<04>
初クエストを完了し、ふと疑問に思った。
「技……スキルはどうするんだ……?」
さっきの燃える斬撃。どう見てもスキルだ。
悩んだ末に左手を振り、メニュー欄を操作した。
案外簡単に探してる物が見つかった。
さっきの装備やアイテムを操作してるのになぜ気づかなかったのか。普通に【スキル】の名前がそこにあった。
開いてみると5つある。
【通常攻撃】
【アンダーテンドハート】
【ソニックスラッシュ】
【ブレイズスラスト】
【ツーハンドスラッシュ】
上2つは初めから取得してるようだ。しかし下3つは『習得可能』の文字が点滅してるだけだった。後から変更不可とかだったら嫌なので慎重になる。
ん?メニューの上の方に『スキルポイント11』となっている。
「……………?」
まったく意味が分からない。
とりあえず今装備してるのが片手武器なので片手スキルを習得することにした。
『ブレイズスラストLv1 を 習得しました』
視界の上からポップが流れてきた。
ん?さっきまで白黒だったブレイズスラストのアイコンが色づきLV1の表記が追加され、『習得可能』の文字があったところには『LVアップ』になっていた。
とりあえず上げる。
『ブレイズスラストLv2 を 習得しました』
まだ上げれるので上げる。
『ブレイズスラストLv3 を 習得しました』
『ダッシュインパクト が 習得可能になりました』
『ガーディアンフォース が 習得可能になりました』
なんか一気にポップした。名前に惹かれてガーディアンフォースのレベルをあげる。
『ガーディアンフォースLv3 を 習得しました』
『スタンバッシュ が 習得可能になりました』
どうやらスキルのレベルが3になる度に新しいスキルを入手できるようだ。
残りのスキルポイントは3。
なんか面白い。まだ俺自身レベル6だというのに、こんなにアホみたいにスキルを振れていいのだろうか?あとあと後悔するんじゃ………。なんかネガティブ思考が過ぎる。
とりあえず取れるだけ取ろう。
『ダッシュインパクトLv2 を 習得しました』
スキルポイントが残り3だから一気に3まで上げれるって訳ではないようだ。次にスキル習得するときはそのポイントの動きをちゃんと見よう。
そして新たな問題が発覚する。
「どうやってスキル使うんだ……?」
「ブレイズスラスト!!」
スキル名を言いながら斬りつける。駄目だ発動しない。
さっきのカラフル剣士達は物凄い速さで下段から上段へ斬りつけていた。もしかしたらモーションが大事なのかもしれない。
すぐさま下段斬りを素振りのように繰り返す。要所要所で「ブレイズスラスト!!」も発してみたが火も出ないし、赤いエフェクトすら出なかった。
「ああ~~~!!わかんねっ!!」
嫌気が差してその場に寝転がった。
さっさと遠藤に電話して色々と教えてもらった方が早いんじゃないのか?とか色々考えていた。実際俺自身このゲームを楽しんでる節がある。といってもまだチュートリアルの最初のクエストをクリアしただけで、まだこのゲームの真骨頂。『プレイヤー100対100の戦争』をプレイしていない。
さっきのNPCとの模擬戦みたいなもので、生きてる人間同士の戦いを経験していない。
それを遠藤なしで経験しないことにはこのゲームをあいつとやるなんてできる気がしなかった。
それにしてもこの道、人っ子一人来やしない。誰か来ようものなら捕まえてスキルとか色々教えて欲しかった。
だが試行錯誤の楽しさを知っている人間としては、ここで誰か来て欲しくないという矛盾を抱いてしまう。
だからこれは天運だったのかもしれない。
なにやら視界中央に左から右へと流れる文字があった。
『わからないことがあれば、メニューにあります。【HELP】をお読みください』
さすがに天運は言い過ぎかもしれない。単純に放置さているであろうプレイヤーに、告知程度のテロップが流れただけだった。ただ俺には「天は我に味方している!!」と思わずにいられなかった。
「あった!!スキルの使い方」
テロップの文字を理解したときには体を起き上がらせ、すぐさま左手でメニューを開き、アイテム、装備、スキルのタグの一番下にあった【HELP】を押した。
しかし………何度目なのだろうかこのパターン。いい加減自分の愚かさに呆れて物も言えなかった。言えないかわりに笑みがこぼれた。
答えは案外呆気なかった。
視界右側に穴が9つ開いてあるバーが存在している。愚かな数分前の自分はこれを『また装飾か何か』と勘違いしていた。
これはスキルスロットでこれにセットしたスキルだけがモーションを検出してスキル発動になるようだ。だからか、そのスキルスロットの一番上2つに『アンダーテンドハート』と『通常攻撃』が入ってあるのかと。通常攻撃がスキルスロットに入っていないとできない訳であって、他に習得したスキルも入れないとできない訳だ。
期待に胸が膨れる自分がいる。
「ブレイズスラスト!!」
下段に構えた途端。それは自分の体とは思えない速度で上段へ翔け、赤い閃きがそれを覆う。それの後を追うように炎が空間を切り裂き、真っ暗だった樹海に一迅の光を灯した。
俺がこのゲームの開発だったらブレイズスラストにルビ振って紅・閃光とか命名してそう。むしろする。
感動だった。
変に時間をかけてやっと出せたとかではなく、まるでフィクションの住人のように、自分の手から夢の産物を出してしまうことに。
リアルではなくこれはバーチャル。周りの草木やさっきの兵士のNPCが存在しているが、俺はここで生きている。それがバーチャルではなく、リアルにしか感じられずにいた。
その行為を数回繰り返してたころだ。
「あれ………?」
ブレイズスラストが出ない。
不発か何かか?
もう一度振ってみると出た。しかしその次は出なかった。
モーションは完璧のはずだ。ついさっきまで繰り返してたときに不発するなんてなかった。むしろこのモーション検出は大甘に設定されている。どんな体勢だとしても下段から上段へ斬りつける行為を検出する。
だからこれは第2の条件があるはずだ。
大よそ理解している。
さっきの【HELP】の解説にあった通りだ。
『スキルはPWを消費して発動する』。ブレイズスラストの消費PWは12。連続で8回が限界らしい。
PWは一定時間経過すると自動的に回復するようで、現にPWが3秒間隔で16回復している。
『スキル発動中はPW回復は起こらない』。連続で8回しかできないのはこの性だろう。逆にPW回復を挟んで攻撃(2回攻撃、PW回復してから2回攻撃)することで連続21回攻撃できることに気がついた。この21連続に気づいた俺は最強なんじゃないのか。とずっと思っていたし、必殺技にしようと心に決めていた。
これは後日談だが、遠藤に教えたら結構常識として知れ渡っていて、逆に赤っ恥をかいてしまった。
スキルも覚えたことなので、いい加減先に行くことにしよう。
<<以下の単語が用語集に追加されました>>
【通常攻撃】…… 共通スキル。略称は通常。威力が低く、牽制とスキルへの連携として使うケースが多く、9つあるスキルスロットに絶対入れる必須スキル。
【アンダーテンドハート】…… 戦士、共通スキル。略称はアンダー。スキル使用で一定時間攻撃を受けても怯まなくなる。他職と戦士の差はこのスキルの差とも言えるスキル。他2職は攻撃を受けるとスキル発動ができなくなってしまうが、戦士だけはこのスキルによって激しい前線で攻撃することができる。効果時間は2分。このスキルの発動だけ、大声で叫ばないといけない。ホントだよ?
【ソニックスラッシュ】…… 戦士、共通スキル。略称はソニー。激しい剣圧で離れた相手をも切り裂く真空波を放つ技。誰かがこのスキルを間違えて呼んでいたことからその略称になったとか。
【ブレイズスラスト】…… 片手剣、共通スキル。略称はブレイズ。素早く斬りつけることにより、その摩擦によって相手に炎のダメージを与える技。片手剣の初期スキルで消費PWと使い勝手がいい。しかしDot(<03>の用語集参照)、お前は駄目だ。
【ツーハンドスラッシュ】…… 両手剣、両手鎌、専用スキル。略称はスラ。両手武器の初期スキルで使い勝手も威力も消費PWも優秀のスキル。ブレイズとは違いDotはない。これにもDotがあったら作者はストレスで剥げてただろう。
【スキルポイント】…… CEOはスキルポイント制で、レベル1~5までレベル毎に2ポイント取得。レベル6~35までレベル毎に1ポイントの計40ポイント取得できる。そのポイントを振り分け、使用する9つのスキルを決めないといけない。
【ダッシュインパクト】…… 片手剣、専用スキル。略称はインパ。対象までダッシュし、そのまま対象を吹き飛ばす技。ダッスラ(<00>の用語集参照)同様に移動スキルとして使う場面があるが、ダッスラとは違い対象を吹き飛ばしてしまうので注意が必要。バッシュ(<00>の用語集参照)後、インパ。ついやっちゃうんだ!!よい子は真似しないでね。