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茜色で描く未来  作者: みやしろましろ
橙哉→茜 茜の過去と今
11/68

11話 初めてのお友達!? 前編


お母さんの夢を見てから二日が経った。

あれからわたしの周りでは特に何もなくなんとなくではあるがリハビリと女の子教育に励んでいる。


前線だかの影響で昨日から雨が降っている

昨日は結構な大雨だったらしく昨日は雪ねぇ達も病院に来れなかった。

今日も雨がだいぶ弱くなる午後から来るらしい。


学校は昨日から春休みに入ったらしく雪ねぇがメールで「学校休みなのにあーちゃんのとこ行けないなんてどんな苦行よっ!」なんて言ってきたのはとても面白かった。


「ふぁぁ…

今日も雨かぁ…

ってことは室内リハビリかぁ…

はぁ…」


わたしは窓の外で大きな音を立てて降りしきる雨を見て大きくため息をついた。

本当に室内でのリハビリは憂鬱だ…


昨日のリハビリはリハビリ室で段差の上り下りをしたりしたが、とてもきつかった…


身体のキツさもさることながら景色が変わらないのが本当にキツイ…


「あらあら、大きなため息ついちゃって…

そんなんだと幸せ逃げていくぞ〜」


楓さんがそう言って茶化してくる。


「そんなこと言っても…

憂鬱なものは憂鬱なんですっ…」


わたしはほっぺたを膨らませてムスッとした表情で愚痴った。


「仕方ないわねぇ…

そんな茜ちゃんに朗報よ!

今日のリハビリは病院内探索でーす!

いえーい! 」


楓さんのテンションが気持ち悪かった…


「へぇぇ…

でも、あれでしょ?

どうせこの病棟内とか別館の中だけとかなんでしょ?」


わたしは楓さんに疑いの目を向けた。


「いいえ?

なんと今日は入り口の売店でお買い物するのよっ!

あ、でもエレベーターは使用禁止よ!

リハビリにならないからねっ?」


楓さんは可愛らしくそう言い放つ。

この人は本当に女の子らしいというか…

なんというか…


わたしもこうゆう風になれるのかな…

こんなキャピキャピしてるわたしはなんだか気持ち悪い気がする…


「本当にっ?

でも、全部階段は辛いなぁ…

まあ、頑張るけど…」


ちょっとだけ考え込んで(全然違うことであるが)すぐに嬉しそうな声を上げた。


「まあ、昨日あれだけ頑張ったんだから大丈夫よ。

茜ちゃんの回復スピードはすごいから!

私の時より全然はやいんだからねっ!」


楓さんはそう励ましてくれた。


本当に昨日は大変だった…

午前中は生理についてパネルとか写真まで使って仕組みからナプキンやタンポンの使い方までご丁寧に説明してもらったのだけど、だいぶグロテスクだったので少し気持ちが悪くなってしまった…


午後は初めてリハビリ室という所でリハビリをした。

階段の上り下り運動なんて死ぬほどやらされた…

おかげで身体はグッタリだった。

昨日は8時くらいには寝てしまった気がする。


そのおかげか、さっきトイレに行った時にはふらふらせずに歩けた気がする。


「昨日みたいにキツイのは勘弁だよ?

生理の話で気分悪くなった後のリハビリなんて超辛かったんだから…」


わたしはちょっと子供っぽくそう言った。


「ごめんねぇ…

昨日のアレは大変だったよね…

わたしも反省したわ…」


楓さんがしゅんとしてなんだか可愛らしい。

これじゃあ男の人もイチコロだろう

きっと楓さんはモテモテなんだろうなぁ…


わたし今がっつり女の子目線だったよね…

いつの間にか自然に自分ことを女の子だと思えるようになってきてる…


なんだか順応するの早くない?…

まあ、わたしって言い始めてからだいぶ女の子感出てきてるからその影響なのだろう…


「どうしちゃったの?

考え込んじゃって…

なんかあったの?」


楓さんが心配そうに覗き込んできた。


「ううんっ…

なんでもないから…」


わたしは強く言い返した。


「まあ、それならいいけど…

昨日の反省を生かしまして今日はリハビリからやることにしたよ!

まあ、リハビリ自体も実地訓練みたいなものだけどね…」


楓さんは元気にそう言ったあとに要らない補足説明を入れてきた。


「ぐぬぬ、そういうことね…」


「そーゆーことよ!」


話を聞く限りこの病院にある結構なんでも揃う売店で下着やら生理用品やらを買わせようということだろう…


雪ねぇ達がこなくなった影響で下着の着替えが底をつきそうなのでそれもわかってのことだろう…


これではリハビリじゃなくて某子供がお使いをする番組ではないか…


「わかったよ…頑張る…

あんまり恥ずかしいものはやめてよ?」


わたしが目をうるうるさせながら上目遣いでそう言う。


「だいじょうぶっ!

流石に病院だからなんでも揃うって言っても限度があるから…」


楓さんは可愛らしくいった。

正直ごもっともだと思った。

そうだ、ここは病院なんだった…


「そっか…

ここ病院だったっけ。」


「もうっ、ここが病院じゃなかったらなんなのよ…」


楓さんに怒られてしまった。


そうだよね…わたしは病人なんだった…

早く退院するためにやれる努力は全力でしないと…


「そうだよねっ…

楓さんっ!

そうと決まったら早く行こう!

時間が余ったら他のリハビリしたいし…」


わたしはやけに前向きにそう答えた。


「そうね。

行きましょうか!

でも、無理はしちゃダメだからね。」


楓さんは勢いよく立ち上がって準備をし始めた。


「そっか…無理はだめだよね…」


楓さんに注意されてしまったわたしはシュンとしてしまった。


「大丈夫よ。

無理することと頑張ることは違うわ…

無理しない程度に頑張ればいいの。」


シュンとしてしまったわたしを楓さんが抱き締めながら優しく諭してくれた。


「うん。

ありがと。」


わたしは今できる最高の笑顔で返した。


「じゃあ、行こうか。」


楓さんが手を差し伸べてくれたのでそれを掴んで立ち上がり、一歩一歩確かに歩き始めた。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★



本館二階にある売店には本当にいろんなものがある。

食料品からCDやDVDなどまで販売しているから驚きである。


当たり前だが、生理用品や下着等も置いている。


「うわぁぁ!

すごい!むっちゃひろーい!」


わたしは目を輝かせながらはしゃぐ。


「ゆっくり見てお買い物する?

それとも必要なものだけ買ってすぐ済ませちゃう?」


そんなわたしを優しい目で見つめながら楓さんが聞いてきた。


「ううん、いっぱい見たいけどあんまり持ち合わせがなぁ…

下着の替えとか買わないとだし…」


わたしはお財布を見つめて落ち込んだ…


「大丈夫っ!

下着とかその辺は全部経費で落ちるから!」


楓さんはどんとこいと言った感じて胸を張っている。


「なんか税金の無駄遣いなようで申し訳ないなぁ…」


わたしは何だか罪悪感を感じてなるべく使わないようにしたいと思った。


「大丈夫よ、税金は茜ちゃんみたいに大変な思いをしている人のために使われるのが一番なの。

それに茜ちゃんが大きくなった時に税金として返していけばいいじゃない。

わたしもそうしてきたわ。」


楓さんの言葉は妙な説得力を持っていた。

きっとそれは楓さんがこれまで行ってきたことだからだろう。


「そっか…

じゃあ言葉に甘えちゃおうかな…」


わたしはそう言ってCDコーナーへ向かった。


「欲しかったCDがあるんだ。

ここにあるかなぁ…」


わたしはそう独り言を言いながらCDコーナーへ足を向けた。


ドンっ…


「いったたた…」


わたしは何か大きいものにぶつかってしまったらしく転んでしまった。


「だ、大丈夫ですか?」


狼狽えたような声が前から聞こえてきた。


ん?…

なんだかこの声聞き覚えのある気がする。


そんな気がして顔を上げてみる。

すると、そこにいたのは日向であった。


「ほぇぇぇっ!」


わたしは驚いて素っ頓狂な声を出してしまった。


「な、なにかありましたか?」


日向はというととても狼狽えているようであわあわしている。


「茜ちゃん?大丈夫?」


後ろからやってきた楓さんが私の素っ頓狂な声を聞いて駆け寄ってきた。


「あの、すみません。

ぶつかってしまったみたいで…」


日向がそう申し訳なさそうに言う。


「いえいえ、こちらの不注意ですから…

ほら、茜ちゃんもごめんなさいしなさい。」


楓さんが日向に頭を下げている。

放心状態だったわたしも楓さんの言葉で再起動を果たした。


「ご、ごめんなさい。

前をよく見れてなかったです。」


わたしもなんだかもじもじしながらではあるが日向に頭を下げた。


「僕の方は大丈夫ですよ。

お怪我ありませんか?」


そう言って尻餅をついたままの状態であったわたしに手を差し出してくれた。


女の子苦手なはずなのに…

いつの間に克服したのだろう。


「あ、ありがとうございます。」


そう言って恐る恐る日向の手を握った。


「あの、お詫びと言ってはなんですけどお茶でもしませんか?

きちんと謝罪させていただきたくて…

もちろんお代は私たちの方から出しますんで…」


楓さんがいきなり日向をお茶に誘いだした。


この人ほんと何考えてるんだろう。


「これはチャンスよ?

茜ちゃんのことを知らない男の子と女の子として喋るなんて女の子教育の一番の授業になるじゃない。」


楓さんはわたしにそう耳打ちしてきた。


楓さんの作戦は分からなくもないが残念ながらこの人は知り合いなのである。


そしてこんなパツキンのお兄ちゃんをその材料とするなんて楓さんのセンスが疑われる…


「え、え…

どうしようかな…」


いきなり逆ナンのようにお茶に誘われた日向はだいぶ狼狽えている。


そりゃそうだ。

いきなり逆ナンまがいなことをされれば誰だって狼狽えてしまうだろう。

しかもここは病院だ。

なおさら狼狽えるだろう…


「あの〜…

ご迷惑でした?」


楓さんが申し訳なさそうに日向に上目遣いでそう言った。


「いやっ、迷惑とかじゃなくって…

その…

連れがいるって言うか…なんと言うか…」


やけに歯切れの悪い日向。


連れ?日向って彼女とかいたっけ?

ってか彼女と病院に来るとか…

もしやっ!…

まさかな…


「お連れの方ってもしかして彼女さんとかだったりします?」


俺が勝手に変な妄想をして変顔を繰り返している間に楓さんはずけずけと失礼な質問をして見せた。


「ああ、いやっ…男ですよ?

友達の見舞いに友達と3人できたんです…」


日向は頭をかきながら恥ずかしそうに答える…


そっか、友達と一緒かぁ…

よかったぁ…彼女と一緒とかじゃなくて…


「ああ、そういうことですね…

良かったらお友達もどうですか?

もちろんお時間があればでいいんですけど…」


わたしが安堵の表情を浮かべていると、楓さんはしめたと言ったような表情で誘いにかかった。


「まあ、そちらがよろしいんでしたら…」


日向は楓さんの強引さにだいぶタジタジである。


「おーい、日向ぁ!

そんなとこで何やってんの?」


「日向、迷子になんなよ。」


そこに和樹と大和が現れた。


…やっぱりこのメンバーだったか。


「そちらの方々がお連れの方ですか?」


楓さんが日向に尋ねる。


「あ。そうです。

二人とも、この人がお茶しないかっていうんだけどいい?」


「え?なになに、逆ナンでもされた?

まあ、受付にはなんか検索してるとかで午後に来いって言われちゃったしね…

いいと思うよ?」


「俺も別に大丈夫。」


なんかよくわかんないけどお茶をする方に動いて行ってるみたい。


「じゃあOKって事で…」


日向がそう楓さんに答えた。


「そうですか!

じゃあ行きましょうか。」



☆★☆★☆★☆★☆★☆★



わたし達は病院の売店の隣にある先払いの喫茶店で机に二人と三人に分かれて座っていた。

もちろん二人の方にわたしと楓さんで座っている。


「うちの子が本当にすみませんでした。」


全員に飲み物が行き渡ってから(ちなみに男三人がコーヒーでわたしと楓さんは紅茶を頼んだ。)


「いやいや、こちらこそもうちょっと注意していれば妹さんを転ばせる事はなかったですし。」


日向が慌てながらそう返した。


何だか普段お調子者の日向が紳士なのがとても気持ち悪い…


「い、妹ですか…

一応看護師と患者って関係なんだけどね…」


わたしはなんて返したらいいかわかんなくってボソッと日向の言葉を訂正する事しかできなかった。


「あっ、そうなんですね…

それは失礼しました…」


それが聞こえてしまったのか可もなく不可もなくと言った雰囲気が一気に悪くなった。


「あ、お友達のお見舞いって言われてましたけどお友達入院なさってるんですか?」


楓さんがその高いコミュ力で話題を変えたおかげで険悪ムードだった空気がなんとか耐えられるものに変わった。


「そ、そうなんですよ!

僕らバンド組んでるんですけどそのメンバーがライブ中に倒れちゃって…」


和樹が空気を読んでちょっとテンション高めに話し出した影響で雰囲気はだいぶ良くなった。


「へー…そうなんですね…

お友達元気だと良いですね。


ちょっと、お手洗い行ってきますね…

茜ちゃん…行くわよ?」


和樹の言葉でわたしと彼らの関係に気付いたのか楓さんがわたしの手を引っ張ってトイレまでスタスタと歩いていく。


「あの態度はなに?

彼らに失礼でしょう?


と言いたいところだけどこれはそうも言えないわね…

彼らのお友達って茜ちゃんのことよね?」


トイレに入っていきなり結構な剣幕で怒ってきた楓さんだったけど途中で雰囲気をガラッと変えて同情ムード全開で問いかけてきた。


「うん。

組んでたバンドのメンバー…」


わたしはうつむきながらそう答えた。


「そっか…

そりゃあ誰でもああなるか…

でも、いきなり難易度上がるわねぇ…


今ここで正体バラしちゃう?

どうする?

茜ちゃんの自由だと思うけど…」


楓さんはアゴに手を当ててふむふむ言いながら問いかけてくる。


「わたしは今打ち明けるのは難しいかなって思う…

打ち明けるのはだいぶ勇気がいるっていうか…

まだその勇気がないっていうか…」


わたしはもじもじしながら答えた。


「そうだよね…

まだ頭の整理すらついてないだろうしね…


打ち明けないとしたら猫をかぶりながら話してみるしかないわね…

こっちから誘っちゃったわけだしこれで終了って訳にはいかないしね…」


楓さんは申し訳なさそうな表情でそう言ってきた。


「だよね…

なんとか頑張ってみる…

そのうち猫をかぶるのも必要になってくるもんね…」


今回の事の発端はわたしなのに楓さんにそんな顔させている自分が恥ずかしく、そしてそんな楓さんにすごく申し訳ない気持ちになって猫をかぶりながら三人と会話を続ける決心をした。


「そっか…

茜ちゃんは強いね。


それならわたしも惜しみなく援護してあげるから頑張って猫をかぶる事を習得しよう!

知り合いなら遠慮はいらないだろうしね…」


時折涙を浮かべながら楓さんはそう言った。


「うん。

これは女の子の勉強だからねしっかりやらないと大変な思いをするのはわたしだからね!」


わたしは両手で小さくガッツポーズを作ってそう答えた。


「そうね…

じゃあ行きましょうか!」


そう言って楓さんはまたわたしの手を取って歩き出した。



☆★☆★☆★☆★☆★



「日向っ、どこであんなナイスバディのお姉さんと超絶美少女に出会ったんだよ!」


「えっ、別にさっきだよ…

つーか俺が女の子苦手なの知ってるだろ?

普通だったらこんな事にはなってないっつーの…」


「日向もいい加減女嫌い直したほうがいい…

俺らが手伝うからがんばれよ…」


茜と楓がトイレに行ってからテーブルでは茜が橙哉だとは全く気付いていない男共をのゲスい会話が始まっていた。


「結果日向はどっちが好みなのさ?

ナイスバディのお姉さん?

それとも年下超絶美少女?


俺はやっぱりお姉さんの方がいいかなぁ」


茜の事を年下と称した和樹はちょっと鼻の下を伸ばしながらそう話した。


「俺もお姉さんの方がいいなぁ…

気立てもいいし…キレイだし…

茜ちゃん…だっけ?の方はメチャクチャ可愛いけどまだお子ちゃまって感じだよな。


さっきだって緊張しちゃってるのかわかんないけど全然会話になってなかったし…」


大和もいつものポーカーフェイスでいつもより地味に饒舌に楓について語っている。


「え、まじか…

俺は茜ちゃんの方がいいなと思ったけど…


お姉さんの方はキレイだけどなんか女の人感が強すぎてちょっと…

でも茜ちゃんの方はあんまりそれを感じなかったっていうか…」


日向は少し顔を赤くしながら答えた。


「そうかぁ…

まあ、あの子この世のものとは思えない可愛さだもんね…

まるで雪菜さんとか緋雪ちゃんみたいな…」


和樹が少し核心をつくようなことを言ったがそれでも茜が橙哉だと気づくものはいなかった。


「お待たせしました〜。」


ちょうどその話が出た時に楓と茜が戻ってきた。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「「「大丈夫です、全然待ってないですから!」」」


三人がハモって否定してる絵は何だか微笑ましかった。


「あら、そう?

待たせちゃったのは確かだと思うんだけど…」


そんな三人の勢いに楓さんはたじたじであった。


「大丈夫です。

おしゃべりで盛り上がってたらすぐだったので。」


大和がクールに答える。

紳士な大和のことだ、きっとそう言ってわたし達が恥をかかないようにそう言ったのだろう。


「そうですよ!

俺たちは女性を待つ事でウダウダ言ったりしませんから!」


和樹がいつもの高めのテンションでそう言った。


「紳士教育が徹底されてるのね。

私こんなに淑女扱いされたの初めてだわ。

何だかにやけてきちゃう…」


楓さんが少し頬を赤らめながら嬉しそうにそう言う。


「こんな紳士な三人なら茜ちゃんを任せても大丈夫かしら…


この子最近まで大きな病気で病室から出たりできないくらいだったの…

だからお友達も全然いなくって…

よければこの子のお友達になってあげれくれないかしら…」


楓さんが少し目をうるうるさせながら可哀想な子について語るようにそう言った。


この人表情一つ変えずにムッチャ自然な演技始めたよ…

女の人って怖っ…


「こんな僕らでよければ…

ぜひお友達にならせてください。」


日向が涙目でわたしにそう言ってきた。

こいつこんなキャラだったっけ…


「俺たちも、ぜひお友達にならせてください。」


和樹がそう言って大和が頷いている。


「はい。

ありがとうございます。

よろしくお願いします!」


なんだか恥ずかしいけどこの身体でも三人と仲良くできるって思ったら嬉しくって自然と笑みが溢れる。


『なにこれかわいすぎる…』


『ヤバい。むっちゃかわいい。』


『可愛い』


三人が顔を合わせて茜の可愛さについてひそひそ話し始めた…


「ありがとうね…


実は私ちょっと仕事して来なきゃいけなくって…

ちょっとこの子頼んでもいいかしら…

ついでに君達のお友達の病室とか聞いてきてあげるから。」


涙拭うように目元をハンカチで拭きながら楓さんは次のステップに進んだ。


ええっ…楓さん仕事とか嘘でしょ…

この人わたしに武者修行でもさせるつもりだろうか…


「は、はいっ。

大丈夫です。

あっ、友だちの名前は宮代橙哉です。

よろしくお願いします。」


日向がそう言って楓さんからボールペンを借りて紙ナプキンに『宮代橙哉』と書いて楓さんに渡した。


「わかったわ。

調べておくわね。

じゃあ茜ちゃんをよろしくお願いします。


小一時間で帰ってくるから移動するならメールしてちょうだいね。」

楓さんは紙を受け取ってそう言ったあとにわたしに耳打ちをして喫茶店から出て行ってしまった。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★



ちょっと強引すぎたかしら…


まあちょっと強引なくらいじゃないと茜ちゃん喋らなかっただろうし…


彼らも私がいたんじゃ喋りずらいだろう。


「さてっ、ナースステーション戻ってご飯でも食べますかっ…」

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