憑依先が魔法貴族の奴隷でした。
続かないであろうよくわからない短編。
瓦礫の金糸雀の息抜きに書いて見ましたが
あれ?向こうよりグロい気がする...
「左は右の母親、右は左の息子。
どっちを選ぶ?」
金髪碧眼、眉目秀麗、中性的な美形、ドSな悪魔、優秀かつ変態。
そしてどうしようもないくらい何かに飢えている。
それが私から見たこいつのイメージだ。
『右』
歪に笑っているようで笑っていないそいつは右側にいた男の鎖を切って箱に放り込んだ。
「ふっ、やっぱり君は最高だ。
他人の命はいらない。知らない、関係ない。
それで割り切っているんだからさあ」
この世界に来て(・・)早、半年。
私は、死んだであろう知らない少女の身体に憑依した地球の日本という国の学生だ。
もう、思い出すのも嫌になる。
あれは、半年前。
私が目を覚ましたらこいつがいたのだ。
叫び声をあげたいのにあげられなくて固まった身体に違和感を感じた。
自分より細く白い体。
背は低く白く長い髪がキラキラしている。
私は、良くも悪くもない体型でこんなに痩せていないし背も低くはない。
なにより、髪は黒だ。
すぐにおかしいと思ったのに、この体の記憶が細部まで脳に叩き込まれた。
ぐらりと意識が飛んでしまいそのままぶっ倒れた。
気が付いたら広い檻の中に居てまた奴がいた。
「君を買い取ったんだ。
さぁ、遊ぼうか。
あぁ、人飼いの中でも僕は優しい方だから
安心していいよ?No.111」
綺麗な顔で美しく笑って奴は言った。
ここは、腐った魔法貴族界。
奴隷は、材料としか考えていない狂った奴等の巣窟。
私は(この体の持ち主)スクラヴォス(奴隷)として小さい頃に売られたが見た目が悪魔的だからと値が付かなかった。
綺麗な銀髪(白髪に見えたけど銀らしい)に真紅の瞳と群青に紫たした感じの瞳肌は陶磁器のように白く透明で触ることすら戸惑う。
つまりは、ヤバイくらいあれだから値が膨れ上がった。
自分が言うのもあれだけど、マジ天使な見た目。
記憶の中の自分だから今はどれくらい変わったか分からないけどマジ天使。
記憶の発掘によると
本当の母は知らないが義母は、クズだった。
貴族の生まれの私を嫉妬で売り飛ばしたのだから相当だろう。
まぁ、落ち目だったらしいけど。
売った金で建て直し...はしないな。
あの女は男を買い漁るに決まってる。
兄は、美しく格好良い人で聡明で頭も良い凄い人だったけれど母に犯されそうになって全寮制の魔法貴族学校に入ってしまったから私が売られたことは知らないだろう。
あぁ、この世界は人飼いって言って奴隷を飼うやつらがいる。
それがさっきの奴ね。
今は、なんかどっか行った。
で、人飼いってのは、なんていうか奴隷を使って遊ぶゲスって感じ?
魔物に食わせるとか拷問するとか実験に使うとか性奴隷にするとか自分好みの女に育てて殺すだとかそんな感じ。
魔法貴族の奴隷は悲惨って言われてる。
金持ちで思考がぶっ飛んだ奴等の遊びだよ?
考えられる痛いことやら酷いことをやられ尽くされて殺されるんだから...いや、死んだ方がましなのか?
まぁ、そんな感じ。
そして、今の奴はクズ中のクズらしいよ。
私を大枚はたいて買ったのがアイツで奴隷屋の奴が気の毒そうに私を見てたから。
そんで、この体の持ち主が自殺して私が入ってきたというわけだ。
最悪だね。
私、確実にヤバイじゃん。
まぁ、様子見てヤバそうなら死のう。
私を殺すのは多分ずっとあとのはずだから。
あんだけの金払ってすぐ殺すのは流石に無いはずだし。
とりあえず、自殺は視野にいれておく。
無理だと思ったら舌噛むか思いっきりこの鎖で首締めよう。
それがいい。
現代日本人でも覚悟はあるぜよ。
......きっと出来るさ。
「やぁNo.111。
君の名前を考えてあげたよ?
モナクスィアだ。いい名だろう?」
あれからしばらくして奴は来た。
二人の人間...奴隷だろうか...を連れて。
意味は分からないがまぁいい。
とりあえず頷いておいた。
「じゃぁ、スィ。選べ。どちらがいいか。」
唐突に行われたのは奴隷の選択だった。
私は、初めは世話役か何かだと思った。
だから、女性を指差した。
女性の方がなにかとやりやすいから。
「そっかぁ、スィは女が嫌いなのか。」
じゃらじゃらと音をたてて鎖が巻かれる。
首に繋がった長い鎖が男によって巻かれていき私は、引っ張られた。
仕方無しに歩いて男の近くまで行くと微笑まれた。
悪魔のように美しい顔だと思った。
見惚れてしまうほどの美形...だが、その眼は恐ろしいほど笑っていない。
冷たく息苦しい場所にいるような...そんな空気を感じる眼だった。
「なら、殺してしまおう」
悲鳴と共に赤が目の前に散った。
頬を伝うアカ。
男の顔にも滑るアカ。
目の前に広がるアカのシミ。
臓器にまで変わったナニカ。
茶色のまるいなにかと目があった。
悲鳴はあげられない。
体も震えない。
無機物を見るような目の前の男に見られているから。
「素晴らしい...合格だ」
男は、蕩けるような笑みを浮かべて私の頬を拭った。
「スィ。君は最高だ。ご褒美をあげよう」
口に押し付けられたのはブドウ...だろうか。
「ふふ、最高級の果物にも無関心か。
あはっ、最高だよ。素晴らしいよ、スィ」
愛しい愛しいというように私をみる男の側には、アカイシミと臓器が散らばっている。
私の着ていた白のワンピースはアカに変わり身体を滑る液体が気持ち悪い。
...これは、何の悪夢だろうか。
私は、帰れるのだろうか。
いつ、爆発させたのかもわからなかった。
音もしなかった。
女性の隣にたっていた男の顔もピクリとも動かないし。
意味がわからない。
これは、自殺すら出来ないかもしれない。
なにされるか分かったもんじゃない。
「あぁ、俺の名前はディミオス・マギア・タブ・グリフォス。気軽にご主人と呼んでくれ」
こんな場所で生きてなんかいけない。
でも、道はない。
詰んだ...私の憑依体は不幸すぎなのが悪い。
『...ご主人』
私の世界は、ここから始まった。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
お疲れ様でした。




