16話 楓さんの過去とあたし達の未来
「仕方ないわねぇ…
そこまで言われたら話すしかないじゃない…
私はちょうど雪菜ちゃんと同じ年の時にTS症候群を発症したの…
私はそれまで何の取り柄もない普通の男の子だったんだけれどね…
それがTS症候群を発症して何もかも変わってしまったわ…
そして出会ったのよ…私の代理人格であるもみじとね…
あれは発症後治療も終わって退院してからのことだったかしら…」
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「やっと会えたわ…
あなたの名前は楓ちゃんだっけ?」
「俺の名前は達吉だよ!
間違えんな!つーかお前誰だよ…」
家に久しぶりに帰ってベットでゴロゴロしようと思ったら鏡でみた自分そっくりな女の子がぼやぁっと現れたのよ。
「あら?
あなた女の子になったのよ?
お父様から楓っていう可愛らしい名前ももらってたじゃない。」
わたしのお父さんはもともと女の子が欲しかったらしくてね…
嬉々として私の改名を行ってたわ…
「いやなこと思い出させないでくれよ…
つーかお前本当に誰だよ…」
「ああっ、私?
あなたの代理人格よ!
入院してる間に勉強したでしょ?
名前はね…
あなたが楓ちゃんなら私はもみじってところかしら…」
「だいり…じんかく…?」
私は勉強とか嫌いだったので先生の説明もほとんど聞き流していたのよ…
それでどれだけ苦労したことが…
「あなただいぶおバカさんなのね…
あなたでもわかりやすいように言うと私はあなたを女にする存在ね…」
そんな感じだったからもみじとの初対面はイヤな奴って印象があったの…
「まあ、いいわ…
時々こうやって現れてあげるわ…
あんまり女の子を拒否しちゃうようならあたしがあなたのこと食べちゃうわよ?」
そう言ってもみじは消えてしまった。
それからというもの私が一人になる時にはよく出てきて二人で会話をしていたわ…
ちょうどこの頃は女の子として生きるのにとっても苦労しててね…
その相談に乗ってもらったりしたわ…
そんな時にちょっと色々あって私の心が不安定になっちゃってね…
そんな時はもみじが入れ替わってくれて助けてくれたり私が一人泣いてる時には何も言わずに抱きしめてくれたりして…
そんな私はどんどんもみじに依存していったわ…
どんどんもみじのことが好きになってもみじがいないと生きられないってくらいになってたの。
そして遂には私はもみじみたいになりたいもみじになりないと願うようになったわ…
「ねぇ、もみじ。
どうしたらもみじみたいになれるかな…」
「えっ?
楓どうしたの?
もみじみたいに女の子らしくなんて出来ないしやりたくないって言ってたじゃない」
私は意を決して言ったわ…
もみじの反応は予想どうりだったけどね…
「もみじのことが好きなの!
でも、このままじゃもみじへの想いをどうしようも出来なくって…
もうもみじになるしかないかなって…」
「だいぶ病的な発想ね…
さすがの私もちょっと引いちゃうわ…
でも、せっかく楓ちゃんがその気になってくれたなら私も協力するわ!」
そう言ってもみじは協力を約束してくれたわ…
あとから聞いた話だと女の子になって生活も安定してそろそろもみじも役割を全うして消えようかと思っていたけど私がいつまでももみじに依存しっぱなしだったから心配だったんだって…
「ほらっ、私みたくなるんでしょ?
だったら足をおっ広げて座らない!
それに一人称も『私』で統一しなさい!」
私がもみじみたいになりたいって言った日からもみじのスパルタ教育が始まったわ…
それはもう辛かったわよ?
今の茜ちゃんの数倍女の子らしくすることを刷り込まれたんだから!
それでもね…
そうやってもみじといっぱい会話をして女の子っぽくすることがとても楽しく思えたのよ。
そうやっている内に私は誰から見ても女の子らしいって言われるくらいには女の子らしくなれたわ。
それでもね…
私のもみじへの気持ちは無くならなかったしどんどん大きくなっていったわ。
ついに耐えきれなくなった私はもみじに気持ちをぶち撒けたの。
それが原因でもみじとはだいぶ喧嘩になったわ。
「楓ちゃんが女の子らしくなりたいって言うから私は手伝ったんだよ?
私への気持ちを断ち切るつもりじゃなかったの?!
楓ちゃんがそんなんだったら私が楓ちゃんの身体乗っ取っちゃうから!
もう私は知らないからね!」
「待ってよ!
私はもみじみたいになってみれば諦めもついてなんとか踏ん切りもつくかと思ってたんだよ!
それでもね…
もみじへの気持ちは消えないんだよ!
もみじいつも言ってたじゃん!
恋は女の子を動かす原動力だからするべきなんだって!
だったら私の恋も認めてよ!
これも立派な恋なんだよ!」
「そんなの普通じゃないよ。
女の子が女の子に恋するなんて。
ましてや楓ちゃんが好きになったのは自分自身でもある存在だよ?
そんなの普通じゃないよ!
私は楓ちゃんを普通の女の子にする為に自分の事は後回しにして生きてきたんだよ!
楓ちゃんがそうするなら私も好き勝手生きさせてもらうから!」
それまで喧嘩どころか意見が割れた事もなかった私達の初めての喧嘩だったわ。
ここまで掛かるのに私達は3年も掛かったわ。
まあ、これからの方がよっぽど大変だったんだけどね。
喧嘩をしてからの私達は各々が好き勝手に行動したわ。
基本的に私が持ってる人格の主導権をときどき奪われては好き勝手に行動されて結構困ったのよね。
そんな時にさ、もみじが勝手に男の人と付き合っちゃったんだよね。
相手の人に私の事すら知らせずにね。
まあおかげでもみじとの喧嘩も止める事が出来たんだけどね。
「もみじ!
聞こえてるんでしょ?
閉じこもってないで出てきなさいよ!
今度という今度は許さないんだからね!」
「うるさいわねぇ。
私が何しようと勝手でしょ?
彼氏作ったくらいでつべこべ言わないでよ。
あんたが何時までも私の事を引きずってるからいけないんでしょ?
私は勝手にやらせてもらいますから。」
「ちょっと!もみじ!
待ちなさいよ!話はまだ終わってないでしょ!
勝手に逃げたら承知しないから!」
もみじは私の話も聞かずに言いたい事だけ言ってすぐに心の中に閉じこもってしまったの。
「はあ、どうしたらいいのよ。
しかも相手からメールが来て会いたいって言ってくるだなんて…
いっその事私も心の底に引きこもっちゃおうかしら。
でも、そんな事したらもみじに人格主導権を握られそうだし…」
『いまから会えないかな…
ご飯でも食べに行こうよ。』
私がうじうじ悩んでる間に彼氏さんからメールが来ていた。
無視をしてしまえば良かったのだけれどこの時の私はなぜだかその選択を取らなかった。
そう。私はもみじの彼氏さんに会いに行ったのだ。
いま思えばこれが今の私につながる分岐点だったのね。
『わかりました。
どこで待ち合わせしますか?』
もみじが付き合っているのは大学の3個上の先輩でとても大人な人だった。
『じゃあ駅前の時計広場で待っててよ。
迎えに行くから。』
私は先輩が車で来るのを見越してあんな返信をした。
予想通り先輩は車で私を迎えに来てくれるらしい。
私の作戦は見事成功したようだった。
先輩に車で来てもらいたかったのには理由があって…
もし今の私の状況をカミングアウトして先輩がもみじを受け入れなくても大きな騒ぎにならないと思ったからそうしたの。
このまま先輩を騙し続けるわけにはいかないし先輩にカミングアウトすることで今の私の状況をはっきりさせたかったのよ。
「先輩。
私は言わなきゃいけないことがあるんです。
驚かないで聞いてくださいね。」
「知ってるよ。
俺は楓ちゃんが言おうとしてること知ってる。
もみじから聞いてるから。
それでもね、俺は楓ちゃんのことが好きだし…
いや、もみじのことが好きだし楓ちゃんのこともこれからもっと知っていきたいと思ってるよ。
それにもみじから言われてるんだよ。
「あなたになら楓ちゃんを託せる。
楓ちゃんをよろしく頼むね」って…」
先輩の口から出てきた言葉にただただ衝撃を覚えたわ。
でもね、それ以上に先輩に安心感を抱いたの。
「先輩…
いいんですか?
先輩が好きなのはもみじでしょ?
私なんかがいたらお邪魔じゃない?」
この人に迷惑はかけたくないって思ったわ。
それにここまで私の事を考えていてくれたもみじにもっと幸せになってもらいたいって心の底から思ったわ。
「大丈夫。
俺は純粋に興味があるんだ。
もみじがここまで肩入れる女の子がどんな子なのか。
それにもみじも君と同じ気持ちなんだと思うよ。
そろそろ仲直りするべきなんじゃないかな…」
「先輩っ!
話が違うじゃないですか。
仲直りとかそういう話じゃなかったじゃないですか!」
先輩の言葉にどこからか現れたもみじがそう返した。
「も、もみじ!?」
「ああ、もみじの策略にそのまま乗せられるのはシャクだったもんでね。
俺なりのアドリブを入れらせてもらったよ。」
「もうっ!
そんな性格してるからモテないんですよ?」
もみじが出てきたことに私が驚いてる間に先輩ともみじの話は進んでいた。
「もみじっ!… ごめんね…
もみじが私の事いっぱい考えてくれてるって知らずに酷いこといっぱい言ってきちゃった。
許してもらえるとは思えないけどできるならまたもみじと仲良くしたい。
本当にごめんね。」
私はもみじに深々と頭を下げたわ。
「私は怒ってなんかいないよ。
私は楓ちゃんに嫌われることいっぱいしてきた。
だから私の方が謝るべきなんだよ。
本当にごめんね。
こちらこそ仲良くしてほしいな。」
「もみじぃぃ!ありがとね!
またいっぱいお喋りしようね!
今度は心から女の子同士として仲良くしようね!」
そう言って私はもみじに抱きついた。
「あっ、もみじの恋路は邪魔しないように頑張るからっ!
今はなんだか恋人とか作る気になれないし…」
「何言ってるの?
楓ちゃんも一緒に楽しむのよ!
だって私達二人で一人じゃない!
ねっ? 先輩っ!」
「ああ、俺もそれで構わないさ。
もみじの事はもちろん好きだし楓ちゃんの事ももっといっぱい知りたいと思う。」
もみじと先輩に言いくるめられて私は何も言えなくなってしまった。
「じゃあ私は少し休むわね!
先輩っ!じゃあねっ!」
そう言ってもみじはどこかへ消えてしまった。
「うん。またな…
…楓ちゃん?
お茶でもしにいこうか。」
先輩は淡く消えてくもみじを見送った後私に声をかけてきてくれた。
「ん?…
もみじを見送った?…
なんで先輩がもみじのこと見えてるの?
なんで会話が成立してるの?
おかしいよ!」
そこでやっと私は違和感を覚えた。
「あっ、そういえば楓ちゃんは知らなかったんだね。
俺はそういう特異体質らしい。
ある時から君がもみじと会話してるのが見えるようになってしまってね。
この力はきっと君達を導くための力なんだろうと俺は思っているよ。」
先輩の発言に私は驚きすぎて何も反応できなかったわ。
「へえぇ…
そんな人もいるんですね。
不思議なもんですねぇ。」
私はそんな答えしかできなかった。
そんな話を続けながら歩いていると先輩おすすめだという喫茶店にたどり着いた。
私達はそこでいろんなお話をしたわ…
それからというもの私ともみじは入れ替わりながら生活をして先輩との仲を深めていったの。
そんなある日にね、先輩がもみじの存在が薄くなってきてるとか言い出すんだよね。
「もみじが薄くなってきてるってどういうことですか?
このままだともみじは消えちゃうってことですか!?」
「楓。少し落ち着くんだ。
俺も医者じゃないからわからないけどきっと楓のなかで代理人格の存在が必要なくなってきたのだろう。」
「もみじに聞いてみるのが早いか。
聞いてるんでしょ?早く答えてよ!」
もうその時の私は軽くパニックになってたわ。
「せんぱぁーい。
そういう深刻そうなことは一回私通してから楓ちゃんに伝えてくださいよ。
楓ちゃん。
あのね…私は楓ちゃんが女の子に慣れるために助けてあげるだけの存在なのよ。
出来ることなら私も楓ちゃんと人生を歩みたかったんだけどね…そうもいかないみたい…
このままの生活を続けていたら私はいつか消えてしまうわ。
楓ちゃんは幸い先輩とも上手くやってるみたいだし何にも心配することはなさそうだしそろそろ私はお暇しようかと思ってたのよね。
本当はもっとギリギリに話そうと思ってたんだけどね…」
「もみじっ!
私は嫌だよ!最後の時があるならその日までもみじと一緒にいたいよ!」
「楓。そこまでにしておきな。
もみじもツライと思う。
それでももみじが消えない方法があるからこそ今こんなことを言ったんだと思うよ。」
「先輩は何でもわかっちゃうんですか?
まったく…凄い人ね。
私が消えてしまわない方法が一つあるわ。
それは私と楓ちゃんが一つになること。
楓ちゃんが私を統合しちゃえばいいんだよ。
そうすれば私が消えることもないし楓ちゃんの自我がなくなることもないわ。」
「統合って…
そんな簡単なことじゃないでしょ!
私達が一つになるってことは私でももみじでもなくなるってことでしょ?
そんなのやだよ!」
「じゃあ私が消えるのとどっちがいや?」
「それは…
もみじが消えちゃうことの方がいやだけど…
でも、一つになるってことはもみじも私も消えるってことじゃないの?」
「そうじゃないよ。
一つになるってことは私でも楓ちゃんでもあるってことだよ。
だから心配しないで?」
「すこし考えさせて…
そんな大事なこと今すぐになんて決められないよ…」
「わかったわ…
もう私には時間がないってことを覚えておいてね。」
そう言ってもみじは消えてしまった。
「楓ちゃん…
元気だしなよ…
ゆっくり二人で考えよう。
もみじについて、楓ちゃんの将来について。
いつもの喫茶店でもつれてってあげるからさ。」
「わかりました。
私あったかい紅茶が飲みたいです。」
それから私達はいっぱい話をしたわ。
結局私はもみじを統合することに決めたわ。
それが一番の策だとおもったから…
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「もみじー。
いるんでしょう?
出てきてよ!」
私は自分の意思で心の部屋に入ることができなかったからもみじを呼び出すしかなかったわ。
それがもみじの存在を消してしまうことに繋がるとも知らずにね。
「楓…ちゃん…
遅いよ…
もう私には…時間がないみたい…」
「大丈夫よ!
統合することに決めたから!
もう大丈夫よ。」
「もう遅いのよ…
統合はもう間に合わないの…」
「えっ、どういうこと…
嘘だっ…
離れたくないよ!
もみじが居なくなるなんてやだよ!」
「楓ちゃん…
落ち着いて聞いて。
まだ私を吸収するなら間に合うかもしれない…
そこに私はいないだろうけど…
だからさ、早く私を吸収して!」
「吸収って…
そんなのやだよ!」
「わがまま言わないで!
こうするしかないの!
どうせ消えるならあなたのなかで消えたいの!」
そう言ったもみじの目は涙でぐしゃぐしゃになりながらも今まで見たことない決意の色を放っていたわ。
「わかった。
私はどうしたらいいの?」
「簡単よ。
私を心の部屋の奥にある扉の奥に放り込むだけでいいの。
あなたならできるわ。」
「で、出来ないよ…
私心の部屋にすら自由に行き来できないのに…」
「それでもやるのよ!
時間がないの!」
それでも結局私は心の部屋の入り口を開くことはできなかったわ。
「最後の…手段しかないわ…
はあっ…はあっ…
私をその手で殺しなさい。
それしか手段はないわ。」
「そんなっ…殺すだなんて…」
「いいから!」
そう言ってもみじはわたしの手を取って自分の首を絞めはじめたの。
そうすると不思議なことに私の身体にもみじが溶け込むのを感じたわ。
「楓…ちゃん…早くっ…」
そうこうしているうちにもみじの身体はどんどん薄れて行っていた。
「うん。」
私はもうもみじの手の力がなくてももみじの首を絞めはじめていた。
もみじが苦しそうに悲鳴を上げているのはわかっていたわ。
それでも私はもみじの首を絞める手を緩めることはなかった。
身体もほぼほぼ聞けかけて顔だけになったもみじに言われたわ。
「ありがとう。楓ちゃん。
あなたが幸せになってくれることを心から願っているよ
私がここまで生きられたのはあなたのおかげだし私の望み最後を迎えさせてくれたことをとても感謝しているわ。
ありがとう。」
って…
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「そこから先は私も覚えていないわ。
でもね、この出来事があったからこそ私は看護師になろうと決心できたのよ。
私みたいに酷くて残酷な結末を迎える子を少しでも減らしたくて…
私…あの時の感覚は忘れられないもの…
だからね…
緋那ちゃんと茜ちゃんにも早く仲直りして欲しいのよ…
いつかどちらかが消えてしまうことを知っているからこそ今楽しい思い出をたくさん作って欲しいなと思っているのよ。
だから早く茜ちゃんと仲直りしてね。
お姉さんいつでも相談に乗ってあげるから。」
楓さんがいつものように腰に手を当ててえっへんとやっているが私たちは予想以上に重かった楓さんの過去に揃って絶句してしまっている。
「えっ、みんな黙っちゃってどうしたのさ!そんなに暗くなる話でもなかったでしょ!
ちなみにさっきはもみじをちょっと思い出して感傷にひたってただけだから。
緋那ちゃんはこの話聞いて参考にするんじゃなかったの?」
楓さんがオロオロしはじめた。
なんだかオロオロしている楓さんを見ていると自然と笑みがこぼれた。
「あははっ…
そんな空気じゃないってのわかってるんだけどっ…あははっ!
オロオロしてる楓さん可愛くってつい…」
みんながぽかーんとしている中あたしだけがコロコロと笑いこけてしまっている。
「楓さんの話聞いてわかったよ。
あたしは茜ちゃんともっと仲良しにならなきゃっ!
先のこと考えるのは今じゃないんだね!
しっかり茜ちゃんと向き合ってたくさん思い出を作りたいな。」
「そうね。その意気だよ!
きっとあなたたちなら最高の未来を見つけられるとおもうわ!」
あたしの感想に楓さんも最高の笑顔で返してくれた。
「私たちもそうできるように精一杯の助力をさせてもらうわ!
ねっ、ひーちゃん?」
「うん、もちろんだよぉ〜!
あ〜ちゃんとあかちゃんの幸せのためならなんでもするからね!」
あたしと楓さんのやりとりをみて落ち着きを取り戻したのか雪ちゃんとひーちゃんもそう言ってくれた。
「ううっ…嬉しい…ありがとうっ!
あたし達ってだいぶ幸せ者ね…
こんなに素敵な家族に恵まれてるなんて…」
あたしは感極まって涙をこぼしてしまった
結構涙もろいな…あたし…
「そう言ってくれると私達も嬉しいわ!
まあ、改めてだけど家族としてよろしくね!緋那ちゃん!」
こうやって改めて言われるとなんだかこそばゆい。
「うん!よろしくお願いします!」
「これでしっかりあたし達も家族だねっ!
よろしくねぇ〜!」
こうしてあたしは思い悩んでいたこともすっきり解決して家族との絆も強く結べて満足して病院最後の日を過ごせた。
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「えっ!
緋那ちゃん退院までで出てこれるのは今日が最後なの!?」
「じゃあ先に早めの退院パーティーしましょう!」
「「さんせー!」」
こうしてあたしは病院最後の1日を楽しく過ごしたのであった。




