとそうやりとりするとお父さんは書斎に足を向けた。
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「荷物持ち帰ってきたからあーちゃんのクローゼットとわたし達の洋服も整理しないとね。」
いつもの如くお茶を飲みながらおしゃべりをしていると雪ねぇがそんなことを言い出した。
「じゃあ明日はみんなで洋服の整理とかしよっか!」
「そうだね…
着れるものとそうじゃないのわけないと…」
ブルシムのパーカーまだ着れるといいな…
「じゃあ荷物も明日振り分けてから洗濯しよっか。」
「うん。そうするね。
あっ、パジャマだけは取り出しておかないと…」
「じゃあそろそろお茶もお開きにしましょっか!」
雪ねぇはそう言っておもむろにティーセットを片付けはじめた。
「じゃあわたし部屋で荷物整理するね。」
わたしはそう言って自分のカップを台所に片付けて部屋に戻った。
ボスッ…
「…はぁ……、どうしよ…
なんだか落ち着かないなぁ…」
部屋に戻るなりわたしはベッドに倒れこんだ…
むしろベッドに飛び込んだっていう表現の方が正しいかもしれない…
男だった頃から馴染み深い我が家に今の女の姿でいることがなんだか気持ち悪くって落ち着かない…
今までは病室のベッドだったからか今寝そべってるわたしのベッドもなんだか変な感じがする…
ベッドに寝転んで部屋を見渡してみるとなんだか昔と違って見える…
ブルシムのポスターもデスクトップパソコンが置かれたデスクも部屋の奥の方にある楽器スペースも…
なんだか昔と違って見える。
「なんだかまるで彼氏の部屋で一人過ごしてるみたいだ…」
きっといつもバイトで遅くなるバンドマンの彼氏の帰りを甲斐甲斐しく待ってる女の子とかなんだろうなぁ…
なんてことを考えてしまう…
男としてそう考えてしまうのか女としてそんな妄想をしてしまうのかなんだかよく分からなくなってしまう
そんなことを考えるにつれてだんだんとわたしの意識はまどろんでいった。




