#17「公開会見#14——“監事補”の名/港『後書き』の連結」
朝、湖は淡い鉛筆線みたいに静か。掲示板の合言葉は**「恥は分割、功績は共有。保留は欄干。」。水晶投影は三分割——王都広場、面管理控室の灰通路、南桟橋。端には二択投票**。
二択
A:“監事補”の名の段階(保護鍵の条件)
B:港『後書き』の連結(第一次→第二次)
扇の骨で膝を一度。拍。呼吸が揃う。
「証言は最後、数字は先に。今日は二本、**“監事補”の第二次〈名〉**と、港『後書き』の連結を一気に」
ルカが白墨で書く。合言葉:刃には柄。名には退路。
1) “監事補”——第二次〈名〉
《根拠束(要点)》
・面管理→文化振興会→月桂館の三点呼吸一致
・印運用票の“保留→確”転倒率が彼の勤務帯で+3σ
・筆致:“m”三画目長+止め短(“最初の印”の匿名紙と一致)
・接触ログ:夜勤割振を“扇香”日の前後で変更
「段階①(役割)——文化振興会・監事補(夜勤割振)」
灰通路を八間→十間に延長、二鍵一致(王都:灰外套の老商人/こちら:ナナ)。静域を広げる。
「段階②(氏名)——二鍵一致」
「トマ・サルド」。静域に入ると、彼は短く頭を垂れた。
『……保留札を短く回すと褒められた。“仮の棚が詰まる”と。返礼に使われるとは思いたくなかった』
「思いは自由、運用は設計。処遇は二択で決めます」
Q1
1)講座+配置換え(保留設計の再訓練)
2)資格停止一年
—集計:1) 69%。
「講座+配置換え。保留は二刻上限で固定、越えると保留→再審」
《保留設計(改)》
仮/保留(二刻上限)/確/再審
・保留の再延長は二鍵一致のみ
2) 港『後書き』——第一次→第二次
《第一次(記録) 追補》
・荷札歯型:二年度混在
・筆致:“t”横画上がり(レオン派生の古癖だが別人)
・束ね判定:入港前の位相一致で24小口→一束
「**第二次(名)**は段階で。まず役割」
段階①(役割):港務署・仕訳係(夜間)
灰通路を開き、二鍵一致。
段階②(氏名):アントン・ベール。
『……“面を押さえる”ための前倒しだと言われた。入札の点数を上げるには“実績”が要る、と』
「実績は参照で作る。前倒しは偽装。処遇は二択」
Q2
1)会計再訓練+公開補助(束ね判定の運用へ配置)
2)罰金+資格停止
—集計:1) 61%。
「恥は分割、技能は共有。——再訓練+公開補助」
3) 祝祭・市場・港——短式を一本化
《来場熱量・短式(統一版)》
熱 = 灯り×足音×(領域係数)×(時間/潮/風補正) − 同相
・領域係数={祭=意匠拍、市場=値段板拍、港=荷揚げ拍}
・補正率=1 + clamp(Δ熱, −0.2, +0.2)
王都財務が短く頷く。『短い式は読める』
本日の結論(速報)
1)監事補:トマ・サルド——講座+配置換え。保留は二刻上限、越えは再審。
2)港『後書き』:アントン・ベール——再訓練+公開補助、小口24→一束で是正。
3)短式一本化:祭・市場・港を同一枠で補正(±0.2)。
4)注記:保留は欄干、後書きは偽装。欄干は強化、偽装は写しで剥がす。
拍を二度。王都から返拍。拍は橋の揺れを吸う。
#18「最終会見——王家布令・本採択/解体・第三次〈手〉(漂白のみ)/詩と灯りの決算」
最終日。湖はガラスの盤みたいに澄み、青硝子の灯りはまだ要らない。掲示板の合言葉は**「刃には柄。数字には参照。」。水晶投影は四分割——王都議場、広場、港、市場。端には最後の二択**。
最後の二択
A:王家布令・本採択(十六字)
B:解体・第三次〈手〉(漂白のみ)の実施
扇の骨で膝を一度。拍。町と王都の呼吸が重なる。
「証言は最後、数字は先に。ここまでの短式と設計を布令に落とし、漂白だけ手を落とします」
1) 十六字——布令の最終形
《王家布令(最終案・十六字×三)》
寄付は返礼ゼロ。広告は競へ。顧問は入札。
仮・保留・確の三択。偽装は没収。漂白のみ手。
熱は灯足影風。同相は減算。補正は短式。
王都議場のざわめきが落ち、採決の拍が鳴る。
—賛成 78%。
「本採択、確認」
2) 解体・第三次〈手〉——漂白のみ
《対象抽出(写し→名 済)》
・照明塔保守の漂白:契約解除・罰金→安定化へ流入
・祝祭支援連盟 倉の“冷蔵袋”:二年度歯型混在→没収
・灰通路封鎖未遂:名公開済、手の対象外(漂白でない)
「第三次は短く。漂白にのみ手」
《執行(短式)》
1)三刻通知→応答なしで即時停止
2)溶媒・器具の没収→相互写し→安定化
3)公開:理由・歯型・筆致・接触ログ
王都監査が頷き、『承認』の短い返事。短い承認は、いい。
3) 「門」と「面」の恒久運用——一本化
《恒久運用・短冊》
・門:呼吸同期+軽中重の二鍵/平均待ち -41%維持
・面:面×期間入札(意匠70/価格30)+後払い補正
・匿名:公開匿名/職務匿名のみ、偽装匿名は没収
・準特権:廃止・入札・抽選の三択以外不可
数字を最後に貼る。
《決算(総集)》
・返礼兆候:初週比 -72%
・安定化プール:+146.1(没収・端数・罰金)
・門:平均待ち 46→27分(-41%)/押し戻し -88%
・祝祭来場熱量:予測乖離の**±0.2枠内で収束(同相減算導入後)
・市場:値段板“同相”減算で異常熱の山消失**
・港:束ね判定導入で後書き小口分割激減
広場に小さな笑いが広がる。淡々は強い。強いのに、角が丸い。
4) 最後の証言(短く)
イザベル・トーン(“芽”):『職務匿名の意味を、今日やっと覚えた。退路が先にあると、名が持てる』
カミーユ・ドレ(“扇”):『会計をやり直す。公開補助は、恥の薄め方を教えてくれた』
ミーナ・モラン(“最初の印”):『保留は卑怯じゃない。欄干だ』
ボーモン侯が扇を閉じ、低く一言。『欄干は、橋の一部だと認めよう』
5) 最後の二択
Q-Last
1)詩枠の常設化(面の公共枠)
2)灯りの保守・入札の増枠
—集計:1) 54%、2) 46%。
「詩枠・常設。灯りは現状維持+点検表で」
6) 布令・公布とエピローグ(短い)
王都の鐘が一度。布令三本が水晶に走り、印が仮→保留→確の三択に更新される。門の前で二拍、面の前で学童詩、市場で値段板の二拍、港で鈎音の拍。拍は無料。無料は、強い。
《終の注記》
顔は貸す。顔色は灯りが直す。功績は共有、恥は分割。
刃には柄。柄は参照と二鍵。
数字は短い。短い数字で欄干を立て、橋を渡る。
夕刻。湖面がひと息、青い。掲示板の端に小さな付箋。
《“二拍で読むの、まだ好き。”》
私は扇でひと拍。靴紐は結ばれたまま。
——物語はここで閉じる。運用は、ここから続く。