ある日学校へ登校したら花がジョークグッズに刺さっていた。
僕は鏡野 育斗、先月の四月から高校生になったばかりなんだけどなぜか花瓶が置かれるようになりなった。理由が全く分からないんだ。
すこし周りから見れば若干浮いてるかもしれないし趣味もオタク嗜好だ。
それでも周りに馴染めるように会話もしてきたし最近になってクラスにゲーム仲間もできた、高校生活を順調にスタート出来たかに思えた
花瓶を置くようになった理由が天城賀 那緒という女性を中心とした三人組によるものらしい
理由は分からないが僕の顔を見ると直ぐに嫌な顔をする、理由は分からないがとにかく嫌な顔をされる。彼女が直々に行動するわけではなくもう二人の男が直接行動をしているようだ。
仮にモブAとモブBにしておこう、小話で聞いた話だと天城賀さんの親に対してモブAとモブBの親が頭が上がらない関係ということだけ聞いたことがある。
というのも天城賀さんは僕が通っている学校に多額の寄付金を寄付しているという、つまりは天城賀一族に支配されているという状態になっている。
そのせいで教師や校長、さらには理事会でさえも彼女の一族に口出しできない状態だということらしい。
だからなのかこの状況なのに教師人からはなんの注意も受けないし指導をしようものなら自分のクビが飛ばされるし、なんなら教師人生を続けられないという報復を恐れてなのか何もしない。悲しきかな、これが現代社会の暗いところ、僕の学校内での地位は村7分くらいといったところだろうか。
社会にこの情報が流れれば一発で炎上しそうなものだが。
でも僕はこの状況を少しだけ楽しんでいる節がある。いやまって、僕が変態というわけじゃないよ?
毎日登校するときれいな花もそうなのだがどこから持ってきたのか花瓶がとにかく綺麗なのである。変哲もない花瓶であれば飽き飽きするところなのだが一々飾りつけに使うような花瓶ではない。
なんなら家の客間とか、和室においても遜色ない、逆に存在感で部屋のイメージが壊れてしまいかねないぐらいのものを毎回使ってくる。
流石にそのままの状態で授業を受けるわけにはいかず、教室の後ろの方に片付けられていた机に毎回置きに行っている。大概そのタイミングで天城賀さんも重役出勤の登校をしてくる。
僕はそれを楽しみにしていた。でもある日を境に一遍してしてしまったのはちょっと後の話。
一学期の終盤、僕の体が夏の日差しに味付けされる時期のころ僕はたまたま遅くまで学校に残っていた。図書室で花の図鑑を借りていたものを返した。鞄なんかは教室に置きっぱなしにしていたのでそれを取ってきて帰ろうと思い教室を開けた。
だがそこには天城賀さんが僕の机と対になっている椅子に座りながら花瓶に生けてある花を見ていた。その表情はどこか嬉しそうに見ており、花を美しんでいる天城賀さんの顔に僕はそのような顔をできるのかと驚きを隠せなかった。
天城賀さんはというと僕が開けた引き戸に気付くのが一瞬遅れ僕の顔を見た瞬間嫌な顔をされたがすぐにその顔をやめた。そして僕の行動をすこし観察し、教室を出ようとした瞬間に声をかける。
「ねぇ鏡野君、この花きれいだとは思わない?」
びっくりした。まるで友人に話しかけたかのような言葉に動きが止まった。
「え、えぇキレイですよねこの花、たしかストレチアという花ですね?」
「そのような名前なのですね、私はこのペリカンの口のように咲いているのが好きなの」
驚いた、僕はこの人に話しかけられている?いやまぁ教室には僕と天城賀さんしか居ない。つまりは話相手は僕しかいないわけだ。
「確かに鳥のような口をしてますね、和名だとたしか極楽鳥花というみたいですよ?」
「そうなのね!やっぱり名前を付けた人も同じことを考えてるのね」
すこしおかしそうに笑っている天城賀さんを見て僕は少しだけどっきりした。普段見せている表情とは真逆の笑顔に僕は晴天の霹靂をこの身に受けたような感覚を覚えた。すこしだけ僕の鼓動が早まる。
「でも鏡野君は花に詳しいのね?」
「毎週入れ替わりで花を変えられているのを見て花に興味を持ったんです。それにさっき図書室へ借りていた花の図鑑を返したところなんですよ」
「へぇ!あの二人に相談してよかったわ!提案した私としてもうれしい!」
口調も砕けてきた。おかしいまるで僕が彼女を友人見たいじゃあないか。僕って確かあなたに嫌われていじめみたいなことされていたんですよね?
「花瓶に花を生けることを相談?」
「えぇ!教室の雰囲気を和らげるにはどうしたら良いかって、そしたら花瓶と花を飾るのはどうかって」
「なるほど」
成程?でもどうして僕の机に毎回花瓶ごと置いていくのだろう。
「っとごめんなさい?そろそろ私家に帰らないと」
「僕の方こそ、話に付き合ってもらってすみません」
天城賀さんは申し訳なさそうに僕の方を見ながら教室を出ていき、そのあとは少し速足で廊下を歩いて行った。
僕はすこしだけ動けなかった、彼女が座っていた椅子を見つめて動けなかった。
その日を境に天城賀さんは学校にいる時間が伸びた。彼女は部活動などの校内行事をあまり行っていないイメージがあった。
だが僕と話をしたあの日から放課後、誰もいない時間を無意識に待ち二人で話すことが多くなった。
曰く門限が短い、父親が天城賀さんに絡みすぎて少しうっとおしいなど。上に二人のご兄弟がいること。そのお兄様たちもうっとおしいと言っていた。
だがその話をしていた彼女の顔に嫌な態度を見せていたわけではなく困り顔を見せることが多かった。
「天城賀さん、そういえばこの時間まで学校に残ってて良いの?」
「えぇ、実はお父様に門限の時間を延ばしていただいたんです!」
「そうなんだ、この前までの話を聞いている限りじゃあまり許してくれなさそうな感じだったけど?」
親ばか気味な人を良く説得できたなと思った、そうすると天城賀さんが笑顔で。
「実は友人と授業後に話をもっとしたいと説得したら許してくださいました!」
それ僕が男だと言ってないよね?もし男だってばれたら大変なことになりそう。
「そ、そうなんですね!それはよかったですね」
「はい!」
今までに見たことのない満面の笑顔、好きになりそう。
「すみません、もう少しお話をしていたいところですけど」
と教室に掛けてある時計を気にするように話しかけてきた。
「はい、今日も僕の話に付き合っていただいてありがとうございます」
「いえ、私も楽しかったです。ではさようなら」
あの日、天城賀さんと初めて話したあの日から嫌な顔をされることはなくなった。時々僕のことを見つけると小さく手を振ってくるので僕も違和感がない程度に手を振り返している。
いつしか僕は彼女とこうして放課後に二人だけで話すのが楽しみになっていた。
天城賀の後ろ姿を見送ったあと、僕は少しだけ花の見てから教室を後にして自宅へと帰った。
「・・・・・・」
僕の背中を見送る恨めしそうな視線に僕は気づくことができなかった。
そして次の日僕は珍しく寝坊した。大慌てで支度をしたせいで寝ぐせも治せなかったし、僕の家族も僕が起きていると思っていたようで玄関に僕の靴をみて大急ぎで起こしてくれた。
僕は息を切らしながら学校へと行き息も絶え絶えのまま自分の教室が見えた。まだ予鈴の鐘が鳴っていない安心感でゆっくり歩く。
スマホに目をやり、少しだけ時間に余裕があったので立ち止まり息を整えていると僕の教室から大きな引き戸を開ける音が聞こえた。
驚いて心臓が大きく跳ね上がり音の正体を知るために目線をやるとそこのは天城賀さんが立っていた。
天城賀さんは教室をでてすぐに泣きそうな顔になっているのに気付いた。そして天城賀も僕を認識するとさらに泣きそうになりどうしたらいいのか分からないという様子だった。
「天城賀さん?」
「っ・・・ごめんなさい!」
彼女は僕を押しのけて学校のどこかへと走って消えていった。
天城賀さんが泣いている理由がわけも分からないという感じで僕は切らした息をごまかすように教室に入る。
まぁいつも通りだろうなと思いスマホをいじりながら自分の机へと歩くがいつも通り花瓶が生けてあるのだろうと楽観視して机をあまり見ていなかったのがいけなかったのか。机へとたどり着く瞬間の視界の端に花瓶とは違うものが映る。
疑問に思い机の中央に目を移すと僕は理解をするのを拒んだ。
そこには赤と白の横縞が入っているものがありそこにはその周辺には液体が飛び散っておりその液体から生ものの臭い。そして僕のことを否定しているかのような紫色のサフランが穴の中に荒々しく突き刺さっていた。
そして気づいた、僕を見る視線がいつも以上に憐れみと哀愁が漂っていた。担任の教師でさえ何があったのか理解できていなかった。
一言でいえばオナホールが僕の机の上で倒れていた。
理解できなかった、理解したくなかった。でも現実は無惨で理解してしまった。
僕はモブの方に目線を向けると周辺の人間とは違い二人して嬉しそうにひそひそと話しあっていた。
天城賀さんがこれを見たのか?周囲の女子生徒も涙目になりながら僕のことを見てきている。
最近、天城賀さんはあのモブが生けている花を楽しみにしていた。入学当初は信頼していたようだが最近は付き纏いがひどくなり嫌っていたが花を選ぶセンスだけは褒めていた。
僕はメロスはこのような気持ちでディオニス王に対して怒っていたのかと共感している最中に一人の女子生徒が僕に話しかけてきた。
「か、鏡野君、あのね?今日登校したときに天城賀さんにこれはなんなのって不思議な花瓶ねって言われて私思わずその・・・言っちゃったの。いつも侍ている二人にやらせているんじゃないのって」
僕はその言葉だけでも堪忍袋の緒が切れるのを我慢して次の言葉を待った。
「そしたら私はわたしが用意した花瓶に花を生けるだけでいいって」
つまり僕の机に毎日おいていたのはあのモブ、糞野郎の二人ってことになる。あの穴も天城賀さんは何に使うのかわかっていたということになる。
そして俺は汚れるのを気にせずそれを掴みいまだに俺のことを笑っている糞野郎たちに穴を押し付けるように殴った。
その瞬間クラス中から当然だが悲鳴が上がる。
殴られた本人たちは自身がされたことを理解し始めたのか口を押えおう吐を必死に我慢していたが、サフランを無理やり制服の中へ、もう片方にも無理やりオナホールを制服内に無理やり押し込んだら糞野郎たちはそれに我慢できずに吐いた。
それに対して、先ほどとは比較にならないほどの悲鳴があがり両隣のクラスから観客たちが教室内をのぞき込んでいた。
僕はなんとか怒りを抑え込み担任の教師に
「天城賀さんはどちらに行かれましたか?」
「・・・「先生」ひっ、天城賀さんなら体調が悪いと保健室に」
と女性の担任教師が言い終わる前に行動に移し教室を嫌な目で見ている生徒を押しのけ天城賀さんが居るであろう保健室へと走った。
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「失礼します。」
その掛け声ともに保健室へと入室したが養護教諭はいなかったがそれを無視して足を進める。
教室の中は一つのカーテンが閉まっている以外は人気は無く、僕はそのカーテンの前まで歩き声をかける。
「天城賀さん?大丈夫?」
僕の声に対して何も反応は無く無音の教室が存在するだけだった。
「開けるよ?」
そう声を掛けカーテンを開けるとそこにはベットの上で膝を抱えながら涙目になっている。そして僕を認識すると溢れんばかりの目に涙を浮かべた。
「・・・ごめんなさい」
「天城賀さんが誤る必要はないんですよ?悪いのはあの二人なんですから」
「ですが・・・ですが!!」
そこからは天城賀さんが泣き止むまで背中を摩り続けた。泣き止んだ天城賀さんは少しずつ話をしてくれた。
入学当初、僕が嬉々として赤の他人であるクラスメイトに話しかけているのをみて興味を持ったこと。そして共通点がないのでどのように話しかけようか悩んでいたこと。
そして花瓶を教室に飾りそこに花を生けることを話されそれを了承したこと。そこから自分に向けられる視線が少し変わったこと。
そしてあの日の放課後に勇気をだして話かけてうれしかったこと。そして今日の早朝に誰もいない教室の中であの二人があれを使っていたこと、そして僕の机の上に乱暴に花を挿してたたきつけたこと。
さすがにそのまますぐに教室には入れず時間を潰したあと教室に入ってクラスメイトに動揺しながら聞いたら教室内の認識で天城賀が僕をいじめの対象にしていると認識したらしくそのあとのことはあまり覚えていないという。
「私、あなたにどのように謝罪をすればよいか」
「大丈夫だよ、僕はそこまで気にしてないしそれに、天城賀さんが僕のことを気にしてくれていたことが嬉しいよ」
「それでも」
「さっきも言ったけど悪いのはあの二人!」
それからは同じような押し問答をなんども繰り返した。
そのあとは他愛のない話を僕のほうから話かけ。それに答える天城賀さんの顔には少しずつ笑顔が戻りそこから2時間ほど授業を二人でさぼった後急に天城賀さんのお父さんが入ってきて楽しそうに話してる僕を見てブチぎれた。
それを必死に止める天城賀さんとでもどうしてを繰り返す天城賀さんのお父さんの押し問答を僕は笑みを浮かべながら見ていた。
そして今回の経緯を話、すこし考えた後天城賀さんのお父さんは
「君はもう教室に帰りなさい、なんならそのまま今日は帰ってもいいぞ。教師たちには私から話をつけておく」
と大人の対応をされたのでそれに甘えることにした。
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そのあとの顛末だがあの二人の行動が公になり学校内で大きな問題になった。
花瓶のことに関しては僕があまり気にしていなかったことでそこまで咎められることはなかった。
が、あのオナホの件がひどく問題視され、そして出資者の天城賀さんのお父さんが大きく取り上げた件で、そして僕の問題で疑問視したようだ。
あまり刺激したくはないのか大部分の要求を学校側は呑み、二人を退学処分にしたそうだ。そのあとの二人のことはあまり知らない。
そして天城賀さんはというとあの日から休学していた。無理もないだろう。
あのようなことが起きた後だ。心のケアは必要になるだろうし、そのあと花瓶は撤去され今では花を生けることも無くなった。それに関しては少しだけ残念だった。
一月程たち学校の門をくぐると銀世界が広がる世界になる季節になった。施設内には雪で遊ばれたような痕跡がいくつも残っている。
あれから趣味の一つに読書が増えた。活字の中には想像すると世界が広がっていて、それがひどく僕の時間を夢中にさせた。
今日までに返さなければならない本があることを思い出し図書室で最後まで読み終え返却、そして教室内に自分のカバンを置き忘れたことを思い出し急いで教室に戻る
そして机の上の自身の荷物があることに安堵を覚え、そして一人の女生徒がいることに驚いた。
「久しぶりです。天城賀さん」
「お久しぶりですね、鏡野くん」
僕の顔を見ると安心したような笑顔を浮かべている天城賀さんに僕は落ち着いた様子で聞いた。
「もう大丈夫なんですか?」
「はい、ご迷惑おかけしました。」
あの時初めて申し訳なさそうな顔を見せてくれたあの時と同じ顔を見せた天城賀さんに対して僕はあの時以上の高揚と心臓の鼓動を感じた。
「・・・僕はまだ天城賀さんと話がしたいです。」
「私も鏡野くんとたくさんお話したいことがあるんです。」
そこから無言の時間が続く。その無音の時間にお互いが気まずさを覚えほぼ同時に話かけた。
それに互いがこそばゆさが体を揺らす。
そして僕はこのどうしようもない感情を天城賀さんにぶつけることにする、突飛押しのないけどあたって砕けたい気分だった。
「天城賀さん、いや那緒さん。僕はあなたのことが好きです。」




