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雪華の夢

作者: 星村里桜菜

ピュッ トン


「ふぅ‥」


「へぇ‥随分上手くなったな。」


「刻夜!」


お母さん、元気ですか?

栞は元気でやってます。

もう冬の季節になったね。

朝の稽古が辛くなるぐらい寒くなりました。


ピュッ トン


「よし。今日はこの辺にしようかな。」


「そうだな‥この後どーすんだよ。」


「ん‥星蘭のとこにいく!」


「そうか。俺は少し仕事してくっから、俺が戻るまで星蘭のとこにいろよ。」


「わかった。」


刻夜は、"それじゃ、行くぞ"といって歩き出す。私も遅れをとらず刻夜についていく。

道中、春日山城の麓には多少の雪が積もっていた。


「雪降ったんだ。」


「あぁ、昨日あたりじゃないか?振りだしたの。」


「あれ?でも練習場には雪なかったよ?」


「そりゃ、雪片付けなきゃ練習出来ねーだろ。」


「あ、そっか。ねぇ刻夜、雪片付けたのは練習場だけ?」


「場内は片付けたぜ?」


「麓は?」


「歩くとこだけな。後は個々に家の周りとかじゃねーか?」


そう言われ、下を向く。

足元には雪がなかった。辺りを見ると雪が積もっている所は殆どなかった。


「なんだ‥積もっても少しだけなんだ。」


「まぁな。ほら、つくぞ?」


麓を少し抜けると小さな小屋がある。

星蘭の家だ。

フッと見ると、誰かが庭で洗濯を干している。


「星蘭‥?あれ?」


「なんだ、紫音じゃねーか。」


「あれ刻夜?それに姫様も。」


「こんにちは、紫音君。星蘭は?」


「いるよ。」


庭から家の中を覗くと、勝手場から顔を出してきた。


『あら?栞ちゃん、いらっしゃいな。』


そう言うと、刻夜が呆れ顔で星蘭を見ていた。


「なんで紫音がお前の洗濯を干しているんだ?」


『手伝ってもらっているのよ。お部屋の掃除をしたかったし。それを言ったら快く引き受けてくれたの。』


「掃除は気持ちいいよ?」


紫音が笑顔で言う。

そうだ!と言って栞の元へ走っていく。


「姫様も一緒にやろうよ!」


「うん、いいよ!」


『あら、本当?ありがとう。』


そんな彼女らのやり取りを見ていた刻夜はため息をつく。

そして、星蘭に声をかける。


「星蘭。ちょっくら、出てくからこいつを頼む。」


『また何かの任務?』


「まぁそんな事。そんなに難しくねーから午の刻には戻れるとは思うが、夕刻過ぎても戻らなければ紫音。お前がこいつを送っていけ。」


「うん、わかった。刻夜」


用件を伝えると"じゃーな!"と言って帰っていく。


『さて、紫音君は洗濯の続きをお願いね。栞ちゃんは勝手場の掃除をお願いできるかしら?』


「うん、任せて!」


『ふふ‥頼もしいわ。分からないことがあったら何でも聞いてちょうだいな。部屋で掃除しているから。』


そう言うと、奥の部屋に入っていく。

栞は意気込みをして、掃除を始めた。

途中隅から虫が出てきたり、包丁を足元に落としたり‥いろいろ大騒ぎをおこしたが、掃除が終わったのは午の刻ちょうどだった。


星蘭はお礼として栞と紫音にご馳走を作ってくれた。

美味しそうな山菜がずらりと並んでいて、二人して勢いよく食べた。

食後にお茶を飲みながら他愛のない話で盛り上がっているとき。

外を見ると、ハラハラと雪が再び振りだした。


「あっ‥雪。」


『これは‥牡丹雪。積もりそうね。』


「積もったらいっぱい遊べるね!雪合戦とかさ!」


「そうだね‥あと鎌倉なんかも出来そうだよ!」


はしゃぐ二人を見てふふっと笑みをこぼす星蘭。


『それじゃ、ちょっと雪遊びしてみない?』


「こんな少ししかないのに雪遊び出来るの?星蘭。」


紫音が首を傾げて、星蘭を見る。

栞も不思議そうに星蘭を見る。

星蘭は、そんな二人に微笑むと庭へ出る。

両手いっぱいの雪をすくい形を整えていく。

そして、庭にある木の実と葉っぱをくっつけて"ほら。"と二人に見せた。


「わぁ‥雪うさぎだ!」


「雪うさぎって言うの?可愛いい!」


『どう?これなら遊べるでしょ?それに、雪だるまも作れるわね。』


「ホント!?姫様。一緒に雪だるま作ろう!」


「うん!よーし、大きい雪だるま作ろうね!」


そう言うと、二人は庭に積もった雪をかき集め出した。星蘭は、雪うさぎを隣に置く。縁側に座り二人を見る。


「はぁ‥楽しかった。」


「うん!!僕も楽しかったよ!」


『フフ‥良かったわ。さぁ、上がって?体が冷えてしまっているから暖まりましょう?』


そういって、温かい汁物を二人に差し出した。


「ありがとう、星蘭!」


『どういたしまして。』


紫音に目を向けると、コクッコクッと船をこいていた。


『雪遊びで疲れたのね。』


そう言うと掛けるものを持ってきて紫音にかけた。かけたあと、寝かせるような体制に変えて紫音を寝かせた。それを見ていた栞は一緒に紫音のとなりにねっころがる。


「星蘭って、なんだかお母さんみたい。」


『え?』


「昔、お母さんと一緒に雪遊びした記憶があるの。お母さんね手先が器用で星蘭みたく雪うさぎ作ったくれたりしたんだ。」


『そう。』


「懐かしいなぁ‥」


ーーーーー また‥いつかお母さんと

      雪遊びしたいなぁ‥ ーーーー


「お母さん‥」


『フフ‥夢の中だけでもお母さんと雪遊びできるといきわね。お休み、栞ちゃん。』


星蘭は栞にも掛け物を掛けてあげた。

二人仲良く寝ている姿に癒されながらお茶を飲んでいく。



「よう。迎えにきた‥ってあれ?」


「寝てるな。」


庭からは顔を出した刻夜と柊助。


『あら、おかえりなさいな。残念だけど今は寝ちゃったのよ。』


そう言うと星蘭は二人に温かい汁物を差し出した。


「寝たって‥そんなに疲れるほど掃除したのか?」


『違うわ。掃除したあと、雪遊びをしてね。』


ほら、っと指をした所には

二人で作った雪だるまがあってその頭の上には雪うさぎがちょこんと乗っていた。

それを聴いた刻夜は"ガキかよ‥"と呆れ顔。

柊助は黙って雪だるまを見て"まるで親子みたいだな。"と呟く。


『せっかく柊助も来てくれたんだし、中で暖まっていって?二人共しばらくは起きなさそうだし。』


さぁ、上がって?っと二人を促すと刻夜と柊助はすんなり上がった。

栞の近くに座った柊助は時折、聞こえる寝言に‥


「‥雪華の夢‥だな」


と言って縁側から見える雪だるまを眺めた。





ーーーーーー END ーーーーーー




第二段‥て感じですかね。

おんなじキャラで短編を書くのが凄く楽しい私(´Д`)


長編だと長すぎて、短編だと短すぎて。

なので短編で繋げて見ました。


まだまだ繋げるよ?www


それでは、この辺で。

星村里桜菜でした~♪

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