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43、力の片鱗

うぉぉ、ストックが追いつかないぃぃ……ダラダラと退屈な感じになってしまって申し訳ないです

あと数話で新章になりますので、それまでどうかお付き合いいただければと


そして気づいたら総合評価190pt、PV27,000突破、8,000人以上の方からユニークをいただいてました!

まことにありがとうございます!

今後とも、よろしくお願いを申し上げます!!

 護の声が響いた瞬間、五色狐の額に描かれた五芒星から淡い光が炎のように上がる。


――いったい、何が始まるというんだ?


 術の準備も忘れて、光がその光景を見守っていた。

 炎は五色狐たちの方へと伸びていき、互いをつなげあい、数秒としないうちに異形を囲むように五芒星を作り上げていく。

 どうやら、五色狐を五行に見立て、結界を作り上げたらしい。

 その結界に込められている力の強さは、異形の様子を見れば理解できた。

 異形はまるで何かに押さえつけられているかのように、四肢に力を込め起き上がっているようだが。


「ナウマクサンマンダ、ボダナン……」

「この息吹は神の息吹……」


 結界が作りあげられた瞬間、護と月美の方から呪文が響き、強い霊力が流れてきた。

 どうやら、結界で拘束されている間に、強烈な一撃を加えるつもりのようだ。

 それを見た光は、二人に遅れまいと自分も招雷の呪文を唱え始めた。


「伏して願わくば、来たれ……」


 三人が呪文を唱えている間、五色狐たちは異形を押さえる結界の維持に努めている。

 だが、異形の持つ元々の膂力の強さが影響しているのか、結界は徐々にひび割れ始めていた。


《くっ!》

《こらえろよ!》

《わかっている!》

《だが、いつまでももたんぞ!!》

《主、姫!急げよ!!》


 だが、五色狐たちは結界が崩壊しないよう、どうにか耐えていた。狐たちが霊力を込めると結界に走ったひびは修復されていく。

 だが、異形の抵抗も激しく、修復された端から再びひびが入っていった。

 このままではじり貧になることは、結界を張っている狐たちでなくとも理解できるだろう。

 結界が破壊されないように耐えながら、五色狐たちは護たちの攻撃を待っていた。

 だが、彼らの望むその瞬間は案外、すぐにやってくる。


「インドラヤ、ソワカ!!」

「あらゆる罪穢れを祓う、清めの風!!」

「雷神召喚、急々如律令!!」


 護と光の雷神召喚で呼び出された雷と、月美の風神召喚で呼び出された風が同時に異形に襲いかかった。

 雷は神鳴りとも呼ばれ、その存在そのものが神でもある。

 そんな存在を呼び出したのだから、瞬殺とまではいかなくとも、重傷を負わせることはできたはずだ。


「はぁっ……はぁっ……」

「さすがに……これはきつい……」

「……ふぅ……」


 雷神召喚の術も風神召喚の術も、霊力をかなり消耗する術だ。

 今回の場合は霊力だけでなく体力も消耗したらしく、三人とも額に玉の汗を浮かばせ、肩で息をしていた。


――これで倒れてくれなかったら、正直困るぞ

――たっぷり霊力を込めたんだ。倒れてくれていてくれ

――これでだめだったら、正直、もう打つ手ないよ……


 三人がそう思っていたその矢先、その期待を裏切るように前方から低いうなり声が聞えてきた。


「……おいおい、まじかよ」

「嘘でしょ……」

「まったく……どんだけタフなのよ」


 うなり声がする方へ視線を向けると、案の定、異形がこちらを睨みつけていた。

 護と光が呼び出した雷に打たれたためだろうか。

 体毛はちりぢりになり、ところどころから煙が上がっていて、かすかではあるが肉が焼けたような匂いが微かに漂ってきている。

 ダメージはかなりのものになっているはずだが、それでもなお、異形はこうして立ちふさがっていた。


「ちっ!いい加減、しつこい!」


 そのしぶとさに、護は思わず舌打ちをする。

 しかし、その瞳に映る、自分たちに対する憎悪を感じ取ってしまったからこそ、それ以上、悪態をつくことはなかった。


――ならば、この一撃で終わらせよう!


 護は心中でそうつぶやき、五色狐たちに視線を向ける。

 その視線の意味に気づいた五色狐たちは、一斉に護の元へと駆け寄っていき、護の周囲に散らばった。

 五色狐たちが配置に着くと、護は異形に視線を向ける。


「お前のその生命力と伝承に違わぬ強さに敬意を表し、俺も俺自身の全力をぶつけよう!」


 宣言じみた言葉を発したその瞬間、護と狐の体から今まで感じたことがない強い霊力がほとばしったのを、光は感じ取った。

 その一方で、月美はその宣言にどこか不安そうな表情になる。

 月美の脳裏には、彼女の霊力と葛葉姫の配下が分け与えた勾玉の霊力で封印されている、護の血に流れる異形の力を解放した姿が浮かんでいる。


――護、もしかしてあの焔を使うの?そんなことをして、大丈夫なの?


 心中で護にそう問いかける月美の不安は、残念ながら的中した。


「我が身に宿りし焔よ、今ここに顕現したまえ!!」


 護が叫んだ瞬間、護の体から激しい霊力の奔流が巻き起こる。

 変化はそれだけでない。霊力を研ぎすまして護の姿を見ると、髪は銀色に染まり、振り返ったときに視えた瞳の色は黒から金色に変わっていた。


――な、なんだこれは……これではまるで


 まるで、安倍晴明の母である葛の葉の、神狐の血を受け継いでいることを、稀代の大陰陽師の血に宿る力の片鱗を物語っているかのようなその髪と瞳の輝き。

 その輝きに、光は圧倒される。

 むろん、護には何かがあるとは光も思っていたが。


――まさかこれほどの、もはや霊力と呼んでいいのかすらわからない、強烈で清らかな力を封じていたとは?!


 実際にその身に浴びて、隠していたものの大きさに驚愕し、身がすくんでしまう。

 だが、何より驚愕すべきは、その霊力を解放してなお、護は微笑みを浮かべているその光景だった。


――気を制御するだけの余裕があるというのか?!


 そう考えた矢先、その微笑みが誰かに向けられていることに気づく。


――誰だ?一体、誰に向けて微笑んでいるというんだ?


 この状況で微笑んでいることにさすがに疑問を覚え、護の視線の先を追いかけると、そこには不安そうな顔をしている月美の姿があった。

 なぜ彼女がそんな表情を浮かべているのか。今までの護と月美のやりとりを見ていれば、おのずと理解できる。


――まさか、あいつが抱えていたあの気は、宿している本人の何かを削り取っているとでもいうのか?そんなものを解放してなお、微笑んでいるというのか?!


 その行動に驚愕していたが、事実として護は月美に向かって笑みを浮かべている。

 まるで月美に、安心しろとでも言っているかのように。

 その微笑みを見た月美は、完全に不安を拭いきれていないようではあるが、多少は和らいだようで、静かにうなずく。

 それを見た護は、満足そうな笑みを浮かべ、再び異形の方へ視線を戻す。

 いままで放置されてきた異形だったが、さすがに、護の突然の変化とその身から流れてくる霊力の激しさに慎重になったらしく、襲ってくることはなかった。

 もっとも、たとえあの数秒の間に飛び掛かっていたとしても、周囲を固めている狐たちに反撃されてしまう。

 それを思えば、あの狐たちがいなければ、という思いがないわけでもなかった。


「……ぐぅぅぅぅぅぅっ……」


 その悔しさからか、低くうなり声をあげる異形だったが、その瞳には闘志と怯えが映っていた。

 いままで、体全身で感じている清冽な霊力の、その片鱗すら見せなかった相手に恐怖を抱くのは、生物として当然の本能だ。

 だが、目の前にいるそいつを喰らい、自身の力にすることができれば。

 恐怖を抱きながらも、異形はその方法を模索し始めていたが、異形の思考が護を喰らうために取る手段に到達することはなかった。

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