EP7.赤いローブの青年
トルティヤは遺跡の奥へと進む。そして、最深部にある広い広間のような部屋に出る。
広間の奥には台座があり、そこに円盤のようなアイテムが置かれていた。
「あれは…!まさか…」
トルティヤは早足でそのアイテムに駆け寄る。
そして、そのアイテムを手に取る。
「これが…世界を示す円盤」
手にしたトルティヤの顔に、僅かな驚きと満足の色が浮かぶ。
世界を示す円盤。
直近に起きる大きな事件や災厄が起きる場所を示す魔具として知られていた。
魔具。
それはこの世界に散らばった古代の遺物。
「天使」「堕天使」「悪魔」のいずれの種族が作り上げたと言われ、持つ者に大きな力を与えると言われている。
「さて…ここにもう用はないのぉ」
トルティヤは目的の魔具を手に入れ、出口に向かおうとした時、背後から声がかけられる。
「そこの!ちょっと待てよ!」
背後から赤いローブを羽織った青年が、トルティヤに声をかけてきた。
年の頃はトルティヤとそう変わらないか、少し幼く見える。
その瞳には生意気な光が宿り、口元には自信にあふれた笑みが浮かんでいた。
「なんじゃお主は?」
トルティヤは青年に声をかける。
「それは古代の財宝だろ?俺によこせよ!」
青年は視線を合わせるなり、無茶苦茶な要求をする。
「嫌じゃ」
しかし、トルティヤはそれを一蹴する。
「ふざけるな!この遺跡は俺が先に探索していた!だから俺のものだ!」
青年はトルティヤに言いがかりをつける。
「そんなこと知らん。ワシが宝箱を先に見つけたのじゃ。だから、お主に渡す義理もないのぉ。それに、お主がワシより先に遺跡に入ったという根拠もないしのぉ」
トルティヤは青年を無視し、一歩も立ち止まらずに出口に向かって歩き続ける。
「ぐぐぐ…確かに…」
青年はトルティヤの冷静な言葉に論破され、悔しそうな表情を見せる。
「分かったらワシの前から消えよ。目障りじゃ…」
トルティヤは冷静な声色で青年に呟く。
「待てよ!だったら、俺と勝負だ!俺が勝ったらそれをもらう…文句ないだろ?」
それでも青年はひくことなく、トルティヤに勝負を挑んでくる。
「はぁ…(この手の輩は一度黙らせておいた方が得策じゃのぉ)」
トルティヤはため息をつきながらも口を開く。
「よかろう。その勝負受けてたとうではないか」
トルティヤはニヤリと笑った。
「じゃが、ここでは狭すぎる。外に出てからじゃ」
トルティヤは場所を移すことを提案する。
「いいだろう…外に出た瞬間に、逃げんなよ!」
青年は念を押すように叫ぶ。
こうして、トルティヤと少年は遺跡の外へ出た。