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#13「公開会見#10——外郭・第二層〈名〉/祝祭委員口座の凍結審問、面×期間の光」

 朝の湖は、刃物を寝かせて磨いたときの細い光をのせていた。掲示板の合言葉は**「名は刃、退路は柄。」。水晶投影は三分割——王都広場の会見台、財務局の審査室、そして祝祭委員会の会計窓。端には、いつもの二択投票**。


二択

A:名の段階の続き(外郭・第二層→第三層)

B:祝祭の広告入札(面×期間/規格)


 扇の骨を膝で一度。拍。場の呼吸が整う。数字が置ける。


「証言は最後、数字は先に。本日は二本立て。外郭・第二層〈名〉の公開と、祝祭委員口座の凍結審問。合間に“面×期間”の広告入札を短く差し込みますわ」


 ルカが白墨で大書する。

合言葉:名は刃、退路は柄。


 刻印札の抽選を済ませ、二択の第一次集計が上がる。

A 58%/B 42%。

「先に**第二層〈名〉**から」


《外郭連結図(再掲・簡)》

 第一層:月桂友の会(公開済)

 第二層:文化振興会/研究会(中継財布の中核)

 第三層:祝祭支援連盟(広告面の扱いと接続)


 水晶の右枠で、写字生組合が相互写しの板を立てる。**“歯型家系図”**の枝に、S-刻(海燕)とL-刻(葉脈)が二年度混在で絡んでいる。絡み目に小さく芽印。私は根拠束を短く積む。


《第二層:根拠束(要約)》

 ・中継財布の入出金が門の待ち短縮の山に同期(2σ超)

 ・袋歯型の混在が同じ日に集中(連写の癖)

 ・筆致:端の**“とめ”が右に跳ねる癖(0.86一致)

 ・接触ログ:文化振興会 監事室と祝祭委員控室**の往復


「段階①(役割)——文化振興会・監事、研究会・会計」

 王都の空気がひと目ぶん沈む。私は保護鍵を示し、灰通路を先に開ける。二鍵一致。老商人が杖を鳴らし、ナナが鍵を合わせる。


「段階②(氏名)——二鍵一致」

 枠が光る。

「エルザ・ヴァイユ(文化振興会・監事)、ガストン・ピエル(研究会・会計)。退路は灰通路、静域は六間」


 エルザは静域へ入り、短く息を整える。『“中継財布”は書類上の部屋です。返礼冷蔵の袋を一度寝かせ、匿名に混ぜて戻した』

 ガストンが続く。『顧問料の前渡しを匿名に載せ替え、寄付に見せた。——返礼でした』


「返礼は投資へ。寄付は返礼ゼロ。——処遇は二択」


質問#1

Q1-1:中継財布(三日猶予で台帳移送/即時閉鎖)

Q1-2:二名の処遇(会計再訓練+公開補助/資格停止一年)


 集計。Q1-1:三日猶予 63%/Q1-2:再訓練 68%。

「猶予は秩序の安全弁。再訓練は恥の分割。——承ります」


 ここで、財務局の枠に祝祭委員口座の凍結ログが載る。

《凍結口座:祝祭委員「掲出面整備」/残高 2,480金貨/入金源:中継財布(駆け込み)》

 駆け込みは砂糖衣。甘いが、粘る。私は短く設計を差し込む。


《凍結審問の段取り(短式)》

 1)二択質問→口頭(拍を先に)

2)“面×期間”の規格を参照として先置き

3)駆け込み入金は冷却、安定化とは経路分離


「祝祭の面×期間——短く決めます」


《祝祭広告 入札規格(素案)》

 ・面:噴水周り/王城前外周/学園正門 ほか(単位:平方間)

・期間:祝祭前七日〜当日/当日〜後七日(二区分)

・二封筒:意匠点70/価格30(返礼文言禁止)

・後払い補正:来場熱量の実測で**±20%**

・資格:偽装匿名・無届掲出は冷却一年(参加不可)


 王都の財務官が頷く。『面は公共物。返礼の文言は禁止だ』

「名は掲示できます。文字サイズ規格で」


 二択の第二回。

 A(名の段階・第三層へ)52%/B(広告規格の採択)48%。僅差で第三層へ押す。

「第三層——祝祭支援連盟。段階①(役割)」


《第三層:根拠束(要約)》

 ・広告面の無届掲出(先日の赤)と同一意匠

・顧問料→匿名寄付→掲出面の順序短縮

・足音の拍:一拍割りの癖(灰通路未遂と同系)


「段階①:祝祭支援連盟・企画補佐」

 ざわめき。私は保護鍵を回し、退路を先に置く。


「段階②(氏名)——二鍵一致」

「アドリアン・ロシュ。——退路は灰。静域六間」


 アドリアンは顎を上げ、静域へ入る。『……面を押さえたかった。顔を並べるために。返礼が早く効くと、皆が信じていた』

「信仰は自由、運用は規格。——処遇は二択」


質問#2

Q2-1:アドリアン(入札講座+公開補助/資格停止一年)

Q2-2:駆け込み入金(一時凍結継続/入札採択後に面へ充当)


 集計。Q2-1:講座+補助 62%/Q2-2:凍結継続 66%。

「凍結を維持。入札の参照線が決まった後に、用途付替を検討します」


 そのとき、水晶の隅が赤く瞬いた。

《異常:研究会口座→祝祭委員へ小口分割の試行(10金貨×24)》

 私は即座に束ね判定をかける。拍は嘘が苦手。小分けにしても、拍は合流する。


《束ね判定》

 ・連続入金の拍位相一致→一束として凍結

・注記:割って通るは割れて見える。拍はくっつく


 王都側が「承認」と短く返す。短い承認は、良い。


 私は場を戻し、祝祭の広告入札を一気に採択にかけた。


採択投票:規格素案を試行で今期祝祭へ適用するか

 賛成 71%。

「試行で行きます。面×期間。意匠点70/価格30。後払い補正は来場熱量」


 ナナが入札箱を置き、オズが要領を二行に短くし、アメリアが文字を大きく読み上げ、子どもたちが質問票を配る。エドは周囲の邪魔する手を遠くから見る。近視眼の熱は、距離で冷める。


 私は凍結審問の核心へ入る。

《祝祭委員・凍結口座:審問要点》

 1)駆け込み:冷却の対象(入札後の用途付替のみ検討)

2)中継財布由来:三日猶予の台帳移送が前提

3)祝祭の“名掲示”:広告側で扱う(入札)


「——証言は最後。数字は置いた。祝祭委員から、短く」


 祝祭委員の若い書記が一歩出る。頬はこわばっているが、声は震えない。『……顔を並べるのが祭だと、思い込んでいた。面を買えば、町が寄ると。けれど、拍に寄った』

「拍は無料。無料は、強い。——処遇は二択」


質問#3

Q3-1:祝祭委員(入札講座の受講義務/役職の一時停止)

Q3-2:凍結資金(安定化に一部流用/全額維持)


 Q3-1:講座 69%/Q3-2:全額維持 58%。

「凍結資金は全額維持。用途付替は入札の採択に合わせる」


 王都の端で、監査室長バレンが頷き、次長リュシエンヌが短く言う。『短く布令を書け』

「十六字で」


《王家布令(祝祭・試行)》

祝祭面は入札。名は規格内掲示。駆け込みは冷却。


 結論の板を貼る。


《本日の結論(速報)》

 1)外郭・第二層〈名〉:エルザ・ヴァイユ/ガストン・ピエル。再訓練と台帳移送(三日)。

2)第三層(役割→氏名):アドリアン・ロシュ。講座+公開補助。

3)祝祭広告:面×期間の試行入札採択(意匠70/価格30、後払い補正)。

4)凍結口座:全額維持+束ね判定で小口分割を凍結。

5)駆け込み:冷却。用途付替は入札採択後にのみ検討。

6)注記:割って通るは割れて見える。——拍は、束ねる。


 拍を二度。王都から返拍。拍は、橋の揺れを吸う。


 会見を閉じると、すぐ入札の準備に入った。ナナが面の実測を取り、オズが要領を二行に、ルカが評価表の意匠欄を広げ、アメリアが**“返礼文言禁止”を大きく。子どもが来場熱量の棒を持って走り、老人が影の伸びで期間**を数える。影は時計。風はメトロノーム。町はオーケストラ。指揮者は要らない。拍があれば充分だ。


 その最中、水晶が黄色に点る。匿名。

《“第三層”の面は、学校の子の詩でも埋まる?》

 私は即答する。

「埋まります。入札の**“公共面枠”として詩枠**を一つ——価格点ゼロ/意匠点のみ」


 王都の財務官が笑った。『面に詩。祭らしい』

「味付けは誇りで」


 夕刻、王家財務から短い紙。

《祝祭・入札要領 承認(試行)/面:噴水・外周・正門/期間:前七日・後七日》

 角の幼い字。

《来場熱量って、拍の数?》

 私は端に添える。

《注記:拍は数えにくいが、灯りで見える。》


 領主館へ戻り、机の波を紙で均し、決算を書く。


《本日の決算(詳細)》

 ・現場還元:入札箱 3/評価表 20/来場棒 12

・公共:台帳移送の封筒(青封)60/面の実測図

・積立:白風基金 +48.4(凍結利息の没価は未計上)

・運営:公会線端末の束ね判定モジュール更新

 ・注記:面は場所、期間は呼吸。呼吸が合えば、面は光る。


 エドが窓辺で短く言う。「第三層の残り、明日だな」

「ええ。段階で。退路は先に。第三次(手)は——漂白だけ」

 ナナが面の実測図に青い糸を縫い、ルカが詩枠の見出しを飾る。オズが砂時計をひっくり返し、アメリアが湯に少しの塩。甘い。塩は正直。返礼みたいな余計な味はしない。


 最後に、明日の板を貼る。


《次回予告》

 公開会見#11:祝祭・入札開札/外郭・第三層〈名〉の残り——“面を押さえる手”

 ・二択:「来場熱量の測り方」or「第三層の名の段階(残り)」

・合言葉:“面は場所、期間は呼吸。”**


 扇でひと拍。拍は靴紐。結んだまま眠れば、朝すぐに走れる。数字は短い。短い数字で面を測り、期間に拍を打ち、名に柄を付ける。柄のない刃は政治。柄のある刃は運用。——運用は、明日も楽しい。塩の匂いが、静かに肯定した。

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